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夏のハレ  作者: パシリ
序章~8月31日~
1/2

宴もたけなわ

初投稿です、まずは甘口ですがよかったら見ていってください

夏が終わる日、村の賑をよそに私の気持ちは沈んでいた。

「みんな死んじゃえばいいのに」

 周りのテンションは更にヒートアップしていき私の物騒なつぶやきは誰の耳にも届いていなかった。

 そもそも今日は朝からツイていないのだ・・・起きた時には9時を過ぎていたし慌てて出てみれば休校日、挙句の果てに財布を落とす大惨事!こんな事が起きたのにわざわざ友人に付き合って興味のないお祭りに参加しているなんて大したもんだと自分を褒めてあげたい位だ。

「ナツノー、ナツノー!」

 この喧騒の中でもひときわ目立つ片言の日本語が耳に入る。どうやら件の友人が帰ってきたみたいだ。

「お帰り、で?どうだったのよ」

「エヘヘヘ、バッチグーね!」

「そりゃオメデトさん、あと・・・その笑い方やめなさいよね」

「ホワイ?ナツノキビシーね」

「厳しいとかじゃなくてなんか・・・」

 無邪気っぽくてウザいという言葉を何とかこらえる。言わなくてもいいことを言う奴はもっとウザい

「ナツノ?」

「なんでもないけど、ト・モ・カ・ク」

 やめときなさいな、と伝えると「ハーイ」と間延びした返事が帰ってくる。素直に挙手までするオマケ付きだ。そんな傍から見ると微笑ましい光景に若干苛立ちを覚えていると不意に彼女が口を開いた

「エミリはムツキ達のトコロ行くけど、ナツノはこれからドーするの?」

「ああ、私はパス。あいつら苦手だし仲良くないし」

「ナツノカワイイからニンキでるね!」

「よしてよ、エミリが友達ってだけで十分だからさ」

 というかエミリくらいしか仲いい人いないし・・・

「ウー、オッケイね。それじゃゲツヨ学校デ!」

「はいはい、今度は間違えませんよっと」

 オーバーに手を振って去っていく姿を(アレがホントの欧米か!)なんてズレた感想を抱きつつ見送ると未だ鳴り止まない喧騒を後にした。

 自宅に着くやいなや今日一日の疲労(主に精神面)がどっと溢れてきたせいなのか、ものすごい睡魔に襲われそのままソファにダイブ。横になりながら先ほど別れた友人の姿を思い出し

「ああ、でも、、、本当に外国人の最期は綺麗よね」

 なんて嘯いて・・・このまま眠ることにした。



ジリリリリリ!という音に目を覚ます。時刻は9時20分・・・

「これは・・・デジャヴ?」

 と思いたいけど生憎今日は登校日。つまりー

「この、ポンコツ!」

 二度も失態を演じたヤツを許すようなナツノ様ではない。即刻打首、即行処刑か?って

「あれ?こいつ・・・止まってる」

 既に息絶えていたとはこの私も読めなかった・・・なんてぼやきを飲み込んで慌てて廊下に設置された黒電話へと足を運ぶ。

「すみません、もしもし?」

「ああ、ナツノちゃん!やっと電話に出てくれタ!」

「エミリさんのお父さん?ご無沙汰しています」

 娘と違い流暢な日本語ではあるがこの独特のイントネーションは寝起きでも間違えまい。

「ナツノちゃん、単刀直入だけど娘はそっちに泊まっているんだよね?代わってくれないか?」

「え?エミリさんは今の時間なら学校なんじゃ・・・」

 半ば勢いに押されながらも部屋の掛け時計をみながらーーー結局10時過ぎなわけだけどーーー答えると電話越しに落胆の声が聞こえてくるのがわかる

「あ、あの!エミリさんもしかして連絡つかないんですか?」

「・・・ナツノちゃん娘は昨日帰ってこなかったんだ」

「あー」

 つまり睦月とイキナリ本番まで行ったということだろうか・・・伝えづらい

「家に連絡もよこさなかったから友達の家で泊まって学校に行ったのかと思って」

「あの!だったら何故ウチに電話を?」

 話を少しでも変えようと半ば食い気味に言ってみたのだが、その問はすぐに回答されることになった

「学校から連絡が来たんだ。ほか数人の学生と一緒に学校に来てないがどうかしたのかって」

「ーーーえ?」

 やっと頭が冴えてくる、そもそもエミリは家に無断で外泊するタイプではないし、ましてや学校まで無断欠席するタイプではない

「あ、あの他に来てない生徒って」

「ああ、それは・・・ええっと佐島くん、羽原さん、黒澤くん、保科さん、睦月くん、それからエミリと君だ」

「あ、あぁ」

 昨日エミリが合流したメンバーだ。ここに来てようやく電話越しの声に湿りけが混じっているのが解った。当然といえば当然かエミリの父はいい意味での親バカとして村でも有名なくらいなのだ

「ナツキちゃん、後で学校に来てくれるかい?」

「え?ええ勿論です。今からでも」

「それじゃあまり分からないかもしれないけど詳しい話を私や先生、他の親御さんに・・・」

「え?詳しい話って、そんな」

 そこが臨界点だったーーー

「そんな?そんなとは何だ!?娘は君とお祭に行くと行って出て行ったんだぞ!娘は行方知れずで!それなのに!」

 怒号にも近い声で叫ばれたが私は聞き逃さなかった。声の後ろで彼をなだめるもう一つの声をーーー

「お父さん、そこに誰か居るんですか?」

「な、なに!?なんでそんなことを・・・」

「もしかして、警察・・・の方だったりとか」

「な、何を根拠に!」

「いえ、なんでもありません。では学校でよろしいんですよね?今から向かいます」

 私の中に湧き上がったある考えを裏付けるには十分だった、半ば無理やり電話を切ると私はいそいそと支度を始めことにした。

 昨日と違って準備を終えて家を出る頃には頭の方はすっかり冴えていたけれど、外では相変わらずの太陽がジリジリと道路を焼き付けて待っているのだったーーー


夏はまだ終わらない



ここまで読んでいただけて嬉しいです。初めてなので見にくい部分があると思いますが指摘していただけると更に嬉しいです。

それから過激度などは段々上がっていく予定です。

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