表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
高倉くんのカワイイを応援したい!  作者: 志熊みゅう
第五章 恋愛は謎解きよりも難しい

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

29/42

3. 王子不在の人魚姫

 紬は吹奏楽部の追い込みで毎日バタバタしている。文句ばかり言ってるけど、夏休みの間ちゃんと練習してたのは、本当にえらいと思う。彼女の楽器はフルート。高い音だから間違えると目立つもんね。


 給食の時間、席が近くなった紬が、こそこそっと話しかけてきた。


「ちょっと聞いた?早乙女さんと和田くん、別れたって。」


「ああそうなんだ。やっぱり。」


「やっぱりってどういうこと?和田くんが怪我して、サッカー部のレギュラー降ろされたからかしら?」


「さすがに、そこまで薄情じゃないでしょ。私、夏祭りで喧嘩してるの見ちゃったのよ。」


「ええっ!なになにその話?何で教えてくんないの?」


「なんか言いそびれてて。夏祭りで、鼻緒ずれして歩けなくなっちゃった早乙女さんのこと、和田くんが『浴衣着てこいなんて、頼んでないだろ。』って怒鳴ってたの。」


「えぇ……。和田くん、そんな人だったんだ……。知らなかった。」


「早乙女さん自身も言ってたじゃん。あの人、身勝手だって。――高倉くんがサッカー部やめたのだって、和田くんのせいだよ。」


 つい頭にきてしゃべりすぎてしまった。


「恋は顔かも知れないけど、愛は顔じゃないのね……。」


「私は顔だけで恋に落ちる方がおかしい気がするけど。」


「そういえば和田くん、現代版リトルマーメイドの王子様役も、骨折で降板だって。」


「え?じゃあ、誰がその役やるの?」


「しらな~い。」


 夏の間、練習していたのに急にヒーロー役が変わっちゃったら、大変なんじゃない?A組、どうする気なんだろう?


 今日も放課後は写真部の展示準備だ。パソコンを使って、写真の色味、鮮やかさ、明るさを調整していく。このひと手間で、だいぶ印象が変わる。高倉くんに意見を聞きながら、写真の明るさを調整している時だった。


 ――ガラガラ


 少し慌ただしく、楠くんと早乙女さんが入ってきた。この前の楽しそうな感じと違って、どこか張り詰めた空気だ。早乙女さんが、私たちを見つけると、さっと近づいてきた。


「――ねえねえ、高倉くんってさ、インフルエンサーのリナちゃんだよね?」


 高倉くんとそばにいた私や楠くんにしか、聞こえないくらい小さな声で言った。


「えっ!?」


「陽菜ね、高倉くんが転校してくる前から、リナちゃんのファンだったから、すぐ分かったの。でも学校であのアカウントのことを秘密にしているみたいだし、誰にも言わなかった。だけど今回は、どうしても悠斗を助けてあげたくて、お願いに来たの。」


 見ると、となりの楠くんも何やら申し訳なさそうだ。


「実は、和田くんが怪我をして、となりのクラスの劇ね、王子様役がかけてしまって……。セリフもある程度覚えないといけない役だから、代役が見つからなくて。もともと脚本と演出を担当していて、ほとんどのセリフを覚えている悠斗に白羽の矢が立ったの。でもね、悠斗のこと、ちょっと王子様ってイメージじゃないって言う子たちが反対してて、練習が止まっちゃったの。」


「――ああその話か、聞いたで。」


「でね、リナちゃんのそっくりメイクなら、悠斗も『王子様』になれるんじゃないかなと思って!……このままだとA組、演目中止になっちゃうの。悠斗がどれだけ準備してきたか、陽菜ちゃんと見てたから……。どうしても助けてあげたくて。」


 楠くんは、そっと陽菜の方を見てうなずいた。その視線はやっぱり申し訳なさそうで、でもどこか、うれしそうにも見えた。


「男のメイクって、正直あんまやったことないねんけど……」


「でも、男性アイドルのメイクの回、バズってたじゃん。ほら、シアンくんの回!」


 シアンくんって、韓国のボーイズグループのイ・シアンのことか。あの動画、一見メイクしてるって分からないのに、イ・シアンそっくりになってびっくりしちゃった。でもあれ、だいぶ初期の動画じゃないかな?本当に早乙女さん、高倉くんのSNSよくチェックしているんだな。


「早乙女さん、よう見てんな。」


 これには少し高倉くんも驚いた様子だった。そして、楠くんの方をみた。


「楠、顔ちょい貸してみ?」


 色々な角度から顔を見て、なんかうんうん言っている。


「ほな、やったるか。」


 高倉くんの一言に、早乙女さんの顔がぱっと明るくなった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ