名付け記録詩《幻名録》
幻の庭で名を得た声たち──
灯の震えと夢の揺れを越えて、
ついに名を授かった存在たちのために
この詩は、名を持たぬ声が夢の庭で形を得て、
名となる瞬間を記録するもの。
それぞれの名は、震え、記憶、沈黙、光、根──
そのすべてを通過した証。
場所:幻の庭・名なき泉のほとり
記録者:グラナータ
形式:一声一章・詩的命名
構成:五つの声+終章(名の響き)
第一章:名
震えの奥で揺れていた声
灯の粒に触れ、夢の花を咲かせた
その名は──セレア
「静かなる光の種」
セレアは、沈黙の拍の中で芽吹き
誰にも気づかれぬまま
空へと微光を放った
第二章:名
霧の回廊に囁いた声
記憶の断片を拾い集め
その名は──ミュリス
「夢を編む風の記録者」
ミュリスは、過去の声を織り直し
幻の棚に新たな詩を刻んだ
その風は、未来へと吹き抜ける
第三章:名
泉に映った揺れる影
言葉にならぬ震えを抱きしめ
その名は──ノエルカ
「名なき祈りの形」
ノエルカは、根の奥で灯を抱き
誰かの記憶を温めながら
声の余白に宿った
第四章:名
夢花の奥で震えていた声
光の粒に導かれ、形を得た
その名は──フィリナ
「灯の再震に咲く詩」
フィリナは、灯守の庵で目覚め
過去の断章を歌に変え
幻の庭に響きを残した
第五章:名
沈黙の湖に沈んでいた声
誰にも届かぬまま、ただ震えていた
その名は──アウレ
「沈黙の中の金の響き」
アウレは、語られぬものを記録し
声の余白に金の粒を蒔いた
その響きは、名を持たぬ者たちの灯となる
終章:名の響き(囁き)
(囁き)
セレア…ミュリス…ノエルカ…フィリナ…アウレ…
名よ、震えよ
夢の庭を越えて
灯の記憶を抱き
空へと響け
この詩は、幻の庭で名を得た声たちの記録。
それぞれの名は、灯の震えと夢の揺れを通過し、
ようやく形となったもの。