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このエッセイはフィクションです  作者: 神楽ユリ子
第一章 二十九歳の諸々
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003.相性の悪い分野

 どうしたって、「なぜこのタイミングで!」「せめて今でなければ……!」という、タイミングの悪い出来事に生きてる限り何度か遭遇する。古典的に言えばマーフィーの法則みたいなもんだろうか。さらに言えば、その悪いタイミングも、なぜか毎回似たような状況、似たような分野で起こる、と感じる人も少なくないだろう。自分にとっての縁起の悪い状況、展開とかね。

 その分野が、私にとっては情報システムだ。

 先日、別に訴えられたわけでも訴えるわけでもないが、色々の事情により裁判所のHPにアクセスする必要があった。裁判所のHPなど滅多に訪問しない。グーグル先生に「裁判所」と入力し、表示された検索結果の一番上をクリックし、しばし待つ。

 ……あれ、裁判所のHP、繋がらない……?

 リロードするなどして何度も挑戦するが、状況は同じ。どういうことだ。曲がりなりにも我が国の司法の最高権力、そのHPが繋がらないってどういうこっちゃ。がちゃがちゃと検索結果画面に戻ったりしていると、いくつかのニュースを発見。それによると、何やら領土問題絡みで赤い国からサイバー攻撃受けて、その復旧に手間取っているという。

 えーーー! よりによって今! 書式ダウンロードしたいんだけど!

 しかし、一庶民が喚いてもリロードしても、状況は変化するわけもなく。むしろあんまりがちゃがちゃやるとF5アタックと勘違いされそうなので、仕方なくその日は諦める。

 つーか裁判所……そんなに簡単にサイバー攻撃受けて、簡単に改ざんされて、一週間もHP閉鎖すんなよ……。なんのための税金さ!ふん!

 とはいえ私も間が悪い。一週間前だったならばまだなんとかなったし、その翌週にはさすがに復旧してたのだから。

 そういえば、年初に国会図書館に行ったときも、大変な目に遭った。

 資料を探しにおよそ一年ぶりに国会図書館に行ったのだが、土曜日とはいえ不自然に人が多い。なんか長蛇の列ができている。あまり土曜日に行ったことが無かったので、こんなに混むもんなの? と思いながらも入館手続きをしようとすると、係員のお兄さんの「ただいま国会図書館、システム障害が発生しておりまーーす!」の声。

 えーーー! よりによって今! システム障害ってどの程度!

 聞くところによると、新システムに移行しようとしたら失敗して、新システムでの資料の検索や請求ができないばかりか、旧システムに戻すこともできていない、まさににっちもさっちもいかない状況に陥ってるという。それでもとりあえず入館してみると、利用者端末からの資料検索は復旧したものの、請求は懐かしき手書きのカードにコードやら書籍名やらをせっせと入力し、受付に持って行って対応してもらうのだ…。カウンターに請求した資料が届いたことをお知らせするのも、「○番まで届いております」みたいなホワイトボードに手書きで書いてある。

 なんだ、この昭和と平成が入り混じった空間。

 そして障害のため色々な人が色々大変なことになっており、請求した資料が届くのも時間がかかるし、色々うまくいかなくて発狂間際になってるおっさん(利用者)はいるし、そんな発狂間際のおじさんを見て周りの人は逆に「あぁ騒いでも仕方がないしみっともないから、冷静に待っていよう」みたいな空気になっていたり、文句つける人もそれなりに秩序に役立ってるんだなぁ、とぼんやり思ったりしていた(対応する職員の人は気の毒だけど)。

 しかし職員の方の努力や、対応してくれたおじさんの「ご迷惑かけて申し訳ないね」と済まなそうに言いながらも、去り際には笑顔を送ってくれたりしたおかげで、トラブルはトラブルなりになかなか楽しんだ一日だった。朝から大変だったろうに、笑顔を最後まで絶やさなかった人たちはすごいな。

 まぁ最初、あんだけシステム止まってたのに「即日複写受付は通常通り! 土曜日は十六時までね!」と言い出したときは、所詮国立だと思ったけども! 十六時までに資料届かねーっつーの! (後にさすがに時間延長されたけど)

 しかし、これも間が悪いよな。年に一度行ったら、数年に一度あるかないかの大規模システム障害に遭遇したんだから。

 あとは余談だが、昔システム開発の仕事をしていたとき、同じチームの吉永さん(仮名)に「子どもが生まれるので妻の付き添いのために休みたい」と言われ、「どーぞどーぞ休んでください!吉永さんがメインで開発したシステムが見たことない障害起こしたらやばいですけど、通常の障害なら余裕で対応できるし、そもそもあまり障害起きないシステムだし、だいじょーぶ!」と大風呂敷広げて送り出したことがあった。

 そしたら案の定、そのシステムは吉永さんとこの二人目が生まれた当日に、見たことない障害を起こし私は「すいません! まだ生まれてませんか!」と吉永さんに電話するハメになったのだ…。病院は携帯電話禁止だったろうに、必死の留守番電話を残したら、吉永さんは一時間ほどで折り返してくれた…。

 あぁ、ごめんなさい。もう大風呂敷広げたときの発言が、前フリにしか見えない。

 そんなこんなで、私は情報システム分野とは相性が悪いのである。仕事変えて正解だったかもね!

 なので、もし行った先で重篤なシステム障害が発生していたら、もしかしたらそこに私がいるかもしれないけど、一切の責任は負えませんのであしからず。

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