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その2



途中で視点が変わります

読みにくかったら連絡お願いします




「何をしている。ここら一帯は魔獣出現区域で立ち入り禁止だ」


はい、キタコレ。

フラグ立ちましたー。

声が美声だよ。

異世界デフォルト、声が美声なら外面も美形。(今はおそらく、だけど)


「えーっと………」


矢内さんの視線は私の背後にある。

振り向かんぞ。


「迷っちゃっただけなんですはいもう思いっきり迷ってしまってすいませんすぐに出ていきますからというわけで先輩行きましょうすぐ行きましょう」


ぐいぐいと矢内さんの腕を掴んで歩く。

矢内さんは戸惑ってるみたいだけど、今は知らん。

私のフラグ回避に付き合ってください。

それにこうすれば


「おい、逆に進んでいるぞ」


っとね、方向を言ってくれるってわけ。

どっちに飛べばいいのかわかりゃ、こっちのもんだ。


「【移動】!」


町、街と、言葉を思い浮かべて移動魔法を使う。

飛ぶ瞬間、何か男が言ってたが、知るかいな。


二度と会うか。

バイバイ、(おそらく)フラグ男




















さて


二人で建物の陰から道を歩く人たちを観察する図って怪しいよね。

必要なことなんだけど。


「中世のイギリスって感じですね」

「だね」

「写真は………ん、よしよし。ちゃんとあるね。では、ゆきますっ」


ぼふん


矢内さんは旅の剣士風で、私は旅の魔術師風。

持っていた鞄も外見だけそれっぽく。

歩いていた旅人っぽい人のを参考にした。


「じゃ、ギルドに登録しに行きましょう」


この世界には、RPGのごとく、ギルドが存在した。

ただ、職種は多岐にわたる。

剣士は『ハンター』で、魔獣や魔物の討伐が主だ。

魔術師は『ハンター』の他に『薬師』『採取人』がある。

読んで字のごとく、薬を作ったり森に行って貴重な植物を取ってきたり、まあ大体は自分の家で栽培するみたいなんだけど。

『スイーパー』は掃除人、『運び屋』は街から街へ、国から国へと荷物や人を運ぶ。

『楽士』は式典とかちょっとしたパーティーで楽器を奏でたり歌ったりする。

ぶっちゃけ、私たちの感覚で言うとアルバイト仲介所なわけだ。

ただ、住所不定でも犯罪歴があろうと誰でも登録できるってとこは違うかな。

あとランクがある。

SSS(トリプルエス)SS(ダブルエス)、S、A、B、CといってGまで。

このランクは危険度や難易度だけじゃなくて提示された金額や条件も含まれる。

というか、これは驚いたんだけどギルドには五歳から登録可能ってこと。

EからGはちょっとしたお小遣いぐらいのランクなんだよねー。

ただし、この世界の成人年齢である18歳にならないとDランク以上は取れないことになっている。

私は21、矢内さんは22なので思いきってAランクの魔獣討伐をやってみることにした。

取りあえずの資金が欲しいんだな。

私たちの持ってるお金を魔法でこの世界の通貨に変えられるけれど、後々面倒になっても困るしね。


「おいおい、お前ら初めてなんだろ?だったらDから始めなって」

「だいじょーぶ。ゼロからのスタートだからお金なくて」

「だからって」

「危機的状況だから逆に冷静なんで大丈夫!」


当面の生活費が欲しいのよ!

それに死と隣り合わせだしね。

まーなんとかなるっしょ。

それに王国の騎士団数人いるしね。

さー行こう!
















んなあああぁぁぁあっ?!


「さっきの無礼な女か」

「うっさい高慢フラグ男。騎士だからって偉そうにすんな」

「檜乃さん、口から漏れてる漏れてる」


むっつり不機嫌なわ私を矢内さんが、同じように不機嫌なフラグ男を別の男性が引き離す。


「えーっとあなた方が依頼主ですか?」

「いや、委託されたから正確には違うがな。君がユーヤ・ヤウチ?私はリーヴェンリッヒ王国第一騎士団副団長クラウレッド・ショーンだ。よろしく」

「よろしくお願いします」


ショーンさんは180cmくらいの、金髪碧眼で超美形さん。

騎士らしく逞しいながらも気品が満ち満ち溢れている。

さっすが、異世界はイケメンが多い。

鑑賞にはうってつけだよ、ホントに。

くはーっゴチソウサマ!


「サクラ・ヒノです。よろしくお願いしますね、ショーンさん」

「クラウで構いませんよ。こちらこそよろしく、サクラ」


笑顔も爽やか!

目に染みるね。


「ほら、君だけだよ自己紹介してないの」

「…………リーヴェンリッヒ王国第一騎士団団長ヴィルホルト・ジェンシート」

「ヴィルと呼んでやってくれ。では、依頼内容の確認しよう」


クラウが読み上げる中で、私は聞きながらこっそりヴィルを見上げた。

黒髪黒目のイケメソだ。

彫りが深くて、目付きも鋭いし一見ヤクザかと思う。

眉間にシワ寄ってるし〜。

でも顔立ちも体つきもいいってムカつく。

身長だってクラウより5cmくらい高くて。


ぶっちゃけ、タイプなんだよね。


髪も短髪で爽やか〜だし。

でもタイプだろーがなんだろーが、なんかムカつく!

なるべく近くに寄らないようにしよう…






と、決心したところで出発となった。





















ギルドから依頼受諾の連絡がきて、集合場所として指定した森への入り口まで移動した。

若い男女二人組で、討伐は初めてなんだとか。

そこでもうすでに後悔した。

やっぱりランクA以上の討伐依頼を50回以上経験している者、と条件をつければよかった。

もしかしたら、もしかしなくても足手まといになるだろう。

しかし今さら取り消しさせるのも面倒だ。

そもそもこれは、『引き抜き』なのだから。

流浪の剣士や魔術師をスカウトするために自国から依頼された。

当たりならそれでよし、ハズレなら今度はさっきの条件をつけるだけ。


「おや」


クラウが声を上げたから、視線をそっちに向けると。


あの二人組が近づいていた






つい先程、先に魔獣のいる辺りを見回っていた時に見つけた二人組は最初、珍妙な格好をしていたはずだ。

だが今は普通の、剣士と魔術師の格好をしている。


「さっきはすいません。俺たちも驚いて」


俺と同じ黒目黒髪の眼鏡をかけた男は、緊張感のない中肉中背の普通な顔立ちの、どこにでもいるような奴だった。

ただ、穏やかそうな雰囲気はクラウに似ている。


「チッ」


舌打ちをして至極嫌そうな、忌々しいものを見るような女は、いただけない。

焦茶の真っ直ぐな髪は肩より下ぐらい。

身長は眼鏡男より少し低い、といえど170cmくらいか。

顔立ちは、普通にしていれば中の上くらいか。

クラウに向ける微笑みはとても愛嬌がある。

それにほどよい肉付きで、胸がかなり大き………って!

途中からおかしくないか?!

俺をなぜか一方的に嫌っている女だぞ!

なんなんだ、この女――――サクラは。

口も悪いし(俺にだけ)話しかけてもこねぇし(俺に対して)、わけわからん。

調子狂うな。





















クラウとヴィルは幼馴染みの25歳。

意外と若いな。

というか同い年かよっ。

明らかヴィルはもうちょい年上………のようにみえなくもないか。

態度はむしろ、私より年下。

なんか拗ねてるし。

まぁいっか。

んなことよりも、クラウさんは博識で森にある不思議な植物や、騎士団で起きた面白おかしい話をしてくれる。

こりゃーモテるよな。

女性を侍らせたりするんだろうか。

んーあー、でもしないかな。

むしろ一筋って感じだよ、このタイプは。

一応平等に優しいけど、特別な子は特別扱いしてそう。

うっわ、ぜひともその場面を拝みてぇ〜っ!


「おい」


一人先に立って歩いていたヴィルが無表情にこっちを振り返った。

っつーか、コイツそうだよ、なんで嫌なのかわかった。

全っ然、表情が変わんないんだ!

さっきの不機嫌だって、空気っていうかオーラでわかったんだよ。

表情が見えないから嫌なんだな。

いやー、スッキリ!

これで心置きなく嫌になれるね。


「サクラ、どうした?」

「なんでもないよ、クラウ。………んで、なんですかジェンシートさん」

「………そろそろ魔獣の縄張りに入る。各自用意しろ」


へーいへい。

矢内さん、クラウとヴィルは魔法で剣を取り出す。

騎士は騎士でも、第一騎士団は魔法騎士なんだって。

私はその辺にある木の棒を拾った。

クラウとヴィルが驚いてるけど、まぁ仕方ない。

というか、私は気にしない。

なくてもいいもんだからさっ。

でも他人が持ってるとなんとなく持ちたくなっちゃったんだ、だから持つ。

変化させて、馴染みのあるタクトにしてみた。

ん、いーんでない?


「ヒノは後衛、他は前衛の基本型でいくぞ。魔獣をヒノに近づけさせるな」


魔術師はノーガードだからね。

もし教われたら頑張って避けろよ、私の危機反射。




ガアアアオォオッ




「いくぞ」

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