第1話 シロツメクサ
初めましての方、お久しぶりの方。皆様方に楽しんでいただけると嬉しいです。
ちなみに、サブタイトルは、「花言葉」にちなんでいます。
いつまでこういうサブタイトルが、つけられるかわかりませんが、頑張っていきます。
「ホムラくん!何逃げてるのかな……!」
女子の制服をもって、迫ってくる幼なじみかつ恋人は、今まで一度も見たことが無いような満面の笑みを浮かべている
「なぁ、冗談だよなぁ!!」
「?なに言ってるのかなぁ?ホムラくんに、わ・・・ボクがうそ付くはずないじゃないか。ふふふ」
「オウカちゃん!」
そのヒラヒラしたものを本気で履かせる気じゃないよね?
背中に冷や汗が流れる。
やばい。
さっきから後退しているはずなのに全然距離が開かないらかない
それどころか壁に近づくばかりか逃げ道が消えていく
「ホムラくん。大丈夫だよ。サイズはホムラくんにピッタリだから!」
そう言うと、明らかに女の子用の制服を、掲げる。
白いブラウスの胸元には、青色のネクタイ
黒いブレザーの上着には、校章がはいった金色のボタンが付いており、左胸には、赤と青、銀と金の糸でほどごされた刺繍
そして・・・
青色のギンガムチェックのプリッツスカートには、黒いレースがほどごされている
「かわいいよね。銀樹学園の制服」
ニコニコと、オウカちゃんは、口にする
確かに、かわいいデザインだと思う。
でもそれは女子が着るからこそ制服の可愛らしさが意味をなすのであって、間違っても男子が着るものではなかったと思うんだ
男子が女子の制服着たって気持ち悪いいもの以外の何者でもない
「大丈夫だよ。ホムラくんは、似合うから」
オウカちゃんは、心が読めます。
だからこんな考えごとやら、批評やらも丸わかり
「似合いたくないから、むしろそれオウカちゃんが着るべきものだよね。」
「だって、ホムラくんが言ったんじゃない!」
「へっ?」
何か言ったっけ?女装されそうになるような事なんて・・・「あぁあああああ!」
おいまじかよ。……っていうかどういう思考回路を持っているんだよ!
「俺言ってないぞ!口に出してない!!また勝手に読んだだろう」
「ふふふ、読まれて困るようなこと、ホムラくん普段から考えているのかなぁ?」
そりゃあ、昔言ったよ。すきにしろって。
だって、あのころはうれしかったんだよ。
俺と同じ世界を共有できる人間なんていないと思っていたからさ。
俺の見た世界を、オウカちゃんは俺の目を通してみることができたから…。
子供の時は、思ってもみなかったよ。こんな日が来るなんてさ。
ほら……いろいろとさ、思春期の男の子が考えるようなあれこれ……
「ほ・む・ら・く・ん」
あ、ヤバッ
「ホムラ君も男の子だもんね、うん。スカートの履き方が解らないんだよね!」
うっ。なんか嫌な予感……
どうして人間悪い予感ばかり的中するのだろうか
「大丈夫!わた―――ボクが、どこからどう見ても女の子に見えるようにしてあげるね♪」
結構です!
逃げる。
カッコ悪いと笑いたければ笑えばいいさ。逃げるが勝ち!
先手必勝というわけで、逃亡を図ろうとした俺
にこり
オウカが、きれいに笑った後、後頭部に鈍い衝撃が走った!
事の原因は、遡ること10時間前。昨夜にさかのぼる。
月の綺麗な夜だった。
園での生活が最後を迎えるその夜、少年と少女は静かに語り合う。
「ホムラ。もうすぐこの縁からお別れだね」
「あぁ、俺ら高校生になるんだな」
わたしたちは、明日から、別々の屋根の下で―――寮で生活することになる。
私立銀樹学園――――――わたしたちは、今年からその学園に通うことになる。
孤児であるふたりは、よもぎ園と呼べれる施設で育った。
出会った小学生のころは今は昔、よもぎ学園から去らなければならない日が近づいてきた。
ここは、二人にとって大切な場所。出会った場所であり、約束を交わした場所であり、そして想いを告げた場所。特別で大切な思いのたくさん詰まった場所だった。
出会った当初のように、わたしとホムラくんは、桜の木の下にいる。
肩を隣合せて、静かな夜を恋する人と過ごす。
これ以上の幸せがあるだろうか。
「ねぇ、ホムラ。似合うかなぁ?高校の制服」
立ち上がり、ホムラの前でくるりと一回転する。
スカートのすそが、ふわりと風にあおられる。
細く長い脚の白さに、俺は思わず息をのむ。
長い髪が、その動きに合わせて弧を描く。
桜の下の少女はまるで桜の妖精のように幻想的な雰囲気を醸し出す。
銀樹学園高等部の制服を、受け取ったのは、夕方。
一番初めに、新しい制服を着た姿を見せたいといって、「夕食後桜の木の下で」待ち合わせしたのだ。
俺も、目の前の少女と同じ学園の制服を着ている。
おろしたての制服は、ごわごわとしていて着慣れない。
まだ、洋服に着られている感じがする。
「にあう?」
上目づかいで聞いてくる姿はとても小悪的
一体どこでそういう技を身に着けてくるのだろう?
「かわいいと思うぜ」
だけど、ほかの男にそんな可愛い姿見せるのはちょっと嫌だな。
独り占めしたい。
どうして、離れ離れにならなければならないのだろう。
離れ離れになるのが嫌で、二人して同じ高校に進むっことを決めた。
特待生としての優遇措置を狙って、銀樹学園というここから少し離れた場所へ行くことを決めた。
寮生活によって、離れ離れになる時間が増えてしまうだろう。
いままで、俺とオウカちゃんは、なぜか同じクラスになり続けた。
学校でも帰っても一緒だった。
異端であるがゆえに、集団になじめなかった俺たち。
だから、互いを守るように、互いを信頼するように、依存するように生きてきた。
「ホムラ、学校では会えるんだよ。大丈夫、きっと同じクラスになれる」
「あぁ」
返事はするものの不安は残る。
また、あの時みたいになるのが怖かった。
「ホムラ……」
オウカちゃんのこえに悲しいものが混じった。
そして、俺はようやく自分の失態に気付く。
俺の心は、彼女に伝わってしまっている。
「不安だよ。俺は、オウカちゃんを失うのが怖い」
心の言葉を口にする。
オウカちゃんの前ではかっこつけなど意味がない。
「わたしもだよ」
オウカは、焔の隣に腰を下ろす。
焔の瞳の揺らぎも、心の揺らぎもオウカにはすべて伝わっている。
「ホムラ、約束する。最上 オウカは、ホムラ以外の人間のものになるつもりはないんだよ」
「俺も、お前以外のものになんかならねェ。オウカちゃん以外、誰も俺を信じなかった。ずっとずっと人間も世界もすべてを呪い続けた俺にとって唯一の例外だ」
オウカと焔は、どちらともなく互いの手を結び銀色に輝く満月を見上げる。
「月に、ちかうよ」
焔のその言葉にオウカは、くすくすと笑いながら芝居じみた調子で返事する。
「ホムラ、満ち欠けする月に誓うなど不実な男です」
焔の心にしまったという動揺が広がる。
「そういう……」
「しっているよ。わたしは、ホムラが誠実であることをね。ねぇ、その約束の証がほしいの」
月を見上げる、オウカの表情は、風に揺れた桜の枝で隠される。
わがままを言ってねだる姿は、女のもの。
「何がいい?」
「一目でわかるようなものがいいよ。……そうだ、ホムラ。私と今日から言いなさい」
オウカは、月から目を離し焔と目を合わせる。
「わかった。じゃあ、オウカちゃんは……ボクだな」
焔は一瞬戸惑い、拒絶しそうになる。
しかし、誠実さと想いの証として、それほどわかりやすいものはない。
焔の心の決心は決まった。
どうせ、異端なのだ。
ならば、とことん変わり者になろう。
それで、目の前の少女を手放さずに済むのならば。
「ボク!いいわ。今日から、ボクという一人称を使うわ。月にかけての誓いじゃなくてさ。ねぇ、ホムラ月を見上げて言うのなら、別の言葉がいいな」
「月がきれいだな」
ハイ、回想シーン終了
後頭部に鈍い痛みが残っているけれど、意識は覚醒した。
部屋の隅に転がる、コロコ〇で、どうやらオウカちゃんに俺は殴られたようだ。
とりあえず、起き上がる。
「はっ」
ふっと、嫌な予感がして自分の服装を顧みたら、案の定というかなんというか……
銀樹学院の女子の制服を着せられていた。
どうやら、オウカちゃんは、一人称を変えるに飽き足らず、姿かたちもその証としたらしい。
だけどな、いくらなんでも、突飛すぎないか?
って、いうか人を気絶させて勝手に着せ替えるなよな。
「ふふふ、ホムラ。似合っているわね。これでだれが見ても、OKよ」
やりきったぜというしぐさで、額をぬぐう。
視界の端にちらちらと映るとある月刊漫画雑誌。その端が少し曲がっているのは……あれで殴られたということなのか?
ヒョイッっと俺の心の中で渦巻く疑問に気が付いているだろうに歯牙にもかけず、ポケット鏡を投げつけてきた。
焔が、回想という名の気絶をしている間にオウカが、無理やり着せた女子制服に、どこからか調達してきたカツラを、かぶらされている。
元の髪の色とそう変わらないカツラをよく見つけてきたなこの短時間に。
そして、顔に薄くだが、化粧をほどごされている。
オウカちゃん、俺は着せ替え人形じゃないよ?着せ替えるんならせめて、男性用の服にしてほしいな。
恐る恐る除いた鏡。鏡に映る俺はどこからどう見ても女の子にしか見えないからこれまた恐ろしい。
「すげぇ」
思わず感心してしまうほどの腕前だと思う。
なんせ鏡に映る俺は、銀樹学園の制服を身にまとうポニーテルの髪型をして活発そうな女子高生のソレだったからだ。
女装が似合っても別に嬉しくないよ?男装がかっこよく見える男性でありたいんだけどな……。
悪の元凶たる、オウカちゃん。
オウカちゃんは、俺が着るはずの銀樹学園の男子制服を自分のサイズにいつの間にか改造し、着こなしていた。男装麗人っていう言葉があるけどさ。
オウカちゃんのそれはちょっと違って、少し気弱そうで眠そうなイメージを持つ少年にしか見えなかった。
髪型が変わっているせいか、女の子って言われなきゃわかんないかもしれないってくらいに違和感が全然ないのは、女の子としてはどうなんだろう?
やっぱ、心外なのかな。
女の子って化けるんだなぁ……って俺は感心してしまうけどさ。
ところでさ、……なぁ、どうしてこの制服、昨日までオウカちゃん使用だったはずなのに、俺にピッタシなんだ?
スカートという点を省いたとしても気味が悪いほどに、サイズが合っているのだ。
「オウカちゃんも、似合っているよ」
ホント、なんでオウカちゃん男装が似合ってるの?
ところでさ、さっきからすご~く気になっていることが俺一つあるんだけど聞いていいのかな?
「ありがとう♪ホムラ、これで、心配いらないでしょ。ふふふ、これで、ボクの貴重な高校制服カッコ女子バージョンは、ホムラだけのものだよ」
にこにこ
えっ、あの時!まさかぁ……あの時も、心読んでいらっしゃったのですか?オウカ様!!
「今もね」
「能力乱用だぁ!訴えてやる」
「だれに?」
「うっ」
警察に言ったって誰も信じはしないよな。
ちょっと頭の痛い子扱いされるか、精神病院行きかもしれねぇし。
あれ、それよりも。こんなことして問題にならねェの?せっかく、学費免除で入れたというのに問題行動なんじゃないの、コレ
「あ、でもさ。大丈夫なのかよ。かってに制服入れ替えて」
「ヘイキヘイキ。だって、銀樹学園は、制服改造OKだしね」
まぁ、でもいいやぁ。
これで、高校生活でオウカちゃんに悪い虫がつく心配しなくていいはずだし
俺のこの時の予想は、裏切られることになる。
彼女は、悪い虫ではなく、花を引っ付けてしまうことになるとは、この時の俺たちは思いもしなかった。
「ねぇ、オウカちゃん。その髪型ってカツラだよなぁ?俺のみたいに」
おずおずと尋ねた、焔にオウカは、あっさりと答える
「何言ってるの?地毛だよ」
……
しばらく何をオウカが言ったのか呑み込めなない様子の焔。
オウカの言葉の意味を、理解したと思われる次の瞬間焔は避けんだ。
「何やってんだよおおおおお!!髪は女の命だっていうだろうが!あんなに長くてきれいだったのに!切っただぁ!」
この後、焔は二度とオウカが髪をバッサリと切らないようにきつくきつく、怒った。
普段強気で焔を振り回すオウカが涙目になるほどに。
「女装されたことに怒らず、彼女が自身の髪の毛を切ったことに怒るのね」
本を抱える女性の影は、そういってクスリととても楽しそうに笑った。
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誤字脱字に気を付けてますが、多々あるかもしれません。報告お待ちしております。
「」文の最後に。は、つけないのではないかというアドバイスをいただき、直しました!
神代零[http://mypage.syosetu.com/339905/]さん教えてくれて、ありがとうございます。
シラツメクサの花言葉は、 「約束」「私を思って」 です。