二郎ちゃん追放
砦勤務も半年を越えた頃ようやく捕虜交換の話が纏まった。
これでやっと停戦だ!まったくあんな捕虜取らなきゃ良かった!捕虜を取ったのが自分なだけに怒かりの持って行き場が無い!
「二郎ちゃんにも、捕虜交換に参加して貰うから。」
「シルバ王子何ですか、唐突に?」
「捕虜交換って取った者が解放するって決まりがあるんだよ。
今回は二郎ちゃんが捕虜を解放する役ね!」
「面倒くさいです!」
「うん。そんなはっきり言われるとは思わなかったよ。でも此が終わったら停戦だから、終われば東の氏族の街に戻れるから!」
「了解しました!喜んでお役目果たします。」
"これより捕虜解放の儀式を行う"
"西ローランド王国第三王子出ませい!"
「・・・」
"東の氏族二郎出ませい!
「はい!」
"捕虜の武器と甲冑を返還せよ"
「ほらよっ!」
"捕虜は感謝と礼節を持って武器を勝者に"
「受け取れ、そしてこの私を忘れるな!貴様を殺す者だ!」
"捕虜は黙りなさい"
"ウオッホン 勝者は捕虜に慈悲の言葉を"
「・・・ドンマイ。」
"ブチン!"
「貴様今すぐこの場で殺す!殺しきる!」
「・・・ドンマイ」
"ウォォォォ 殺させろ〜"
「はぁ、つれて行け!二郎ちゃんもう少し何か言い方無かったの?」
「何言っても駄目でしょ、アレは!」
"殺〜ろ〜さ〜せ〜ろ〜!"
"さっさと引き渡せ"
「そう言えば、うちの族長や他の氏族が居なかったけど?」
「何言ってんの?3氏族は冬の前には引き上げたよ。」
「何と!聞いて無いよ〜!」
「ありゃ、てっきり知ってる者だと思ってたよ。」
「捕虜を取った後、話し合いで双方兵を半分国に帰す約定を結んだんだ。その結果3氏族は自分達の領地に帰ったって分けだ!」
「じゃあ帰ってない東の氏族は俺だけ?」
「そうなるね。」
何てこった!手柄立てて村に帰ろうと思ったら一番帰りが遅くなる何て!
しかし俺も15才もうギャアギャアみっともなく騒いだりは・・・アレ?
「シルバ王子。」
「なんだい、二郎ちゃん。」
「もう春デスヨネ。」
「そうだね。」
「僕今年で15才に為りました。」
「あぁそれじゃ、ちゃん付けは失礼かな?」
「15才と言えば大人です。」
「3氏族ではその様だね。」
「大人になったら、やらなければならない事が在ります。」
「ん?なんだい。」
「街コンに参加して嫁取りをしないと駄目なんです。」
"あっ!"
「多分街コンもう終ってる頃かと・・・」
「あ〜そうだね、残念だけど、でも来年参加したら良いじゃない。」
「シルバ王子は知らなかったんですね。」
「なっ何て事だ!私とした事が!」
「爺、どうしたのだ?」
「若!二郎ちゃんはこのままでは氏族追放になります!」
「なっ何故だ!たかが嫁取りだろ?」
「我々とは違うのです!
3氏族では15才の嫁取りに失敗した物は他国に行って嫁を連れて来ねばならないのです!
もともと3氏族は男に比べて女の数が少ないのです。
その為、女が男を選ぶのですが、選ばれ無かった者は魅力の無い者の烙印が押されます。
当たり前の事が出来ぬ者は村に置いておけない。」
「つまり、戻りたければ自力で嫁取りしてこいと?」
「何よりそうやって血が濃くなるのを防いでるのかも知れません。」
"つ・ま・り"
「僕追放・・・」"ギャアアアアア〜 ブクブクブ"
この日、東の氏族ロバ村ゴンザレスの息子二郎は氏族追放になった。
関係者のコメント
東の族長 あの馬鹿たれ!
ロバ村の村長 悶絶
ロバ村アレクさん 苦笑い
そしてご家族の皆さんはモヒ子さんの出産の方に気を執られ二郎さんの事を完全に忘れておりました。
二郎さんのご両親 初孫っ初孫!
二郎さんの兄と兄嫁 モヒ子良く頑張ったね!ダーリン! "ムチュー!"
二郎さんの弟妹 兄ちゃんだっせ! バ〜ブ
二郎さんの御言葉・・・"ウギョギョギョギョッキョェェェェ〜アバババババ"
二郎ちゃん嫁取り失敗する!
砦の執務室は重苦しい空気に包まれていた。
「まさかこの様な事になるとわな。」
「誠に、このカフジ一生の不覚です。」
「まぁ後悔しても、何も始まらん。先ずは二郎のこれからだ!」
「はい、追放された3氏族の若者は、ほぼ 同じ道を通ります。
先ずこの砦から見て南西にある都市国家に流れます。
これは掟によって東ローランドでは嫁取りが出来ないのと更に西ローランドでは4氏族は入国禁止されているからです。」
「その地で嫁取りをする分けか?」
「いえ、ほとんどの若者はこの地で冒険者ギルドに登録します。理由としましては主に生活の為です。」
「冒険者として金を稼ぎながら、嫁を探す!此がほぼ決まった流れです。」
「それでどれくらいの若者が戻って来るのだ?」
「約1割と聞いてます。」
「残りは異国の土に還るか、しかし私がいる限り二郎をその様な目には会わせん!」
「1つ方法が御座います。」
「それはなんだ!」
「奴隷の購入です。東ローランドには居ませんが西の国々には奴隷と言う者がいます。」
「金で売り買いされる人々だな。」
「はい、あまり褒められた話では在りませんが、3氏族の中でも族長、神官クラスの若者が失敗した際に内々でおこなわれている様です。」
「ふん!掟々と騒いでも実際にはそんな所だろうな!つまり二郎に奴隷を買わせる訳だな。」
「左様です。」
「良かろう、この際、善悪よりも実利を取ろう!しかし二郎1人で行かせて大丈夫か?特に金銭の事は教えたのか?」
「はい!一応教えて在ります。二郎ちゃん」
"ホゲ〜"
「二郎しっかりしろ!貴様自身の将来が掛かって居るのだ!」
「えっあぁはい、お金は、石貨、銅貨、銀貨、金貨、白金貨があって石貨10枚で銅貨1枚、銅貨10枚で銀貨1枚、銀貨10枚で金貨1枚、金貨10枚で白金貨1枚だったかな。」
「二郎ちゃん宿に泊まるのにいくらぐらい掛かりますか?」
「えっと、確か銀貨5枚ぐらい?」
「では、都市で1日必要なお金はいくらぐらい掛かりますか?」
「えっと、えっと、御飯を食べるのに1日銀貨1枚と宿代がで6枚?」
「まぁこのレベルです。」
「微妙だな?」
「はい。」
「それでも遣るしかないか!」
「で奴隷と云うのはいくら位するのだ。」
「ピンキリと聞いて居ます。年老いた者や怪我した者は安く金貨1枚から若い者美しい者は天井知らずとか。」
「二郎に金貨200枚を渡せ。それを持って奴隷を買いに行かせろ!」
"ビェ〜ン シルバ王子〜"
「泣くな、二郎、私にとって貴様は弟の様な者だ!頑張れ!そして必ずや帰ってこい!」
「二郎君、良いですか私にとって貴方は孫であり生徒です。」
"エッグ エッグ 先生〜"
「それと何があっても必ず手紙を書きなさい、此処には貴方の無事を想ってる人々が居るのだから、良いですね!」
「はい!」




