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高倉くんのカワイイを応援したい!  作者: 志熊みゅう
第二章 カワイイは誰のもの?

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6. SNS始動

 原宿からの帰り道、電車の中で高倉くんがポンポンと今日の写真をアップしていた。本当にいろいろなことがあったけど、この小さな大冒険は私を少し大人にしてくれたような気がした。


「スマホでこんなに上手に撮れるのすごいね!」


「スマホのカメラって結構高性能やん。ほら三つもカメラ付いとるし。」


「でも構図とかバランスいいし、センスいいと思うな。」


「イイネの数で、どういうのがバズんのかもチェックしとんねん。まあ自分がいいと思うものが一番やけどな。」


 そういえば、高倉くんが『カワイイ』と思うものは、自分も『カワイイ』と思うし、自分が『カワイイ』と思うものは、高倉くんも『カワイイ』と言ってくれる。こうやって、自分が見つけた『カワイイ』を、他の人と共有・共感できるのは楽しいことだと思った。


「私もSNS始めてみようかな。」


「ええんちゃうか。親の許可いるけどな。」


「そっか。ママに聞いてみる!」


 電車を降りると、いつもの私たちの町が広がっていた。


「また明日学校で!」


 そういって、高倉くんと別れた。


 家に着いたのは夕方過ぎだった。靴を脱いで自分の部屋に戻ると、なんだか今日一日が夢みたいに思えた。ベッドにごろんと寝転がって、スマホを開く。今日撮った写真がフォルダにずらっと並んでいる。


 ――原宿の竹下通り、マシューのパンケーキ、笑っている高倉くん、桃シェイク、高倉くんにメイクしてもらった後に一緒に撮った写真……


 高倉くんのSNSアカウントも覗いてみる。さっき電車でアップしていた写真が、もうたくさんのイイネを集めていた。「このパンケーキ気になってました!」「コーデかわいい」なんてコメントもついてた。私も他の誰かと自分の『カワイイ』を共有したいな。


 今日の夕飯は、麻婆豆腐だった。ピリ辛だけど豆腐が程よく辛さを押さえてくれる。


「あら、あんたメイクしてるの?」


「友達の高倉くんが、ドラッグストアでコスメ一式買ってくれて、メイクも教えてくれたの。」


「高倉くん、メイク上手ね!ママちょっとびっくりしちゃった。でもドラッグストアで揃えたとしても、結構高かったんじゃない?」


「お姉さんを通して、企業とコラボしてる案件があって、ちょっと自由に使えるお小遣いがあるんだって。」


「でも悪いわよ。ママなんか考えとくわ。」


「そうだ、ママ。私もSNSやってみたいんだけど……ダメかな?」


「SNS?」


 ママがちょっと怪訝そうな顔をした。


「例えば、今日の原宿の写真とか、自分でもアップしてみたいなって思って」


「他人の悪口を書かないこと。個人情報を載せないこと。変な人に絡まれたら、絶対に一人で抱えずにママに相談すること。それをちゃんと守れるなら、初めていいわよ。」


「やったーー!」


「あと、最初のうちは非公開アカウントでやってみたら?本当に見せたい人だけに見てもらえるように。」


「うん、分かった。ありがとうママ!」


 夕飯のあと、スマホを手にして、ワクワクしながら自分のユーザーネームを考えはじめた。どうしよう?そのまま、あかねはやめた方がいいだろうし――そうだ!英語にしてみよう。あかねを英語にすると、madder red、deep scarlet、dark red、crimson……


 crimsonってなんか響きがいいな。crimson_snapとかどうかな?よし真ん中にアンダーバーを入れて入力。


 ――crimson_snapというユーザーネームは使用できません。


 ああ、もう使われているのか。ううんと、じゃあ、crimson_skiesは?


 ――crimson_skiesというユーザーネームは使用できません。


 これもダメだった。


 散々悩んだ末、『i_luv_crimson』に決めた。ちょっと海外のインフルエンサーみたいじゃない?


 早速、今まで撮った写真を何枚かアップして、高倉くんのアカウントをフォローした。高倉くんに、メッセージアプリで、SNSのアカウントを作ってフォローしたことを伝えたら、すぐに気づいてくれてフォローを返してくれた。


 なんだか新しい自分が始まる気がした。

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