鏡の中のヤンキー
俺は朦朧としながら担架に乗せられ、それでも意識をなくすまいと必死で、耐え続けた。
正直言って痛いより眠い、12才の少年には徹夜仕事はハード過ぎる。でも眠る訳にはどうしてもいかない、だってこの人ら、
「二郎ちゃん頑張れよ!ムムッ?駄目そうか駄目そうならすぐに言えよ、トドメいるか?」
「いらないっす。」
"チェッ"
「チェッてなんだ!誰だ今言ったの!出てこいコラッ!」
「二郎ちゃん気のせいダヨ、誰も運ぶのチョット面倒くさいなんて思ってないから。」
「いたいけな少年を運ぶのに何が面倒くさいの?」
「いたいけって言うか痛い奴、何よりもう見た目がな?」
「チョット待て!見た目!見た目何かヤバイの?どうなってるの?」
「コラッ!暴れるな!大丈夫だよ!サイズ的な事だから。」
「オイッ!これ以上ケガ人を興奮させるな!傷口開いたらまた面倒が増えるだろうが!」
「二郎も村までもう少しだからじっとしてろ!」
「・・・はい。」
「でもトドメが欲しい時はすぐ言えよ!」
「要らんわ!ガルルル。」
クソ〜眠いよ〜不安だよ〜痛いよ〜良いこと無しだよ〜早く家帰って寝たいよ〜
オ〜やっとこさ帰って来ました愛しいわが家!
"二郎〜"
あ〜皆でお出迎えか〜太郎兄ちゃんすんげ〜形相だな。
"どけどけまず部屋のベッドに寝かせろ。"
"二郎〜!" 「こんなに成っちまかって!」
太郎兄ちゃん、こんなに取り乱して心配してくれて・・・・
「トドメか、トドメなんだな、ってゆ〜か、殺させろ〜!」
えっ?ナニイッテンノこの馬鹿は・・・
"ボコン!"
"クチャ!"
「落ち着かんか!馬鹿者!」
"アッ村長"
「二郎ちゃんお疲れ様じゃったの、よう生きて帰ってきた。トドメは必要ない用じゃな、先ずはゆっくりとお休み。」
「村長〜!」
「よしよし。何があったかは、起きてから聞かせて貰うとしよう。」
"うっうっう"やっと眠れる〜zzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzz
ク〜スピ〜ヒィャ〜スピ〜プウッ・・・クサッ!
う〜ん、ん!「アレクさん?」
「おっ!お目覚めカ〜イ?」
「アレクさんお見舞いに来てくれたんですか?」
「お見舞いと言うよりは村長から頼まれての護衛カナ?」
「はっ?」
「二郎ちゃんが寝てる間に太郎ちゃんがトドメ刺しに何回もトライしてくるからアレク疲れちゃったヨ!二郎の事は兄である俺が一番分かってるんだ〜トドメ刺させろ〜ッテネ。」
あのクソ虫が〜!
「で、アレクさん太郎はキッチリ殺してくれたんですよね?」
「ヤダナ〜アレクは村の中での殺しなんて村長に言われない限り殺らないヨ!」
言われたら殺るんだ・・・
「じゃあ馬鹿兄貴は何処に?」
「ボコボコにして簀巻きにして外に転がしてるヨ。」
「あまい!あまあまダヨ!」
本当に似た者兄弟だなこの子らは・・・
「まぁチョット待っててヨ、村長呼んで来るカラ。」
「おお!二郎大分顔色も良くなって来た、よく眠れたようじゃな。」
「村長おはようございます。」
「うむ。さっそくで悪いが二郎ちゃん思い出せる範囲で良いから何があったか話して呉れんか?」
はい・・・・・
「フム、まぁこちらの考えていた通りの様だの。二郎ちゃん先ずはよく殺った。見事な戦いぶりじゃった。」
「そう言われても、途中から良く覚えて無くて?何か楽しかった様な変な気分でした。」
「うむ。それはな、二郎ちゃんが魔素中毒に掛かっておるからじゃよ。」
「魔素中毒? って何ですか?」
「ワシもな、詳しい事は知らんのだが、亜人共の血のには魔素というがあるらしくてな、戦などで大量に浴びると身体が吸っちまうらしいんだな。ホレッ戦から帰ると背が伸びた何て話を聞いたこと無いかな?」
あぁそういえば、聞いたことある様な無い様な?
「ヒャッヒャッヒャッ!よう分かっておらん様じゃな!」
「おいっアレクや手鏡持ってたら貸してくれ。」
「村長〜壊さないで下さいよ!」
「ワシが使うんじゃないワイ!ホレッ二郎ちゃん見てご覧。」
?・・・"なんじゃこりゃあ〜!"
手鏡には、モノスッゴいパツキンヤンキーが写っていました。髪は金髪オールバック眉は薄く三白眼
ゴツくて厳ついこちらの方は・・・
「二郎ちゃんじゃよ!」
"う〜ん、ブクブクブク!"
「こりゃあいかん!やっぱりトドメ刺しといた方が良かったかの?」
"ガバッ、はっ!夢かっ!"
「違うぞ、現実じゃよ」
「村長〜じゃあじゃあさっきのヤンキーは?」
「だから今の二郎ちゃんの姿じゃよ。」
「そっそんな〜僕の将来は美少年からイケメンに華麗に変身する予定なのに〜!」
「予定は知らんが産まれた時から美少年では無かったぞ。どう見ても悪ガキじゃった、鏡を見た事なったんか?」
「家に無かったし、でも川とかに写ってる感じはイケテたし!」
「そんなんワシの方が知らんし!大体両親の顔見てみろ!美少年は無理だろ!」
"ガーン! 二郎12年目の真実"
「まぁとにかく落ち着け!今の二郎ちゃんは身長が190センチ近くあるごっつい戦士じゃよ!なかなか迫力が在って大変ヨロシイ!」
"そんな・・・ウエ"
"オロロ〜ン ビェーン 二郎のアホ〜!タッタッタッタッタッ" 「・・・今のは?」
「二郎ちゃんに身長を大きく抜かれた太郎ちゃんの泣き声じゃのう。よっぽど辛かったんじゃろ。」
あの野郎簀巻きになってたはずじゃ・・・
「まぁなんだ!取り敢えず、太郎ちゃんはほっといてだな、二郎ちゃんのコレからについてなんじゃが、お主には魔素抜きをおこなってもらう。」
「それって?」
「うむ、今の二郎ちゃんは魔素の塊みたいなモノなんじゃよ、此のままでは二郎ちゃんは魔物になってしまう!」
「そんな・・・」
「安心せい、その為の魔素抜きじゃ。」
「何をすればいいんですか?」
「ナニ、大したことじゃない半年ばかり温泉に浸かってればいいんじゃよ。」
"へっ?"
「温泉じゃ!村から北西に10日も歩くと戦士の湯がある。そこで湯治をするのじゃ!まぁ一人では行けまい、家族皆で行っておいで。」
「はい!」
"やった〜温泉よあなた! 温泉に浸かりながらの一杯か、クッ〜堪らん! 温泉っ!温泉っ!温泉ってな〜に?"
「二郎ちゃん、お前さんの家は大分壁が薄い様じゃな。」
「スミマセン。・・・」
でもこれで魔素が抜ければ元の美少年に戻れるかも!
「村長?」
「なんじゃなアレクよ。」
「あの様子だと二郎ちゃん魔素が抜ければ元に戻れるって思ってるんじゃないですかネ。」
「かもしれんな!まっ無理じゃな。魔素を大量に吸ってしまうと人の身ではあり得ん変化をしおる、人の範疇に収まっておればよいがそれを超えれば人ではなくなる。飽くまで推測に過ぎんが二郎の奴、戦いの際にオーガの太刀を使ったと言っておったろ、あんなもの12の子供につかいこなせる分けが無い、おそらく魔素を吸った身体が生き残る為太刀を使える肉体に変化したのじゃろう。それにな、温泉で魔素を抜くのはこれ以上、妙な変化をさせんためじゃ!」
「二郎ちゃんには言えませんネ。」
「時間が解決するじゃろ。それにな戦士としてはあの肉体は有りじゃろう。ヒャッヒャッヒャッ!」




