モヒ子見参
太郎兄ちゃんが嫁取りに街へ行って1週間、普通ならそろそろ帰って来ても良い筈なのに、帰って来ない。
最初に聞こえてきた噂話では無事嫁取りに成功したとの事に家族全員で胸を撫で下ろした。
しかし安心したのも束の間、今度は妙な噂が聞こえてきた。
上手く嫁さんをゲットしたのは良いが嫁さんの実家がチョットばっかし格上の家だというのだ!
相手の家の者がガタガタ言ってるせいで、村に帰るのが遅れているらしい!
ふざけやがって!同じ部族の間で上も下も在る物かっ!
もし太郎兄ちゃんに危害でも加えたら絶対ぶっ殺す!
怒りと不安でどうしようも無かった俺は村長に相談に行った。
しかし、村長が言うにはそう言った諸々の困難を乗り越えて、初めて夫婦になれるんじゃよ。
なんてぬかしやがる!村の皆も太郎兄ちゃんの事なんて全く気にもしてい無かった。
ある事実が伝わるまで・・・兄ちゃんの嫁さんが神官家の娘で神聖魔法が使えると知れる迄は。
これよりゴンザレス家の太郎とその嫁御の奪還の為出陣する。我が村に神官様(魔法少女)をお迎え出来るかどうかの瀬戸際である!我が村の興廃はこの一戦にあり、
皆命を惜しむな!
"ウォォォォ〜"
最悪太郎の命はどうでもいい!何がなんでも娘御だけは、お連れするのじゃ!
"ウォォォォ〜"
アカン!違う意味で太郎兄ちゃんの命が風前の灯に成ってる!
とにかく隙を見て太郎兄ちゃんを助けなきゃ!
族長の街は村から西に歩いて2日程の場所にある。話では聞いた事あったが、城壁で囲まれた城と言うよりは・・・砦だな!
防御の面ではしっかりした造りだ!
しかしさっきから門の前では、押し問答の繰り返しでいつまで経っても門が開く気配がない。
村長達は太郎とその嫁御を引き渡せと殺気だってるし、門の内側からは、族長が来られるまで待ての一点張りだ!
此のまま行けば間違いなく流血沙汰になるな!
その隙を突いて太郎兄ちゃんだけでも救い出す!
邪魔する者は刺し殺す!
俺がそう決意を固めた時、門の中から物凄いおっかない顔をしたおっさんが現れた。
身長は2メートル以上、スキンヘッドに髭面のゴリマッチョ!そのゴリラが野太い声で人の言葉を話やがった!
「久しぶりだな、ロバート、そして村の衆。」
「お久しぶりですじゃ、族長。」
"はい、タイム!"ロバートって誰よ?
まさか、あの下ネタ爺がロバート?
「父ちゃん、父ちゃん!」
「なんだ!大事な掛け合いの最中に!」
「村長ってロバートって言うの?あの顔で?」
「そうだ!名前何て物は大人になったら皆自分で好き勝手に付ける物だ!村長がロバートだからロバの村だ!」
"ガーン!"
だから村の子供達はどの家でも同じ、太郎とか二郎とか適当な名前ばっかりなのか!
知らんかった・・・
「二郎〜!大事な話の最中にでっかい声でワシの悪口を言うな!」
ヤベッ!聞こえてた!
"ガハハハハ"
「面白い奴が居るな、ロバートよ!」
「お恥ずかしい限りですじゃ。」
「そこの若い衆見ない顔だが名は?」
「ゴンザレスの子、二郎です。」
「ふむ、その年まで名を代えないのは分け有りかね?」
「族長、あれは老けて見えますがまだ13才ですじゃ。」
「ナニッ!ではあれが魔素に充てられたと云う子か?」
「左様ですじゃ。」
「二郎、知らぬ事とは言え済まなかった。」
「いえ!気にしてませんから!」嘘だけど。
「それより、兄ちゃんに逢わせて下さい!」
「そなたの兄?」
「あそこに居るのは此度の騒動になっている太郎の弟ですじゃ。」
「あぁ!そう言う事か。」
「構わんぞ入れてやれ!と言うより引き取ってもらえ!」
"えっ!"
神官の邸の部屋に兄貴は確かに居ました。
「太郎様そろそろ娘を連れて行って下さい!」
「嫌!俺はここで入り婿になって幸せに暮らす! あんな貧乏臭い家など知らん!
三食昼寝付きの生活を棄てる気は無い!
なぁモヒ子!」
「はい!モヒ太郎さんが望むなら兄達を呪い殺して神官家を乗っ取って見せます!」
"モヒ子!モヒ太郎さん!"
・・・・・・兄ちゃん。
「二郎っ!嫌っ!どなたか存じませんが私は神に使える身、身も心も神官家の人間です、どうぞお帰り下さい!」
「うん!取り敢えず殴るね!」
"ズドンッ!メキョッ!"
「お騒がせしました。連れて帰ります。え〜と兄嫁は連れて行っても良いですか?」
「どうぞ、どうぞ!」
「お義姉さん、弟の二郎です。コレからよろしくお願いします。」
「モヒ太郎さんからお話しは伺っています。」
"カ〜ッペッ!"
「調子っ呉れてんじゃねぇぞ!シャバ僧が!」
初めて知らない女性から唾かけられちゃった。
(テヘッ、)
泣きそうです!
こうして我が村に神官様(兄嫁)が、やって来ました。
村人の意見・・・やった〜これで戦などでケガしても治して貰える!
兄嫁・・・ええっ喜んで二郎以外な!




