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このエッセイはフィクションです  作者: 神楽ユリ子
第一章 二十九歳の諸々
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007.おひとりさまなげやり

 最近、というかだいぶ前からだけど、本屋の女性向けエッセイコーナーに「おひとり様入門書」的な書籍が並んでいるのを見る。何冊もあるってことは、それなりに需要があるのだろう。

 内容はだいたい、「ひとりでも楽しむにはどうすればいいか」「ひとりでもできる趣味」「最初は勇気がいるかもしれないけど、一度やってみれば意外とイケる」、そんな感じ。そしてそれらの本に根底にそこはかとなく流れる、ちょっとした自虐と、でもこれはこれで新しい生き方としてアリだと思うよ! という、なんとも言えない肯定感。

 しかし、おひとり様な生活って、本読んで身につけるようなものなのだろうか……。好き放題生きてきた結果、気付いたらいわゆる「おひとり様」な行動に全く抵抗がない私からしたら、本読んでまで頑張って身に付けることでもなくないか? と心配になってしまう。

 私の場合、中学生ぐらいの時からあんまり周りと趣味が合わなかった。だけど興味のない人に無理に付き合ってもらうのも非常に申し訳ないので、興味のあるところには一人で行き、行った先で適当に知り合いを作り、適当に楽しく過ごしていた。つまり、知らないところに一人で行くという不安よりも、好奇心が勝った結果なのだ。

 今でもそのスタンスなので、行きたいところにはライブだろうが美術館だろうが映画だろうが、行きたいと思ったタイミングで行く。他人がいると気が散るからあえて一人で行くときもあれば、タイミングが合って誰かと一緒に行くときもある。だけどそれはあまり重要なことではない。根底にある好奇心が一番重要なのだから。

 だからなんて言うか……人それぞれ好きにすりゃいいんだけどさ。結果的に一人、なのであって、一人じゃ寂しいな、って思ってるのに一人でも楽しめる生き方を身につけるのは、それはそれでしんどいんじゃないかなぁ……と、誰が買ってるのか知らないけど、心配になってしまうのです。全く違う二人の占い師から「あんた、すごい変わり者だから生きてるのしんどいでしょ。しかも変わってるっていうのが外見に出ないから、さらにしんどいね大変だね!」と指摘された私よりも、よっぽど生きてるのしんどくて大変そうだ。

 でも、ほんとは一人で気ままに出かけたりしたいのに、そういうのおかしいかしら? と不安に思ってる人の後押しにはいいのかもしれない。っていうかそうか、冷静に考えてそういう人向けだよな。そうだよな!

 まぁ、ひとりじゃどこにも行けない、って人よりはめんどくさくなくていいか。学生時代とか、どう考えても男はデートのつもりでいるのに、「二人じゃ会話続くか心配だからついてきてー」みたいなことを言い、ついて行ったら結局二人の世界、あれ、なんでか知らないけど邪魔者っぽくね? という空気に耐えて帰ってきてぐったりして、挙句「付き合うことになりました^^」みたいな報告メールが来て、どうでもいいけど電車賃くらい返してくれないかなぁ、という非常に貧乏臭い思いに苛まれることほどめんどくさいこともないからな。例えがやけに具体的なのは気のせいです。

 まぁ結論としては、孤独を飼い慣らすことが人生とも言うから、自己責任ということでもうどうでもいいや、みんなで好きに生きたらいい、という、非常に投げやりな、あまりに投げやりな結論に至ったのであります。

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