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高倉くんのカワイイを応援したい!  作者: 志熊みゅう
第三章 高倉くんの『好き』

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3. 期末試験

 期末試験は中間試験の範囲も少し出題されるから、よりたくさん勉強しなくちゃいけない。集中して勉強したかったから、塾に行くまでの間、図書館で勉強することにした。やっぱり数学の問題集は開くとあくびが出る。連立方程式、一次関数なんじゃそりゃだ。


 教科書に線を引き、問題集とにらめっこ。先生が授業中に配った自習用の問題に目を通す。


 ――この問題よく分からない。


 自習用の問題には解答がついていない。どうしようかな?数学の岡本先生に聞きに行こうかな。そう思っていたところ、高倉くんに声をかけられた。


「そめやんが苦手な数学の問題解いとる。」


 ほっぺたを膨らませて応戦する。


「しょうがないじゃん。数字が文字に見えないんだもん。」


「どの問題が分からんのや。教えたる。――その問題は、xの脇にある数字がグラフの傾きや、つまり、1増えたら、yがいくつ増えるかってことな。」


 え?傾き?増えるってどういうこと……。と思ったけど、高倉くんの指がノートに描いたグラフをなぞった瞬間、なんとなく腑に落ちた。


「あ……そういうことか!」


 そこから何問か連続で、教えてもらった。高倉くんは、普段から工夫してSNSにメイク動画をあげているおかげか、数学の解法を教えるのもとっても上手だった!


「ありがとうー!よく分かった。」


「どや、ちょっとは俺のこと、かっこええって思ったんちゃう?」


「うん!すごいと思った!」


「かっこよないんか……前、岡本先生に当てられて答えたときは、“かっこいい”って言うてくれたのにな。」


 高倉くんは、それ以上何も言わずに、ふっと視線を落とした。ちょっと拗ねたように言ったけど、どこか真剣さも感じられて――ほんの少しだけ、さみしそうだった。『かわいい』が好きなはずの高倉くんが、急に『かっこいい』なんてどうしたんだろう?


「急にどうしたの?高倉くん。私、かわいい高倉くんが大好きだよ、親友として。」


「……親友な。」


 ――"すごい"じゃだめなの?"親友"じゃだめなの?


 高倉くんがぼそりと落としたその声は、少しだけ苦くて、ほんのちょっと遠かった。


 期末試験は、早めに対策を始めていたおかげで、なんとか乗り切ることができた。やっぱり試験は先手必勝。でも私の第一志望は、校風が自由なことで人気の都立白楓(はくほう)高校。だからそのぶん、入試の難易度も高い。評価される内申点は中学3年からだけど、今の成績では合格ラインぎりぎり。気は抜けない。


「あかねー、成績どうだった?」


 紬が話しかけてきた。


「まあまあかな。でも白楓高校行きたいから、もっと頑張らないと。」


「白楓!?私絶対むりだわ~。あかねとの友情も中学までか。」


「ええっ!さみしいこと言わないでよ、紬。一緒に目指そ、白楓。校風自由だって聞くし、絶対楽しいよ。」


「だから、無理だって。」


 笑いながら紬が答える。そんなたわいもない会話とともに、一学期が終わった。授業からもテストからも解放されて、すっかり背中に生えた気分だった。今年の夏休みは、林間学校に行って、北海道にも行く。特に単身赴任中のパパに会える北海道旅行は今からものすごく楽しみだ。心は一足先に北の大地に向かっていた。

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