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第3話 スイートピー

2013年8月01日桜花→オウカに変更しました。

 目の前に広大な敷地、そのすべてがこれから通う学園のものだと思うと正直気が引けてくるかも。ボクたちがこの学園に通えるのは、この学園長が優秀な生徒でお金がない生徒を優遇してくれてるからだ。

 ホムラは、元から頭がいいから成績いつも上位をとってるから、問題なさそうだけど……ボクはきつそうだな。記憶力悪いのがこんなところであだになるとは思わなかった。

 ボクは、ここまで来る途中で一人だったら迷子になってるかもしれないな。そう考えるとなんか僕がホムラなしでは勉強も日常生活もままならないみたいでいやだな。


 ―――俺、ここに通うのか。それにしてもほんとにここの敷地広いな。オウカちゃん迷子にならないかなぁ?


 暖かい陽だまりのような感情の波紋が、ボクの心の中に広がる。ホムラの心はいつも暖かいから、安心する。干したてのお布団に飛び込んでそのまま眠たくなるようなふわふわとして気持ちの良い感情を、ホムラは、ボクに向けてくれる。


「ホムラ、どうした?ぼぉっとしているのなら、ボクはホムラを置いて一人で寮に行っちゃうよ」


 本当はすごく不安で怖い。あたらしい場所、新しい人間。そのどれもが怖い。人減の心を読めてしまうボクは、人間を好きでいたいから人間の汚いところを知るのが怖い。失望したくないのに、期待してしまう。みんなホムラみたいに暖かい心ならいいのに。

 裏切られて傷つけられても、ボクはそれでも期待してしまう。


 ボクは、見えない境界線を飛び越えた。








 桜が舞う。ふわりふらりと弧を描きながら地に落ちては、風にあおられくるくると舞う。


「オウカ待ちなよ。一人で行って迷子になっても知らないぞ」


 目の前を堂々と歩く彼女が本当は臆病なことを俺は、知ってる。

 強がっているだけで、本当はとってももろいことを知っている。

 なぁ、お前から見て俺はそんなに頼りないか?お前の中の俺は、出会った頃の自分の殻に閉じこもった無力な俺のままなのか?俺を頼ってくれよ。


 弱音を吐くことを嫌ってることも、むやみに人に頼ることを嫌ってることも知っているけど、俺はお前が俺を必要として、手を伸ばすその時まで待つつもりはないぞ。



「ボクに迷子になってほしくないなら、早く着なよね」


 はぁ、どっからどう見ても俺から見たらその姿もその口調もボクっ子にしか見えないんだが、果たしてこれに騙されるバカはいるのか?


「ふん、この勝負わたしの勝ちはもらったな」


 ピンク色の頭を見失わないうちに、追いつくことに決めた。









「えっと、高梨 焔さんですね。307号室になります。相部屋の人は……高梨さんの場合いませんね。えっと、これが部屋のカギになります。なくさないでくださいね。なくすとお金かかりますから。」


 名前順で最後になるわけでもないのに、相部屋はいないのか。ラッキーだな。オウカちゃんは、大丈夫かな?

 へぇ、カギはなくすと金とられるのか。こりゃあ、気を付けないとダメだな。そんな風に思いながら適当に聞いていた。

 寮の受付は、すーむーずに一見終わるように見えたが……


「ところで、アナタ本当に高梨君?」


 ん?なんで、そんなこと聞かれるんだ?男子じゃなければ男子寮の鍵もらおうだなんて思わないよな。当たり前のことをなんで聞かれるんだ?



 そう、俺はこの時失念していた。

 俺が、いま女装しているという非常に重要なことを忘れていた。

 あんなに嫌がっていたのに、忘れるなんてふつうおかしいだろうよ。俺は、別に女装趣味じゃないぞ。ただ、着せ替え人形か何かだと幼馴染に勘違いされているだけだからな。

 あれ、俺は、誰に言い訳してるんだ?オウカちゃんじゃあるまいし俺の心を読むやつなんていないのに。


「はい、間違ってないぜ。わたしは、男だからな。学生所にも書いてあるだろう?」


 沈黙

 沈黙の後には、受け付けの人はものすごくまじまじと俺を見てくるが、正直やめてほしい。

 顔から火が出るんじゃないかってくらい恥ずかしいんだぜ。


「はい。その通りなんですが……マニュアルにはなかったもので驚いてしまいすみません。これ鍵です。学生生活楽しんでくださいね」


 マニュアルに、女装男子生徒への対応が乗っていてもそれはそれで驚きだぞ。


 若干ひきった笑美で、見送られて突き当りにある階段を速足で登ることにした。幸いなことに部屋に着くまでに誰にもあわなかった。


 どうやら、俺の高校生活は幼馴染のせいでいろいろと破天荒なものになりそうだ。















感想、評価お願いします。勉強になります。

の花言葉は、「門出」です。

花言葉って意外と難しいですね。何かいい花言葉があったら教えていただけると嬉しいです。

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