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  ジョブ

あいもかわらず短いです。

俺ーーー逢坂悠斗おうさかゆうとは気が付けば異世界にいた。そして数秒後にはティラノサウルスの様な怪物に襲われ、逃げついた先で地球のこと以外の自分に関する記憶の一切を失っていることに気付き、ついでにステータスのないこの世界でチートなスキルを手に入れ、挙げ句のはてに盗賊に襲われている馬車を助けると言うテンプレ的イベントを体験し、今に至る。…………濃いな。


まあ、そんなことを考えつつ俺は馬車に揺られていた。何で馬車にいるかと言うと、助けた馬車の御者がお礼をしたいとの事で、俺が適当に町まで送ってくれと頼んだら即乗せて貰えた。無論、タダで。


町に着いたら何をするか考えていた俺に突如声が掛かる。


「あ、あの、もし良ければお隣、良いですか?」


声の主は俺より年下だろう女の子だった。異性どころか同性さえも庇護欲を掻き立てられてしまう様な愛くるしい顔立ちとおどおどしたような口調。そして水色の髪に隠れていたちょっとふわふわの猫耳がなんとも言えない…………………………………………猫耳!!!???


この異世界にて初めて見た猫耳ーーーもとい獣人(?)に見とれていると少女は恥ずかしそうにモジモジしながら再度話しかけてくる。


「あ、あの……あんまり見られると恥ずかしいです……それより、お隣、良いですか。」


「ん、ああ。ゴメン。隣、良いよ。」


「あ、ありがとうございます。その、さっきは助けて頂きありがとうございました。」


「いや、気にしなくて良いよ。たまたま通りかかったところだったし。」


事実通りかかっただけなので素直に答えると少女は驚いた様に話を続ける。


「いえ、あの盗賊達はここ最近現れて通り掛かる馬車を襲っては金品を奪い、人は奴隷にして売りさばくのを

生業にしている盗賊で、かなり強いと噂なんですよ。」


「そんなの噂に尾ひれがついただけだろう。余り強くはなかったし。」


「そんな、戦闘に詳しくない私でもあの盗賊達の動きが良かったのは分かりました。それを何の苦もなく制した貴方の強さも。もし宜しければ、お名前とジョブを教えていただいても?」


「逢坂悠斗。ジョブはまだ就いてない。君は?」


「わ、私はエルナと言います。ジョブは魔術士です。………それにしてもユウトさんはジョブに就いていないのにその強さですか。凄いですね。」


「君は見た感じ冒険者には見えないけど、なんで魔術士に?」


因みに、こんな質問をしたのは訳がある。極端に言えば鎌を掛けたのだ。俺はこの世界について何も知らない。”ジョブ”の説明からギルドがあることを知った俺はテンプレ的に冒険者と言う稼業があるか知りたかったので敢えて、何も知らない癖にこんなに質問をした。


「あ、私は王都に行って騎士団に入りたいんです。でも運動がとても苦手で……だから魔術師枠で入ろうと思っているんです。幸い、私には魔法の才能がありましたから。」


この反応からみるに、どうやら冒険者と言う稼業はあるようだな。それにしても騎士団とは、いよいよファンタジーって感じだなぁ。


「騎士団か……なるのは大変そうだけど、大丈夫そうかい?」


「まだ少しドキドキします。本当は騎士団学校とか、魔法学園みたいな所に入れば基本的には確実なんですけど……家にはお金が無いので。」


どこの世界でもシビアなのは一緒か。大変だな、異世界も。


「あの、ユウトさんは馬鹿にしたりしないんですか?」


「へ、なんで?」


いきなり意味不明な質問をされてつい、質問に質問で返してしまった。だって意味分かんないもん。


「だ、だって私みたいな実力の無い人間が騎士団なんかに入れるわけない、って村の人にも言われちゃいましたし、道中に会った人達だって無理だって………」


「ああ、なるほどね。……いや、俺は君の実力は正直知らないし、騎士団の試験とかがどんなものかも分からない。けど、君が本気でなりたいって思っているなら俺は、君の夢を馬鹿にはしない。君だって、学校に行けなくとも努力をしてきただろ?」


「え、まあ、はい。」


「ならそれで良いじゃないか。努力は裏切らない、なんて言うつもりは無いけど君がしてきた努力は、少なくても君の自信にはなるんだから。」


「あっ、…………ありがとう……ございます。」


この言葉は俺の本心だ。まあ、記憶の無い俺なんかの言葉でも多少の激励にはなっただろう。



◆◆◆◆◆


そうこうしているうちに目的地である王都についた。まあ、王都と言っても正確には王都付近の都市、”都市パステル”らしいが。因みに本当の王都には最上位貴族とかがいる模様。端的に言えばこの辺一帯の都市は城下町といった方が早いだろう。


仮にも王都だけあり検問が凄かったが助けた馬車の御者に許可証を貰っていたため俺はフリーパスであった。


エルナと別れ、俺は図書館来ていた。単純な話、俺はこの世界で生きるには持っている情報が少なすぎる。従って情報収集をしに図書館に来ている訳だ。



「それにしてもまあ、完全に異世界だな。」


一通り読み漁った所で情報を整理する。この世界の名は”アルテミスト”。世界の名と言うのは、俺達で言うところの”地球”だ。どうやらこの世界には宇宙とか惑星とかの概念は殆ど無いらしい。後は大体異世界ネタのテンプレ道理らしい。


とりあえず必要な情報を集めた俺は次に”冒険者ギルド”に来ていた。目的は勿論、身分証明書にもなるギルドカードの作成と、ジョブに就く為だ。


冒険者ギルドの中は期待を裏切らない見た目で、受付嬢さんも美人や可愛い人が多かった。取り敢えず近付くと受付嬢さんは営業スマイルで迎えてくれた。


「冒険者ギルドパステル支部へようこそ。……おや、初めての方ですか?ご用件をどうぞ。」


「ギルドカードの作成と、ジョブに就きに来ました。」


「ギルドカード……と言うことは冒険者登録をすると言う事で宜しいですね。」


「はい。お願いします。」


その後、幾つかの説明を受けて冒険者登録は終了した。今度はジョブの登録である。ジョブは基本は一つのジョブがレベルやジョブの熟練度で進化させたりして、派生させるものだが例外もあり、幾つかの知られざる条件をこなせばジョブの枠が増える仕組みだそうだ。


奥の部屋に連れ込まれた俺は対応している受付嬢に、目の前にある結晶に触れてくれと促され、結晶に触れる。すると結晶体が光輝きホロウインドウの様なものを作り出した。ホロには<剣士>、<魔術師>、etc……といった文字が浮かぶ。


「え、ウソ!」


受付嬢さんがかなり驚いた様に声を荒げる。理由を聞くと、俺のジョブ欄に<魔剣士>が出たかららしい。<魔剣士>は<剣士>から始まる派生の、かなり高位のジョブらしくなっている人数が少なく、俺の様に初期状態からでる人間など前例が無いらしい。


詰まるところ、レアなのだ。ソシャゲで最初の方でURのやつ当てて無双出来るような感じらしい。一応、どれにするか聞かれたが考えるまでも無いだろう。


「<魔剣士>でお願いします。」


ブクマお願いします。

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