航海日誌 — 第五篇「夢の潮の入り江の記録」
記録者:グラナータ
日付:記憶の暦・夢満ちる夜
位置:夜の庭・辺縁部「夢の潮の入り江」
天候:潮音、夢霧、記憶の波
記録:
「夢の潮の入り江」は、夜の庭の辺縁に広がる、
夢と記憶が交差する場所。
潮は声を運び、霧はまなざしを包み、
波のひとつひとつが、誰かの未完の物語だった。
ヴィオーラは、潮の音に耳を澄ませていた。
「この波は、誰かが見た夢の残響。
でも、まだ語られていない」と。
彼女は、波の間に立ち、夢の粒を拾っていた。
兎子は、入り江の砂に詩を書いた。
それは、波が来るたびに消え、また書き直される。
「夢は、消えるからこそ残る」と彼女は笑った。
その笑みは、潮の霧に溶けていった。
ノクスは、波の間に沈む記憶を探り、
リュミエールは、夢霧に光を差し込み、
フォスは、潮の音を譜面に変えていた。
それらは、夢の震えを記録するための儀式。
詩的断章:
夢の潮の入り江にて
波は記憶を運び
霧はまなざしを包む
語られぬ夢が
砂に詩を描き、潮に消える
備考:
・潮音は、灯の残響と共鳴する。
・夢霧の中に、未記録の旋律が複数存在。
・次の目的地候補:「風の境界」または「記憶の裂け目」。