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プロローグ
2000年初期━━━
彼らがこの日本の地に広く知られるようになったのは、ごく最近のことだ。
それまで、主に日陰的存在であった彼らを、メディアはこぞって大々的に取り上げた。
あるものは自身の愛の深さを語り、またあるものは自身の博識を語った。
世間は、その愛博識を時に興味深く、そして時には子供が新しいおもちゃを見るような目で受け止めていた。
それからと言うもの、
彼らに対する認知は瞬く間に世界規模へ広がりを見せた。
同じ考え、行動周波を持つ異国の民は彼らを一目見ようと、果てには彼らになろうと次々と日本へ押し掛けた。
もはや、名前を知らないものはいないほどの認知度となった彼らを、
人々は親しみと敬意を込めて、
『オタク』と呼んだ。