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プロローグ 運命の出会い

少女の形をした特異点は、銀の羽をもつ少年の形をした何かに告げる


「人の一生は、桜の花のようね」


「ホムラ、いつから気がついていたのですか」


セーラ服に身を包む少女は、学ランを纏う少年に尋ねた。


「かなり、最初の方から気づいていた」


「そうですか。知っていて知らない振りをしていてくれたのですね」


ボクは、しられたくはなかった。

しられてしまったら今までのような関係には戻れない気がして怖かったから。

でも、今はその恐怖がない

ホムラの声が、優しかったからかもしれない。


「ホムラ……僕は君が 」 


だから、拒絶されない気がしたから、告げよう。この胸に秘めた思いを、君に…。


「それ先に俺に言わせてくれないか」

「えっ」

「俺は、―――高梨 焔 は 13年前の桜の季節からずっと、あなたが―――最上 桜花 が この世で一番 大切です。好きです。大好きです 」


「ホムラ」


君は、こんな僕を好きでいてくれた 唯一のそんざいだよ。

君の思いはなんてうつしく輝くのだろう。

君が眩しすぎて遠いいと感じたのはこれでいったい幾度目だろうか。


そのまばゆい思いに、 

恋心に、僕は答えることが出来るのだろうか。

その手を本当にとっていいのだろうか?


それでもボクは、ホムラの想いに答えたいと思う。

いまようやくわかった気がする。この心に宿る暖かな想い、その正体に。

それが人間の言う 恋心であるということに


ホムラが好き。


それは、混じりけのない本当の思い。嘘ばかりついて、本音を隠して、素性すらも隠していたのにね。この思いだけは隠せない。


「すきよ。僕も好きだよ。ホムラ、僕を受け入れてくれますか。だから、ホムラ僕―――わたしをあなたは、受け入れてくれる?」


「しつこい!何で早く言わないって怒っている。それだけだ。お前が何であろうがなかろうが関係ない!俺は、今俺の目の前にいる貴女が好きだ。ただそれだけなんだよ。受け入れるとか受け入れないかとかに問題じゃあない。ただ、一緒にこれからの道を歩めるかそうでないかでしかない。どっちだ」


「そんなの決まっています!僕―――わたしは、ホムラと共に歩みたい」


「ならそれでいい」


「ホムラ」


「なんだ」


「わたしは、今夢の中にいるみたいです」


夢じゃねえよ。

夢であってたまるか。

想いを伝えるのにどれだけの勇気が必要だったと想っているんだ。


あぁ、流れ込んでくる。触れていなくても、覗かなくても、分かるほどに、強く強く想いが打ち寄せてくる。


「ホムラ……わたしは、君に出会えて幸せですね」











☆出会い☆











桜が、舞い散る中俺たちは出会った。俺は、両親を交通事故でなくし、よもぎ園という施設で暮らしていた。


両親のことはもうあまり覚えていない。薄情な奴だといわれても仕方がないのかもしれない。物心ついたころには、親戚の家を、たらいまわしにされていた。どの家でも「違う」のだという事実が、付きまとう。他の子供と違うのは、「本当の家族」ではないからだと、うっすらわかっていた。だけど、それだけではなかったんだ。


視界の端に、お腹に包丁を刺したままのサラリーマンが入る。自分が死んでいることを理解できずに、まだこちらをさまよう亡霊は、時たま視界を横切る。


どうしてか、俺の見えているものはほかの人と違うらしい。俺にとって太陽が東から西へのぼり、月が顔を出すのと同じくらいにそれは当たり前の事だったから。

いつしか、俺の異常な言動が忌み嫌われ気味悪がれ、みんな離れていった。最終的に、施設に投げ込まれることになった。


―――――――――俺は、嘘なんかついてない!


だがいつしか虚言癖のある子供として扱われるようになった。ここの園にいるのは、俺のほかに11人いる。その中に、同い年の子供は一人も居なかった。いや、居たとしても、なにをいっても信じてもらえないのだ。仲良くなれるわけがない。


だから、信じてもらうことを諦めた。どんなに努力したって、一度はられたレッテルは並大抵の努力では覆らなかった。


もうなにも信じない。俺を、うそつき呼ばわりするのなら話しかけるな。大きく黒い瞳に宿した頑なな拒絶の意志は、一種の結界のように、人を遠ざける。それは、人払いの結界であり、俺自身を守るためのもの。


そして、努力の方向を切り替えようと思った。普通であろうと努力しても、そんな努力を畔笑うかのように、異端な存在が街燈に群がる蛾のように集まって俺の異端性はあらわにされてしまう。


弱い俺は、周囲を威嚇することでちっぽけな自分の心を守るので必死だった。


誰も結界を破ろうとしなくなってから、何年たったのだろう。天気がよく昼寝に最高な昼下がりそいつはやってきた。フツウや平凡って言葉に必死にしがみつこうと努力する俺をせせら笑うかのように、どこまでも突き抜けたやつだ。


そいつは、女の子の形をしていた。枝垂れ桜のような色の長い髪に、闇夜に輝く満月を連想させる目。隠された秘密すらも見てしまうのではないかと勘違いしそうなくらいすんでいた。


そいつは、自分がみられていることに気がついたのかそれとも偶然なのか解らないが、にっこりとほほえむ。


「わたしは、最上 オウカ よろしく。不知火 ホムラくん」


手を出してきた。

握手した。


こいつもどうせあと数日たてば・・・

もう俺の手を握ろうと思わないだろう。


あぁ、無知は罪だ。知らないからこそ、俺に話しかける。知らないからこそ、仮初のぬくもりを与えてくる。


そう思うとこの握手すらむなしいだけだった。どうせ仲良くなんてできない。こいつも俺を排除するだろう。


「わたしは、キミをうそつき呼ばわりしない。絶対よ。ホムラくん、だからわたしと友達になってよ。うん、友達以上の関係でもいいよ。むしろ、それを目指そう。大丈夫、わたしとホムラくんきっと相性がいいもの」


何なんだこいつ。俺は、一言も名乗っていないのに、なんでこいつは俺の名前を知っているんだ? 不快だ。あぁ、どうせ園長のやつに頼み込まれたんだ。どうせこいつも……。本当に、人間もあいつらもみんなみんな大っ嫌いだ。


「先生方は、君の名前をわたしに伝えていないよ」


あまりにも絶妙なタイミングで、少女が言うので、ぎょっと驚かされた。一瞬、心を読んだという発想が浮かぶが、そんな非現実的なことがあるはずがない。非科学的だ。どうせ、あてずっぽうか、推測だ。


「読んでるよ。わたし、さっきからずっと。非現実的って、お化けとか妖怪とかそういうの普通に見えちゃうキミにだけは言われたくないんだけど。」


心底不本意だという表情で、まさか肯定が返ってくる。あまりにもあっさりという。だけどいくらなんでも簡単に信じられるものではない。俺の目にしろ、こいつの心を読めることだって立証することは難しい。人間って生き物はなかなか他の人と違う生き物を認めたがらないんだ。何て頭が固いのだろう。


「信じてくれないの?ホムラくんは、わたしがうそつきだと思う?」


噓吐き。普段散々疑われている俺だからこそ、簡単に口に出せない言葉。その言葉にどれだけ木津つけられてきただろう。


「いいや……ただ本当かと疑問に思っただけだ」


「それって、十分わたしを疑っているよね。もう、わたしのはキミのと違って、相手の考えていることすべて当ててしまえば証明だって可能だよ。今、キミの考えている。暗~い内容、ぜ~んぶ口に出していってあげようか。だいたい、君だって、似たようなものでしょう?」


明るいテンションなのに、少し低く、冷たい声。その声は俺に確信させた。


「最上だっけ。あんたに、何がわかるっていうんだよ」


「えぇと、だいたいはわかるよ。高梨 焔は、化け物が見える。霊感持ちの子供ってことでしょ?」


霊感持ちの子供。その通りだった。

この世にいないはずの死んだ人間やあやかしが見えてしまう特異体質。


「見えない 聞こえない 知らない だからといっていないわけではない。

見える 聞こえる しっている者の前には確かにある。そうでしょう?」


「そうだ。なぁ、こわくねぇのかよ」 


「君が?それともわたしが?アハハ わたしも同じことききたいよ」


「俺は、怖いと思わないよ」


あんたの周りはきれいだ。

怖いやつや、やな奴の周りにが雑鬼がうようよいるしな。


怖いのは、俺自身。


「わたしも一緒。君の心はいい。わかりやすいしね」


「わかりやすい?」


「うん」


「俺が バカ正直みたいな言い方するなよな」


釘を刺しておく。


「違う。君の行動の真ん中あたりが しっかりしているって言うこと」



「訳わかんねぇ」


だけど、こいつなら俺を信じてくれるかも、いけねぇ。俺はこいつに甘えようとしている。


「甘えなさいよ¥ホムラくんより、半年もわたしの方が年上だから年上命令だよ。そのかわりわたしも君に甘える」


前半戦の強気はどこやら、後半戦は顔を真っ赤にしていう


こ これが、マンガで言うツ・・・


ツンデレ


「ちがいます」


「いけねぇ」



こいつ心読めること忘れてた


「オウカよ。いい加減こいつとかあんたとか言うのやめてよ」


すねるように言う姿は、どきりとするほどかわいかった

おうか

おうか


それが、名前


「オウカ」


初めてよんだそいつの名前は、春の木漏れ日のように暖かい何かを俺の心へと運ぶ


「そうそう、ちゃんなんか付けなくていいから同い年だしね。」


「ホムラでいい」


ぶっきらぼうに伝えた言葉




それが俺たちの関係の始まり
















ふたりはまだ知らない。何も知らない。

互いの過去も互いの力も何もかも知らない。

まだ、二人の心は遠くかすかに触れ合っただけだ。



これは二人の異端の少年少女が、何かを求める物語



大きな大きな樹の下で、装飾のほど後された大きな本の持ち主である濡れ羽色の髪を持つソレは、慈愛に満ちたりた笑みをうかべ告げる。


「霊能少年と読心少女の物語の始まり始まり」


本には、『王華』と書かれていた。









感想、評価お待ちしております。気軽にどうぞ。


オウカの一人称出会い編 僕→わたしに変更。


私の物語が皆さまのひと時の楽しみの場を提供しますように。

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