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愛を求めてどこまでも〜男はどこまでも行く。あの言葉を胸に〜  作者: 暁 龍弥
少年編

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第39話

王城外へ出た僕たちを待っていたのは――

混乱ではなく“戦争”だった。


悲鳴。

爆炎。

崩れ落ちる建物。

召喚獣が咆哮し、兵士が吹き飛ぶ。


帝都の空が血のように赤く染まっている。


「……これが、帝都が落ちかける光景……」


セレナが震える声で呟いた。


マリーヌは剣を強く握りしめ、歯を食いしばっている。


エリシアは冷静に周囲の魔力流を観察しているが、

その眉は苦悩に寄っていた。


ルクレツィアが息を吸い、短く命じた。


「散開はしない!全員で動く!

 まずは“市街地の避難”と“召喚獣殲滅”を優先――」


カレン(騎士団長)が割って入るように叫ぶ。


「違う、優先は“市民の避難”だ。

 この帝国は“国土”ではなく“人”で成り立っている。

 民が死ねば国は崩壊する」


ルクレツィアは一瞬だけ言い返そうとしたが――

唇を噛んで引いた。


(この二人……対立しているわけじゃない。価値観の違いだ)


どちらも間違っていない。

どちらも帝都を守ろうとしている。


そこで――僕が言うべきだった。


「やるなら両方だ。

 “分断”じゃなく“分業”。

 僕たちが“召喚獣殲滅”。

 騎士団は“避難誘導”。

 王城は“作戦指揮”。

 全部同時に動かす!」


一瞬の静寂の後――

カレンが笑う。


「いい。指揮官の器だ」


ルクレツィアも笑った。


「わかった。あなたに賭ける」


(帝都で、僕が指揮するのか……?)


怖さはあった。

でも、それより勝ちたい気持ちが強かった。


僕は剣を構え、仲間に視線を送る。


「ここからは総力戦だ。役割を言う!」


全員が頷く。


「セレナ!火力の軸、殲滅担当!!」

「了解!全て燃やすわ!!」


「エリシア!敵の術式解析とキャンセル!!」

「任せて。魔導式は私の領域」


「マリーヌ!索敵と奇襲を制御!!」

「背後は絶対通させません!!」


「ザン!前衛の壁と突破口!!」

「全部ぶっ壊す!!派手にな!!」


「ヴァイス!防御と味方支援!!」

「全員死なせない。絶対だ」


「ティノ!風の機動戦と救助フォロー!!」

「救助と連絡は任せて!!動けるから!!」


「カイル!……とにかく元気で魔法撃ってろ!!」

「了解!!天才でよかった俺!!」


全員が笑った。

ほんの短い一瞬でも、恐怖が消えた。


ここからが本番だ。


◆◆◆ 市街地戦


炎に包まれた大通りを突き進む。


建物の影から召喚獣が飛び出すが、

セレナの炎が一撃で吹き飛ばす。


「邪魔!!」


エリシアは同時に詠唱。


「術式《中和》――消えなさい!」


敵の魔力回路を断ち切り、再生を防ぐ。


ミスがない。冷徹なまでに正確。


マリーヌは屋根を走りながら敵の位置を叫ぶ。


「三時方向、牽制!! 九時方向、強敵です!!」


ザンが強敵に突撃。


「潰れろォォッ!!」


石畳ごと粉砕し、敵を正面突破。


すかさずヴァイスが防御陣を展開し被害を抑える。


「塔が崩れる!ティノ!」


「了解!!」


ティノが風で市民を救い、

エリシアが落石を無効化、

カイルが異様なテンションで援護魔法を撃ちまくり、

セレナが前衛を焼き払い、

ザンが進路を塞ぐ敵を粉砕。


恐ろしく呼吸が合っている。


(強くなった……全員が)


◆◆◆ 停滞


しかし、敵はさらに増えた。


召喚獣の群れ。

灰色フードの増援。

そして――町外壁の方角から巨大な魔力が押し寄せてくる。


エリシアの顔色が変わる。


「……最悪。

 “瘴気の龍”級の反応が三体……!」


セレナの手が震える。


「連戦なんて……!」


ヴァイスが歯を食いしばる。


「このままじゃ押し切られる……!」


ザンが叫ぶ。


「撤退の選択肢はねぇぞッ!!

 引いたら市民が死ぬ!!」


誰も退かない。

でも、このまま正面突破はできない。


(勝つためには――“戦術”が必要だ)


思考が走る。

脳が勝手に戦況を解析する。


灰色フードは散開して不規則に攻める。

召喚獣は大群で押し寄せる。

三体の瘴気龍級が外側から圧迫してくる。


普通なら“詰み”――だが。


(利用できる)


僕は叫ぶ。


「敵同士をぶつける!!

 召喚獣を“灰色フードの遮蔽物”にして、

 瘴気龍級のブレスを“召喚獣の群れ”にぶつけさせる!!」


全員が即座に理解する。


灰色フード指揮官も驚愕した。


「こいつ……!戦場を“盤面”で見ているのか……!!」


命令が間に合わない。


瘴気龍級のブレスが市街地へ降り注ぐ――

だが召喚獣を巻き込み壊滅させる。


ザンが吠える。


「最高だアルス!!道ができた!!」


「突っ込むぞ!!!!」


全員で突破。


◆◆◆ 大聖堂前


ついに戦場の中心に辿り着いた。


そこには灰色フードの大規模召喚陣。

儀式の中心――明らかに“司令塔”。


そして、灰色フードの幹部格が現れる。


黒でも灰でもない――

白いフード。


「アルス・アドマイヤ。

 君が滅びの子を超えられるか――確かめよう」


その声は――

冷たいけれど、どこか期待を含んでいた。


敵なのに、敵じゃない目。


迷う暇はなかった。


「行け!!アルスは絶対に死なせない!!」


セレナが前へ。

マリーヌが後方奇襲警戒。

エリシアが解析。

ザンとティノが左右から包囲。

ヴァイスとカイルが後衛支援。


全員、限界まで強くなっていた。


そして――

僕は剣を構える。


(滅びじゃない。正義でもない。

 守りたいという、この気持ちが――僕の力だ)


光が纏う。


白いフードが呟いた。


「それだ。

 “滅びでも救世でもない第三の力”……

 それが生まれた瞬間を私は見たかった」


次の瞬間――

最大級の戦いが始まった。


この戦争は“世界”のためじゃない。

仲間と自分の未来を守るためだ。


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