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第4話 ツクシ

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 チャラン♪チャチャ♪チャチャチャララン♪

 携帯の着信音が、朝の光をカーテンの隙間からこぼれる寮の一室に鳴り響いた。

 携帯の持ち主、ホムラが目を閉じたまま手さぐりで携帯電話をとる。


「おはよーん♪ホムラ朝だよん。焔の愛するオウカちゃんからのモーニングコールでーすよ!」


 ものすごく元気な声が、電話越しに流れてきた。耳から電話を離して、表示されている時間を確認してみると、まだ、入学式開始時間よりも明らかに早い。3時間くらい早い。入学式開始が8時30なのに対し、今は5時でだ。

 なんで、朝っぱらからこんなにオウカちゃんは元気なんだ?


「起きなきゃだめですよ~。早く起きないと勝負は、ホムラの負けになっちゃうかもよー」


 相変わらずのハイテンション。どこから、電話かけているんだ?まさか、部屋から?部屋からだったらアイツも同室の人がいないくちか?もし、言あたら朝っぱらからはた迷惑なことをやってることになるんじゃないか?

 俺の心配を知らずに、さらに大きな声で、朝のコールをしだす。


「おはよーおはよー、ホムラ。早く起きて男子寮から出てこないと、ホムラが男の子だってばれちゃうよー」


 あ、そういうことか。男子寮から女子の制服を着た女装バージョンの俺が出てきたら勝負の勝敗は、あっけなく決まってしまうわけか。

 ちなみに、俺は一人で女装できるようにオウカちゃんにむりやり女の子の身だしなみ等を習得させられてる。


「朝から、テンション高いな。おはよう、オウカ。ところでお前どこから電話かけてるんだ」

「えっ、寮の外だよ。起きてたなら、早く出てよね。ボクは、電話の向こうにいる焔の様子なんてわからないんだから!」


 微妙にふてくされているような雰囲気が感じられるのは気のせいか?


「オウカ、起こしてくれてサンキューな。寮だから、今迄みたいにお前にたたき起こしてもらうわけにはいかないもんな」

「そうそう。ありがたく思いなさい!で、朝食ってどこで食べれるの?」


 朝食の会場は、たしか女子寮、男子寮の食事処と、7棟にある学食だったよな。

 男女両方で食事が、とれるように7棟でも朝食が取れるのだ。こんなに多くの会場用意するのは大変だろう。


「学生寮でどうせとらねぇんだろ。なら、7棟だな。7棟って言ったってどうせお前は場所把握してないんだろう?地図みながら歩いたって迷子になるんだから、一人で動くなよ。今どこにいる?」


 そう、暗記力も弱いけど、オウカちゃんは、方向音痴だ。そりゃあもう壊滅的な方向音痴。


「えっとね、男子寮の目の前にいる」


 めずらしいな。迷子にならずに、初めての土地で移動できるなんて……そう感心していたら


「ホムラの場所はわかるよ。ホムラがどこにいたって、見つけられるよ。ホムラは明るいからね」


 意味不明な返答が帰ってきた。まぁ、この辺はオウカちゃんの能力によると個もあるのだろう。能力でとらえたものをない人にわかりやすく簡潔に説明せよなんて求められても困る。少なくとも俺は困る。感覚的っていうか、日常的なもんだしな。

 オウカちゃんが、俺を見つけられるようにたぶん俺もオウカちゃんならば、人ごみの中でも迷わずに見つけられる気がするな。オウカちゃんの周りの空気は、澄んでる。神聖っていうのに近いかもしんない。

 そのおかげで、オウカちゃんが近くにいると不思議なほどに雑鬼やら幽霊との遭遇率が減る。


「すぐ行くから待っててくれ」


 そういって電話を切ると急いで身支度をした。

 ちなみに昨日の夜は、寮につき次第爆睡してしまったため、夜ご飯をとってなかったりする。








「ん~。おいしい。ここ、学食なのにすごくおいしい」


 目の前で、ものすごくおいしそう食べられると、こちらまで食が進むのはなぜだろう。

 今日の朝食は、無難な朝食セットAで、サンドイッチとコーヒーOR紅茶、それからヨーグルトが付いてくるやつを選んだ。昨日の夜食べていないせいかお腹がすいていたため正直ものたりなかったりする。


「あら、嬉しいわね。いっぱい食べな。パンは、朝ここで焼いたからできたてだよ。ん、新入生かい?」

「はい、新入生です。ココの朝食、噂通り本当に、おいしいですね」


 満面な笑顔とともにかぶりつく姿は、とてもかわいらしい。

 だが、学食のおばちゃんに女子だって明らかにばれてると思うぞ。

 まぁ、おいしそうに食べてるから、見逃してやろうか。


「そうか、慣れない土地でいろいろと苦労するだろうが、何か困ったことがあったら相談になるからいいな」


 それだけ、言うと満足そうに調理室に下がっていった。

 珈琲をのみながら、時計を気にするとまだ余裕があったから、このままアゆっくりとオウカちゃんに朝食をとらせていても大丈夫だろう。







「みなさ~ん。おはようございま~す。これから入学しいを始めるので新入生の皆さんは体育館に集まってくださ~い」


 妙に間延びしたアナウンスが流れたときには、二人は既に会場に集まっていた。放送部とかがこういうアナウンスをするのだろうか?なんていうか、緊張感のないアナウンスっていうか、なんていうか……



  入学式……この場合入園式なのか?とりあえずそういう系は今まで何回かやってるせいか、緊張はなかった。緊張するよりも寝ないかどうか心配になるのがこういう式典。

 校長とかがものすごく長が長しく挨拶するっていうのがテンプレ的なのはどこの学校でも変わらない。

 だから、俺たち外部組の生徒はみんな揃ってそう思い込んでいた。


「はじめまして~、新入生の諸君。私が、この学園の学園長をしてます、崎守 籠目で~す」


 場違いなほどテンションが高い女の人の声が体育館中に響き渡る。

 ステージ上には、女若社長と言われればうなづいてしまいそうな容姿を持つ女性が、手を振り回しながら挨拶をしていた。


 はぁ?

 あれが、学園長!?

 入試会場に確かにあの人はいた。何もしゃべらずにいたから記憶に残っている。もしかして、しゃべらなかったんじゃなくてしゃべらせてもらえなかったんじゃ……。

 ものすごく、違和感があるっていうか容姿と中身が合わない女性だった。


「今、こんなのが学園長って思ったよね。こんなでもきちんと学園管理してるから安心してね。」


 手を振るのをやめて今度はウィンクしてきたよ……なんかものすごくこれからの学園生活不安になるよ。


(ホムラ、この学園長を視てみてよ!)


 心の中に直接意思が伝わってきた。オウカちゃんが能力を応用して、受信専用のものだったのを改良してを送信をできるようにしたテレパスという能力。

 届いた声はどこかはずんでいた。


(わかった)


 いつもは見えすぎないように制御しえいる目を覚悟を決めて開けてみる。

 瞼の中にあるもう一つの幕をはがすみたいな感じにすると、世界が変わる。


 そして、学園長を見てみた。



(学園長の周り、すげぇ明るい。オウカちゃん並みのやつ初めて見た……)


 感嘆の一言に尽きる。

 学園長の周りを銀色の光が取り囲んでいる。

 これが意味することは、学園長もまたオウカちゃんみたいに悪いものをひきつけない体質なのだ。むしろ、弾き飛ばす。

 茫然としばらく見とれる。その綺麗な光の乱舞に。


(その光、やっぱ……なんでもない。ボクが、読めない人間なんて珍しいから気になったんだ。)


 その言葉を最後に回線はきられた。

 オウカちゃんの方を開けたまま見てみる。オウカちゃんも、学園長と同じように光が取り囲んでる。取り囲んでるというより内側からあふれるような桜色の光が舞っている。


 ほかの人間を見ても、この二人のような光を持つ者は見受けられなかった。



「あ、言い忘れてたけど、銀樹学園にようこそ。学園は皆を歓迎するよ。まぁ、いろいろと不安だらけだと思うけど、何かあったら学園長宛にメール送ってね。」


 チャラン

 バババン

 キラキラン

 ブブブウウー


 体育館内にやかましく、着信音が響く。


「みんなが教えてくれたアドレスに、メール送っておいたからね。それと、今携帯が鳴った人式典では、マナーモードとか電源落とすのがマナーだから次から気を付けよう」


 俺は、マナーモードにしといたから音を鳴らさずに済んだ。

 確認してみると確かに新着メールが入っていた。学園長からのお知らせ☆っていう件名で……☆は余計だろう。


「必要事項とかは、メールに贈るから読んでね。それじゃあ、学園長からの話は終わるよん」


 なんていうか暴風のような人だと思った。



 俺は、この光の正体をまだ知らない。

 そして、学園長の光とオウカちゃんの光の違いに気が付くことも俺はまだ気が付かなかった。





 











花言葉は、「意外」「驚き」です。これは、学園長をさします。

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