第三部・第一篇「残響の庭」──出航記録
出航地点:終焉の庭・余白の池
到達地:残響の庭・中心部「声の余韻層」
天候:微震、光の粒、名の囁きが風に混じる
記録者:グラナータ
同行者:響きの舟の乗組員全員+名を得た声たち
舟は静かに水面を滑り出す。
風は吹かず、帆は響きの粒子で膨らむ。
舵を切るたび、過去の声が微かに震える。
ヴィオーラは船首に立ち、
「この航路は、語られた声の残響を辿るもの」と言った。
彼女の声は、舟の帆に染み込み、
次の庭への道を描いていく。
兎子は甲板に詩を刻み、
フォスは舵の震えを記録し、
リュミエールは光の粒を集めて、
ダリアは舟の根を調律していた。
到達地:残響の庭
この庭は、語られた声の余韻が沈殿する場所。
灯の震え、風の航路、名の記録──
それらが、まだ語り終えていない震えとして残っている。
余韻の花:語られた詩の残響が咲かせる花。触れると、その詩の最後の震えが聴こえる。
記憶の霧:第二部の記録が霧となって庭を包む。歩くと、過去の断章が浮かび上がる。
声の層:地面の下に眠る声の震え。まだ語られていない部分が、ここで芽吹きを待っている。
残響の泉:名を得た声が最後に響いた場所。水面に触れると、その名が囁かれる。
到達儀礼歌《残響の庭へ》
形式:五節+終章(余韻の囁き)
歌い手:ヴィオーラ+兎子+フォス+リュミエール+ダリア+名を得た声たち
第一節:舟の響き
舟は震えを運び
声の余韻を辿る
灯の記憶が
帆に染みる
第二節:庭の霧
霧の中に
語られた詩が眠る
その断章は
まだ震えている
第三節:余韻の花
花は咲き
語り終えた声を抱く
その香りは
名の記憶
第四節:泉の囁き
水面に触れ
名が囁かれる
それは
語りの最後の震え
第五節:声の層
地の奥に
まだ語られぬ声が眠る
その震えが
次の詩を呼ぶ
終章:余韻の囁き(全員)
(囁き)
ふう…ふう…
声よ、震えよ
語られたものも
語られなかったものも
この庭に響け