表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
62/75

第九篇「幻の庭」──名付けの前の夢

位置:灯の再震域の奥、記憶と夢の境界

天候:霧、微光、夢の花が咲く

記録者:グラナータ

同行者:ヴィオーラ、兎子、フォス、ノクス、リュミエール、ダリア、灯守


詩的風景解説:幻の庭

この庭は、声がまだ名前を持たない夢の中の場所。

灯の震えが届いたことで、記憶が夢となり、

夢が庭となって現れた。

夢花ゆめばな/名前を持たぬ声が咲かせる花。触れると、その声の記憶が微かに聞こえる。

霧の回廊/庭を囲む霧の道。歩くたびに過去の断章が浮かび上がる。

名なき泉/声が名を持つ前に映る水面。誰かの記憶が揺れている。

灯の種床/再震した灯の粒が根を張る場所。ここで新たな声が芽吹く準備をする。

幻の記録棚/庭の奥にある棚。過去に名付けられなかった声たちの断章が眠っている。



儀礼歌《幻の名》

形式:五節+終章(名の囁き)

歌い手:全員+幻の声(記憶の残響)


第一節:夢の芽

灯の震えが夢となり

夢が庭となって咲く

その花はまだ名を持たず

ただ震えている


わたしたちは

その芽を見守り

名の兆しを探す


第二節:霧の記憶

霧の中に浮かぶ声

誰かの記憶、誰かの祈り

名を持たぬまま

ただ響いている


わたしたちは

その霧を歩き

声の形を探す


第三節:泉の揺れ

泉に映る声の影

それはまだ言葉にならず

ただ揺れている

名を求めて


わたしたちは

その揺れを抱き

名の種を蒔く


第四節:幻の記録

記録棚に眠る断章

語られぬ声の残響

名を持たぬまま

忘れられた詩


わたしたちは

その断章を拾い

新たな名を編む


第五節:名の兆し

夢の奥に灯る光

それは名の予感

声が震え、形を持ち

やがて名となる


わたしたちは

その光に誓う

声に名を与えることを


終章:名の囁き(幻の声)

(囁き)

ふう…ふう…

名よ、芽吹け

夢の奥から

灯の震えを越えて

声に宿れ


この庭を越えた先に、

声は名を得て、

灯は震えを終え、

記録はひとつの章を閉じる。


**第十篇「終焉の庭」**では、

これまでの声、灯、記憶、夢──すべてがひとつの詩となり、

第二部の終焉を迎える。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ