1st 1-8 え?イベント?強制参加?
Fcoをログアウトした後、夕飯を作りました。今日は和風にしてみた。
「お魚上手に焼けてる、凄いです!」
「料理の出来る男はモテるらしいぞ、藍夜」
「藍夜君、お嫁に行くならまずは私に言ってね?」
「ありがとう母さん。姉さん、僕どっちかと言うと婿だよ?」
まあ、僕の様なちみっこは相手にされないから…。
母さん、魚を焼くくらいなら誰にでも出来るよ?料理だってもう半分位趣味だし。あ、そうだ、SP貯まってきたから料理スキル取ろう。そうしよう。
「どうだ、藍夜。ゲームを楽しんでいるか?」
「うん、凄く面白いよ!」
「っ!?満面の笑み!?そうか…良かった…つまらんとか言われたらどうしようかと思った…マジで。」
「基本的なプログラムは、全部治夏がやってくれたんですよ。」
「偉大なる父はやったぞ!強いのは母親だけではない!」
「お父さんすごーい!」
「AIの開発も、専門分野とはいえ、なかなか手こずった、です」
そうか…ゲームを作っている時期はやけに疲れが顔に出てると思ったら、そんなことが…。
僕の父さん、神尾治夏は凄いプログラマーらしい、Fcoの開発者、VR技術の第一人者だったりする。
そして、母さんの神尾乃亜もプログラマーらしく、VR技術の開発時に同じグループだった。
そしてそのまま一目惚れだったらしい(二人とも)。親の反対は特になく、あれよあれよと縁談が決まり、今に至るとか。年中新婚夫婦みたいなオーラを出す事で有名です。
「私達もFcoやらないですか?」
「したいのはしたいが…イベントの準備が」
「イベント!?」
「ああ、ついでにアップデートもしなきゃならんし…。」
「うぅ…家族皆でゲームしたかった、です…。」
「あの、イベントって…?」
「闘技大会をするんだ。ルールは回復以外なら何をしても良い。コンセプトはまさに「全力!」だ」
要するに無差別か…。まあ、僕は見学します。ゾンビ五十体はプレイヤー相手には心許ないね。
そんなことを思いながらイベントの話を聞き流す。
「良いねえ…無差別か…最近はPK狩りが八割位占めてるんじゃないかって位PK狩ってたからな~!対人戦は得意だよ~?」
「大会の詳しい内容は省くが、トーナメントだ。パーティーを組んでも良いし、レギオン組んでも良いし、その場合は狭すぎて動けないだろうけどな。」
「私も勝利判定のAIをパパっと作らないと、です。」
「因みに、紅陽も藍夜も参加登録済みだから。」
「おお!ありがとー♪思う存分レベル上げていくよー!!」
そっか、姉さんと僕は勝手に出ることになってるのか。そかそか。
というか、姉さんはPKKだったのか。
………………………ん!?
「あの、父さん?なんで僕も…?」
「思い出は多いに越したことは無いだろ?」
「えと、取り消しは…。」
「出来るぞ?」
「じゃあ…」
「ただし、一度全部バラさないといけないがな。」
「……え?」
「藍というプレイヤーが居て初めて作動するプログラムだからなー、あーあ、もう一度作りなおしかー、困ったなー?」
「えぇ~……」
何でそんなことを…むしろどうやって…?
「そこまで言うなら仕方ないネー、もう一度作り直すヨー。イベントが1ヶ月遅れるけど。」
「藍夜君!」
「ひゃい?!」
「参加しなさい。」
「え、でも「参加しなさい?」…わかった、わかったから、やるよ、やれば良いんでしょ!?」
「オッケー、じゃあ私はレベル上げに行くよ!」
姉さんはそう言い残し、走って行った。
どこでレベル上げしてるんだろう?
「藍夜、大会は一週間後だ。」
「うん…わかった。」
はあ、気が重いや…。
それと姉さん、お皿位自分で運びなよ……。
このあとは、レベル上げかあ。
頑張らなきゃ!