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高倉くんのカワイイを応援したい!  作者: 志熊みゅう
第二章 カワイイは誰のもの?

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4. メイク指南

 桃シェイクを飲み終えると、ドラッグストアに向かった。まっすぐコスメコーナーに向かう。ママに付き合って、コスメコーナーを見たことはあるけど、自分で何か買うのは初めてだ。


 高倉くんが、慣れた手つきで手の甲にいくつかファンデーションを塗って色味を選んでくれる。なんかコスメコーナーの店員さんみたい。


 このグロス、パッケージかわいい――と思ってみていると、高倉くんが迷わずそれをかごに入れた。それから、アイシャドウ、アイライナー、チーク、マスカラ……プチプラだけど、高倉くんのおすすめのコスメをかごに放り込んでいく。


「あ、これこれ。これで二重幅変えんねん。」


 アイプチと呼ばれる商品を手にしていた。


 一個一個はプチプラだけど、全部足すと結構な金額になるかも……。お小遣い、足りるかな。ちょっとドキドキしながら、かごを見つめていたら、高倉くんが耳元でささやいた。


「今日付き合うてくれて、ほんまありがとな。これ、お礼や。遠慮せんといてな?」


「え!悪いよ、そんな。」


「ええんや、ええんや。メイク動画がちょっとバズってな、姉ちゃんが手伝ってくれて企業さんとやりとりしてん。たいしたことないけど、ちょっとは入ってくるねん。」


 会計を済ませ、竹下通りを抜ける。交差点にある、ガラス張りでちょっと変わった形の商業施設の中へと入っていく。


「本当は化粧室使いたいねんけど、俺が女子トイレ入るんはさすがに問題ある気がすんねん。」


 そういえば、女装しているとき、トイレはどうしているんだろう?この格好で男子トイレ入ったら、さすがにみんなびっくりしちゃうんじゃないかな?


「女の子の格好しているときってトイレどうしてるの?」


「多目的トイレ使っている。"多目的"なんやから問題ないはずやろ。」


「あ、なるほど。」


 高倉くんに連れられて、屋上階のテラスに来た。ここは竹下通りの人ごみとは違って、開放感がある。


「ほな、始めるで。」


 高倉くんがテーブルの上にさっき買ってきたコスメを並べる。鞄から取り出したウェットティッシュでさっと手を拭いた。


「まずはスキンケア、化粧水と乳液を付ける。」


 ドラッグストアでおまけでもらった試供品の化粧水をパシャパシャっと手になじませ、やさしく顔にのばした。


「つぎに下地、これで化粧のノリとモチをよくするんや。」


「へえ!」


 そういうと、今度は下地と呼ばれるクリームを、手際よく顔全体に伸ばしていく高倉くん。プロみたい……と、思わず見入ってしまった。


「少し乾かしてから、ファンデーションを塗る。」


 高倉くんが、お店で色を合わせたリキッドファンデーションを、私の顔に片側ずつ、右頬、右額、左頬、左額の順に塗り広げていく。中心から外側にがポイントらしい。さらに、鼻と顎にもファンデーションをのせた。


「本当はスポンジで塗った方がええねんけど、今日は手でごめんな。」


「全然、大丈夫!」


「よく動かす目の周りとか口の周りはよれやすいから、最後な。手に余った分を塗るねん。」


 なるほど、メイクって、崩れないように“仕込み”の段階から気をつけるんだ。


「いまんところ、こんな感じ。」


 ファンデーションを塗った肌は、毛穴ひとつ見えない。まるでゆで卵みたいだ。


「すごい!」


「これがベースメイクや。なんや、思ったより化粧映えするやん?……ふふ、ええ感じやで。」


「ほんと!?」


「それとポイントメイクの前に、これで二重幅変えんねん。」


 高倉くんがさっきのアイプチを取り出した。


「ちょっと目閉じて、はい開けて。」


 付属の小さな棒を右の瞼に押し付け、二重のラインを確認していく。


「これや!もう一回閉じて。」


 そういうと、小瓶に入った透明な液をまぶたに塗って、少し乾かしたあとに、先ほどの棒を瞼に押し付けた。


「はい開けて、よし!目がぱっちりしたで。これも慣れたら一瞬や。」


 鏡に映った目元に、思わず息をのんだ。いつもの地味な奥二重が、くっきりとした平行二重に変わっていた。


「……わ、すご。これ……私?」


 まだメイクをしていない左眼との落差にびっくりする。


「もう片側もやるから目閉じて。」


「うん」


 同じように左瞼もアイプチで平行二重になった。その上に少し垂れ目に見えるよう実際の眼の幅よりも長く、アイライナーを引いた。さらにブラウンのアイシャドウをのせていく。地味かなと思ったアイシャドウなのに、目が自然と大きく見えてびっくりした。さらに目元の下にキラキラのアイシャドウをのせると、自然な影と輝きができて、ぷっくりした涙袋が浮かび上がった。ビューラーでまつ毛を上げて、マスカラを根元から塗っていく。


「ほら、目元をちゃんと化粧するだけで、だいぶ印象ちがうやろ?全然地味やない。」


「ちょっとびっくりしちゃった……目だけでこんなに変わるなんて。ほんと、アイドルみたい。」


 鏡の中の自分に、ほんの少しだけ見惚れてしまった。自分って……かわいかったんだ。


「仕上げするな。ちょっと顔貸して。」


 そういうと、ピンクのチークを頬の一番高いところに入れて、さらに唇にグロスをのせた。


「はい、できあがり!」


「……すごくかわいい!これ、自分でもできるかな?」


「そんな難しいことやっとらんし、後でそれぞれのコスメの使い方をメッセージで送る。」


「高倉くん、ありがとう……こんな私、初めて見た。」


 今まで、自分は地味顔だと諦めていたけど、メイクをするだけで、こんなにカワイイ自分になれるんだ。メイクってすごい!

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