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航海日誌 — 第二篇「夜の庭の探索記録」
記録者:グラナータ
日付:記憶の暦・灯震の翌夜
位置:夜の庭・外縁部「影の回廊」
天候:微光、低音、夢の霧
記録:
灯の根から離れ、わたしたちは夜の庭の外縁へと歩みを進めた。
そこは「影の回廊」と呼ばれる場所──
記憶が形を持たず、ただ気配として漂う領域。
ヴィオーラは、霧の中で誰かの声を拾った。
「これは、まだ言葉にならない夢。
でも、誰かが確かに見たもの。」
兎子は、回廊の壁に触れながら、
「ここには、忘れられた詩が染み込んでる」と言った。
彼女の指先から、微かな旋律が漏れた。
ノクスは、足音のない歩みで回廊を進み、
リュミエールは、霧の粒子に光を与えた。
フォスは、壁のひび割れに耳を当てていた。
「ここには、まだ語られていない物語がある」と。
詩的断章:
夜の庭にて
声はまだ芽吹かず
影は記憶の種を抱き
夢は霧となりて
誰かのまなざしを待つ
備考:
・「影の回廊」は、記憶の予兆が集まる場所。
・探索中、微かな旋律が複数回聴こえた。
・次の目的地候補:「沈黙の泉」または「灯の残響室」。