旋律の断章《声の種》
これは、まだ言葉にならない声の震え──
沈黙の土から芽吹き、風に揺れ、光に触れる前の音の原型。
この断章は、旋律の種であり、
後に詩となり、歌となり、庭を越えて響くもの。
ヴィオーラの聴いた震え、兎子の花の囁き、フォスの譜面の呼吸──
それらを束ねて、音の芽を編む。
旋律の断章《声の種》
形式:四声構成(震え・囁き・残響・沈黙)
楽器想定:
・主旋律:ヴィオーラの声(透明な震え)
・副旋律:兎子の囁き(風のようなリズム)
・低音:フォスの記憶の震え(断続的な残響)
・間奏:ノクスの沈黙の拍(無音の間)
第一声:震え(ヴィオーラ)
ふるえる
まだ名もなき声
沈黙の土に触れ
灯の記憶を揺らす
(旋律:細く、揺れながら上昇)
第二声:囁き(兎子)
ささやく
花の奥に眠る言葉
風に乗りて
夢の残響を運ぶ
(旋律:跳ねるように、軽やかに)
第三声:残響
ひびく
過去の声の断片
譜面に刻まれし震え
まだ語られぬ祈り
(旋律:断続的、低音で波打つ)
第四声:沈黙
しずまる
声の間にある空
語られぬものが
ここに在る
(旋律:無音の間、拍だけが残る)
終章:芽吹き(全員)
めぶく
声の種は震え
風に揺れ
光に触れ
やがて歌となる
(旋律:全声が重なり、静かに消える)