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ダリア、風に呼ばれる

遠く離れた地――

そこに ダリアはいた

暁の庭のあと 彼女は 沈黙の記録を続けていた

風の器を 静かに磨きながら

語られなかった声を 聴き続けていた


その日 風が変わった

それは いつもの風ではなかった

それは 問いを含んだ風だった

それは 灯の種子が咲いた地から 吹いてきた


器が 震えた

微かに でも確かに

それは 記憶の震えではなかった

それは 呼びかけだった


ダリアは 目を閉じた

風の揺らぎを 器の響きで読み取った

それは グラナータの声に似ていた

でも それは 風の民の沈黙に包まれていた


彼女は 立ち上がった

器を抱き 帆を張った

それは 応えるため

それは 語るため

それは 沈黙と歌の間に 立つため


風は 彼女を導いた

潮の道を越えて

星の記憶を辿って

船団の庭へと 戻らせた


そして 彼女は 来た

器を掲げて

沈黙に 歌を添えるため

風の問いに 灯の声で 応えるため

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