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共通シナリオ①

『ねえ、ママはどうしていなくなってしまったの?』

『ママは不思議の国へいったんだ』


―――私はアリスになりたい。

彼女のように夢の中で、ウサギや帽子の人と永遠にお茶を飲んでみたい。

けれど私はアリスのような金髪でも外国人でもないから、アリスにはなれない。

人は自分にないものを欲しがるという。

黒い髪は日本の和を象徴としているから、洋というものに憧れるのだろう。


●序章:名前を変えてもアリスにはなれない


「今日から新しくクラスの仲間になる日ノ出麦子さんです」


私は父の仕事の都合で転校が多かった。

高校生になる頃には落ち着いたが、約一年ぶりに新しい学校へ転入した。

偶然にも今日は17歳の誕生日である。

運が悪いのか、私は新しい学校へいくと誰かしらに因縁をつけられる。

話すと意見が会わなくてよく衝突してしまうから、黙っていると“貴女つまらない人ね”とか“無視してんじゃねえ”など言われる。


それは不思議と怒りはなく、何も感じなかった。

事実私はつまらないから、それでも涙はでなくても私は傷ついているんだ。


―――今日はいつもの失敗を生かして、過度に話さず黙りすぎず。

相槌をうちながらを心掛け、思惑通り特になにごともなくクラスに打ち解けられた。


「ねえ日ノ出さんって兄弟いるの?」

「うん、お兄ちゃんが一人」

「じゃあペットは?」

「猫が二匹」


アリスにちなんで小さな頃に猫を飼った。


「あのさ」


クラスの女子から質問攻めをされた後、隣のクラスの男子に声をかけられる。

人が良さそうで、爽やかな好青年だ。


「オレ、アンタに一目惚れした!あ……友達からでいいから!」


いきなり告白をされ、周りから冷やかされる。今日はなにごともなく放課後を迎えられた。


「あの……日ノ出さん」


クラスの中でも影の薄いタイプの女子から声をかけられた。


「どうしたの?」


会話は初めて名前を知らないのでたずねるだけにする。


「臥木くんと付き合うんですか!?」

「え?」


もしかしたら彼女は昼間の彼のことが好きなのかもしれない。

せっかく平和な学園生活が送れると思ったのに、こんなところで崩せない。


「いや私、あのときはテンパって断れなかったんだけど転校前の学校に彼氏がいるから心配しないで!」

「そうなんですね、よかった……」


ああ、なにごともなくおさまって本当によかった。

―――気がつけばあたりは暗くなってきている。

変な鳥の鳴き声がして、なんだか怖くなってきた。


急いで帰ろうと走ると、いかにもアリスがに出てくるような大木を見つける。

近づいて眠気に誘われ、私は意識を手放した。


―――しばらくして私は自然に目が覚める。

すると目の前には白いウサギではなく、白髪の少年がいて私をじっと見ていた。


「貴方はだれなの!?」


少年は私の手を引いて、高く跳び跳ねる。

体は軽く浮き上がり、空に穴が空き、そのまま吸い込まれた。


―――空を高く飛び、ゆっくり着地した。


さらりと長い金髪をひとつに縛った男がいた。


「やあリディア」

「リディアって誰のこと?」


いきなり現れて、こいつは何者なんだろう。


「僕はアリオステル、こいつはオホリス」


なぜ話さないのか疑問だったが、よく見るとオホリスは白い皮で口をふさいでいた。


「悪いねある事情があってこいつは話せない。とりあえず君はこの国を必要としているからここに来たんだろう?」

「……肯定も否定もしないわ」


認められなかったが、アリスのような世界に連れてこられて嬉しい。


――だけどよく見たら辺りは葉が茶色く枯れて、地面には雑草が、家は崩れてお城は暗雲に包まれている。


「きれいな景色を期待してたのに、この退廃っぷりはなに?」

「夢と偽りの国、ワンダーミラーズは昔は綺麗だったんだが……」


アリオステルとオホリスが白いハンカチで涙をぬぐう。


「時が経つにつれ弱まった封印のせいで闇の門が開かれ、うつくしかった景色は廃れていってしまったんだ」

「そうだったの」


オホリスはコクコクと頷く。


「だから君はこの世界を求め、そして世界から呼ばれたのだから僕等と戦う資格がある…」

「いいよ」

「まだ何も聞いてないけどありがとう」


場所を移動して他の仲間の元へ歩く。


コーラをずずっと吸ったりポテチをバリバリ食べたりする三人の男がいる。


「彼女がさぁ」

グレー髪の少年がケータイをイジリながら話す。


「あははは!お前彼女なんていないだろ」

カフェオレっぽい髪色の青年が高笑いする。


「コゥラは最高だね」

ピンク髪の男が2リットルのペットボトルでラッパ飲みをしている。


「おい」


アリオステルがにっこりしたままピンク髪の男の肩にチョップした。


「なんだねアリオステル君も混ざりたいか男子会に」


ピンク髪の男は真顔でたずねた。


「あははは!!それはないよ~なあラスマウ?」

「ああ、ラヶスの言う通り、アリオステルはお高いから男子会になんて混ざらないさ」


カフェオレ髪の彼は嫌味を言った。


「彼等は僕の仲間のラ・ハッティー、ラスマウ、ラヶス」


アリオステルは頭をおさえながら紹介した。

グレー髪がラスマウ、カフェオレ髪がラケス、ピンク髪がラハッティーらしい。

―――彼等はアリオステルの仲間のわりに距離があるきがする。


「クックッ……そんなんで、世界を正すなんてできんのかぁ?」


木の上から少年が声をかけてきた。

彼の頭には猫耳がついているのに耳がある。


「キャスパニ!また俺たちの邪魔しに来たのかよ!!」


ラスマウが威勢よく怒鳴ったかと思えばブルブル震えなてラヶスの背に隠れた。


「うるっせーなクソネズミ」


キャスパニは木の上から私達を見下ろす。

皆キャスパニに好意的ではないように見える。

この様子だとはアリオステルの仲間ではないようだ。


「突然世界に入り込んで怖くねぇの?リディア・ブレッドパンちゃん」

「な、なにその名前……うざっ」


私の名前は麦子だけど、加工されてるしなんで本名知ってるのよ。

勝手に名前をつけてきたアリオステルといい彼等はどこかおかしい。


「俺についてくれば元の世界に返してやんよ?」


キャスパニは長い爪で私の髪をくるくると指に絡める。


「お生憎さま、私はこの世界に来たかったから」

「あァわかってたけどよぉ?つれねぇな……」


キャスパニは離れていった。


「あははは!キャスパニ~リディアの眼中にないってよお~!さっさと帰れば?」

「ちっ」


ふわふわしたラヶスに煽られキャスパニが退散した。

いったいあいつはなんだったんだろう。


「で、結局リディアって誰のことなの?」


会った直後、アリオステルはまるで知り合いのことを呼ぶようだった。


「この世界に来る迷い人の総称さ」


つまり私の他にもリディアと呼ばれる迷える少女はいるらしい。


「というか、なにしてるの?」


―――アリオステルがダンボールのような箱に入っている。


「引きこもってるんだよ」

「もしかしてインドア派?」

「うん」


―――いや、大体そういう意味でたずねたわけじゃない。


「あ、言い忘れていたけど現実の世界に帰りたくなったら本当の名前は忘れないほうがいいよ」

「名前が帰る鍵になるの?」


「うん、でもこの世界に留まるとき、名前は忘れておくといい」

「じゃあ名前を決めたほうがいい?」

「うん」


「〔リディア=カロライナ・ブレッドパン〕にするわ」

「カロライナどこからきたのさ」

「テレビで見た唐辛子がそんな感じの名前だったから」

「じゃあこれからよろしくねリディア」


―――念願の不思議の世界、現実での名前を捨ててこの世界に永住も悪くない。

その為には荒れ具合をなんとかしなくてはならない。


「チックタク~時間に終われる~」

「あれは?」


背に羽を生やした男は大きな時計を抱え、床下五センチほど浮いてノロノロ進んでいる。


「あいつはジャロックっていうんだ。とりあえず時間にルーズなやつ」

「あんな遅いなら歩けばいいのにね」

「そんなことよりパティオンキングを倒して世界を救いにいこう」


―――パティオンキング、それがこの世界を支配する者の名ね。


「さあ早く王の元へ……って皆?」


言い出しっぺのアリオステルも含め彼らはそれぞれ茶会、昼寝など誰一人として乗り気ではないようだ。


「そんなに簡単に倒せたらこんなことにはなっていないさ」


ラハッティーはカップをおいて、溜め息をつく。


「……今まで誰か挑んだの?」

「君の前にリディアが16人やってきて、皆死んでしまった」


ラスマウが目を伏せながら話す。


「僕達はそれぞれ、パティオンキングを倒す為に役を代替わりしてきた」

「これが17度目の正直ってやつ。だからこれからどうするか決めてよ」


◆戦うか鍛えるか休むか?

【まずは鍛える】

【休むわ】

【今すぐ戦う】

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