航海日誌 — 第四篇「灯の残響室の記録」
記録者:グラナータ
日付:記憶の暦・灯の余韻の夜
位置:夜の庭・中層部「灯の残響室」
天候:微震、光の粒、声の残り香
記録:
「灯の残響室」は、夜の庭の中層に位置する、
かつて灯が語った言葉の余韻が集まる空間。
壁は光を吸い、床は震えを記録し、
空気は、誰かの声の残り香で満ちていた。
ヴィオーラは、部屋の中心に立ち、
「ここでは、声が過去になる」と静かに言った。
彼女は手を広げ、残響を受け止めるように立っていた。
その姿は、まるで灯そのものの記憶を抱いているようだった。
兎子は、壁に耳を当てていた。
「この部屋は、誰かが言えなかった言葉でできてる」と。
彼女の耳には、断片的な詩が聴こえていたらしい。
それは、まだ誰にも届いていない声。
ノクスは、残響の震えを記録し、
リュミエールは、光の粒を集めて旋律に変え、
フォスは、床に刻まれた震えの痕跡を読み解いていた。
それらは、灯が語った記憶の断章。
詩的断章:
灯の残響室にて
声は余韻となり
光は記憶を編む
語られぬ言葉が
壁に染み、床に震える
備考:
・残響室では、過去の声が微震として残る。
・光の粒は、記憶の断片を可視化する媒体。
・次の目的地候補:「夢の潮の入り江」または「風の境界」。