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断章《響きの記録》
場所:共鳴の回廊・交差の床の中心
形式:五声構成(記憶・交差・震え・沈黙・芽吹き)
語り手:ヴィオーラ(記憶)+兎子(交差)+フォス(震え)+ノクス(沈黙)+ダリア(芽吹き)
第一声:記憶
語られた声が
柱に震えて残る
その記憶は
まだ終わっていない
(旋律:細く、記録のように)
第二声:交差(兎子)
誰かの声が
わたしの中で響く
その交差は
語りの始まり
(旋律:跳ねるように、風のように)
第三声:震え(フォス)
声と声が触れ合い
震えが生まれる
それは
名を持たぬ語り
(旋律:断続的、低音で波打つ)
第四声:沈黙
語られなかったものが
沈黙の窓に宿る
その余白が
響きを深める
(旋律:無音の間、拍だけが残る)
第五声:芽吹き(ダリア)
交差した声が
ひとつの震えとなり
記録として芽吹く
それは
次の章の種
(旋律:低く、包むように)
この断章は、共鳴の記録。
語り合った声たちが、
互いの震えを記録し、
次の詩の種として残したもの。