第9話 スプレーマム
目の前にいる女性の心を覗き見ようとするけど、周波数が違うのかうまく読めない
ただ、敵意や悪意を持っていないことと、暖かな感情を持ってることはわかる
彼女の持つ色がそう言っている。
「なにか、聞きたいことがあるようだね♪いいよ、なんでもこたえちゃう!スリーサイズでも何でもいいわよ~ん」
「そうですね、それではまず確認しておきたいことがあります。」
「オウカ?」
ホムラは、やっぱり気が付いていなかったみたい
「ボクが、男装していること知っていましたね。そして、なぜ放送であえてボクの名前にクンをつけて、ホムラの名前にチャンを付けたのですか?」
真っ直ぐと射抜くような瞳に射抜かれることも怖気づくこともせず、学園長えある女性はふわりとほほ笑む。
「だって、その方が面白そうですもの」
隣に座るホムラが、自分からばらしてどうするんだ!って思っているみたいだけど、この際スルーさせてもらうわ。
このヒト、侮れないもの
「えっ、いつ知ったんだ!今は、面接してるからわかるけどさ。まだ、ろくに顔を合わせていないのにどうして私が女装してるってわかったんだ?」
私もそれは気になってた。
こういう詮索にこたえてくれるのかしら。なんでもこたえるって言っても、なんでも文字通り答える人なんていないでしょうし
「私は、学園長ですもの!みんながどういう風に生活してるのか、暖かく見守ってるんですよ。あ、監視カメラとか盗聴器の位置は教えられないからね。いじめとか暴力行為があったり、横暴な教師を監視するためにあるから。大丈夫、ちゃんと金庫にしまわれているもの」
「そうそう、二人の事情は知っているつもりだよ。それで提案があるんだけどね、私の友人の樹理ちゃんが、変わった子募集してるんだよね。君たちみたいに、別の層を見れちゃったり、心を見れちゃったりする不思議な力を持つ子をね」
なんで知ってんだ!
俺は一言も言っていないし、オウカもきっと言っていない
隣で驚いた表情をしているからな
学園長っていったいなんなんだ?
オウカと同じように、心を読めるのか?
オウカが読めないのは、同じ能力同士が衝突して効果を相殺しているのか?
オウカの能力を知っていて何らかの方法で読まれることを防いでいるのか?
何者なんだ?
俺たちが入学した学園の長は、いったいなんなんだ。
「安心して♪誰にも言わないし、言いふらしたりするつもりないからね。私の学園に入学するこのことは一通り調べてるんだよ♪特に、特待生制度で入学する権利を上げることのことはよく調べるんだよ」
いったい新入生がどれだけいるんだと思ってる。それを調べるなんて大変だぞ。それに人を雇うにしても金が結構かかるだろう
俺たちの能力についても知るなんて、どんだけ詳しく調べてるんだ。
特待生だといってもあと数人いるはずだぞ
そこまでするメリットはなんだ?
「そのバイト先はどのようなことをしているのですか?」
「ん、気になる?」
俺が、ぐちぐち考えている間にもオウカと学園長は、話を進めいていく
「はい。ボクらの異能が、なければできないバイトなのでしょう?常識にとらわれていてはやっていけないような内容で、そのバイトには危険が付いて回るバイトですか」
「うん♪ちょっとした。皆既トラブルを解決するバイト。給料めっさいいよ!それに、こそこそ、オウカちゃんがホムラ君の部屋いかなくても、二人で暮らせるかもよ。バイト先のとこに下宿させてもらえるから♪」
どんなバイトだよ!
俺らの能力って十分いたんだと思うのは俺だけだったのか?
なのに、学園長の子の平然としている感はなんなんだ。
まるで、見慣れてるとでもいうような
まぁ、避けられるよりはましだが、正直気味が悪いぞ
おれ、能力はいたんだけど常識人である自信はあるぞ。そんな、常識が覆るようなバイ先なんて嫌だよ。
それよか、危険なとこっていやだって!
そんなとこオウカに働かせられるわけないだろ
オウカに危険があるバイトなんていやよ。どんなに給料がよくったって安全には代えられないだろ?そもそも自分から、危険に飛び込むなんてバカのすることだろう!俺は、平穏がいいの!誰にも邪魔されずにオウカとのんびりほのぼの学校生活を送るのが目的なの!俺の青春は、断じて危険に突っ込むことではない!
「学園から近いということですか?」
「そうよ♪もう、目と鼻の先くらい近いわ!」
……
…………
………………
オウカ!!!!なんで乗り気なんだよ!隠しきれてると思ってるかもしれないけど、もうすでに乗り気だよね!声に喜色が混じっているぞ!
明らかに、二人で下宿できるっていうところに反応したよな!そういうところを喜ぶのって普通男じゃないのか?オウカは、男装すると思考まで男化するのか?いや、そんなはずはないだろう。
「そこは静かですか?」
あっ……そうか。
いまわかった。昨日オウカが俺の部屋に侵入してきた本当のわけ。あそこは、オウカにとってうるさすぎたんだ。ダレカの悪口、妬み、噂……そういうのが、女子寮にあふれていたということか。オウカは、相部屋だったらしいから、隣の人の心の声が侵入してくるってことか。いくら、聞かないように耳をそう向けても聞こえてきてしまう。制御できるらしいけど、果然にシャットアウトすることは不可能らしいから……。だから、一番安心できる俺のところに来たのか。俺は、読まれることに慣れてるし、一人の心に限定っせておけば。周りの雑念が入りにくくなる。
そして、学園長はオウカの意図する「静か」を正確に読み取って……
「静かよ。きっとね。少なくともここよりは静かでしょうし、ホムラ君もついてきてくれるだろうしね♪」
下宿はまぁ賛成だよ?でもさ、オレは、お前が危険にさらされるのは嫌だ。
お前が、けがするような事態に巻き込まれたくない。俺はどんなに傷つけられても構わないけど、オウカに傷ついてほしくはないんだ。そりゃあ、守るよ!俺の力の届く限りできる範囲さ。でも、もし……俺の手の届かない範囲で、対処にの仕様のないことに巻き込まれてお前を守れなかったらって思うと正直怖い。
怖いんだ……
花言葉は気持ちの探り合い
学園長の真意は謎。オウカも読めぬ学園長はいったい何?学園長の紹介したバイトを受けるか、受けないか……