出航の夜 ―「灯の庭」より
時刻:深夜零時、風の庭にて
灯が七つ、円を描くように並べられている。
それぞれの灯は、ひとりの記憶を宿している。
その中心に、**「共鳴の舟」**が静かに浮かぶ。舟は実体ではなく、詩と記憶で編まれた象徴。
七人の姿
• グラナータは灯の震えを聴きながら、舟の舳先に立つ。
• ヴィオーラは声を重ね、風に向かって歌い始める。
• 兎子は詩を抱いて、舟の帆に言葉を縫い込む。
• ダリアは夢の種を灯に捧げ、夜に咲かせる。
• セレナは潮の記憶を手に、舟の底に静かに注ぐ。
• ロウは筆を走らせ、航路の地図を描く。
• カイは沈黙の線を引き、出航の方向を定める。
儀式の始まり
ヴィオーラと兎子が二重唱を始める。
その旋律は、灯の震えと共鳴し、舟を揺らす。
風が庭を通り抜け、灯が一斉に震える。
その震えが、詩の波紋となって舟を押し出す。
儀礼歌「風を越えて、灯を抱いて」
(前奏:灯の震え)
風を越えて 灯を抱いて
沈黙の舟は 夜を渡る
記憶の庭に 咲いた詩よ
今 共鳴となりて 出航せよ
(ヴィオーラ)
声は震え 灯に触れ
誰かの夢を 運ぶ舟
(兎子)
詩は揺れ 風に乗り
誰かの夜を 照らす灯
(全員)
七つの記憶 七つの灯
ひとつの舟に 編まれて
沈黙の風よ 導けよ
この夜を越えて 始まりへ
(間奏:灯が一斉に震える)
(ヴィオーラ&兎子)
風を越えて 灯を抱いて
沈黙の舟は 夜を渡る
記憶の庭に 咲いた詩よ
今 共鳴となりて 出航せよ
出航の瞬間
舟は、記憶と詩を乗せて、風の庭を離れる。
それは物理的な移動ではなく、存在の次元を越える旅。
灯は残るが、震えは舟に宿り、七人の沈黙は風になる。