破れた手紙
「…もう、お終いね」
彼女は、静かに俺に言った。
それはつまり俺たちは別れるということを意味している。
「そうかもな」
「かもじゃない。そうなのよ」
俺が言った言葉を、彼女は訂正する。
「…やり直せないのか」
コクンと彼女はうなづく。
「…そうか」
俺たちのちょうど真ん中には、半分に裂かれた封筒が、さみしげに落ちている。
「なら、お別れだな」
同棲を始めて2か月。
ずっと楽しかった。
ずっと笑っていた。
でも、俺たちは合わなかった。
「さようなら、私が大好きだった人」
「さようなら、俺が大好きだった人」
最後、それだけを言って、俺は彼女の家から出た。
これで、きっと、会うことはもうないだろう。
振り返りはしなかった。
きっと後悔するから。