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高倉くんのカワイイを応援したい!  作者: 志熊みゅう
第二章 カワイイは誰のもの?

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3. 竹下通り

 パンケーキを食べ終えて会計を済ませたあと、私たちは店を出て、竹下通りへと歩き出した。会計の時、カフェ限定の"パンケーキを頬張るココのマスコット"もゲットできた。


 竹下通りは、さっきとは比べ物にならないほど、人でごった返している。外国人観光客にも人気みたいで、通りにはアジア系の観光客や、大きなカメラを首から下げた欧米の人たちもいて、原宿そのものがまるでテーマパークみたいだった。


「すごい人だね!」


 通りの両脇には、カラフルな看板が並ぶ小さなショップがぎゅうぎゅうに詰まっている。ふわふわの動物と触れ合えるカフェや、カチューシャやサングラスがぎっしり並んだアクセサリーショップ、インスタ映えを狙ったスイーツスタンド――あっちもこっちも『カワイイ』!


 虹色の綿あめをもった親子連れが階段を下りてきた。ふわふわの雲みたいな巨大綿あめに思わず目がいく。


「あの綿あめ、おもしろいね。映えそう!」


 私がそう言うと、高倉くんが笑った。


「え、あれ知らんかったん?SNSで結構バズってんで。」


 原宿って、こういう"ちょっとヘン"なくらいが、むしろおしゃれに見えちゃうのがすごい。誰かの『好き』をそのまま大事にしていいよって言ってくれてる気がする。ここでは"女の子らしさ"も"男の子らしさ"も、境界がふわふわで、とっても自由な気がした。


 虹色の綿あめ屋さんの階段にできた行列に並ぼうとした時、男性二人組に声をかけられた。


「君、かわいいね。アイドルの|Fluffy♡Angelsフラッフィーエンジェルズってグループ知っている?俺、そこの事務所に勤めてて、メンバーの結城瑠香(ゆうきるか)ちゃんは俺がスカウトしたんだよ。ちょっと俺とお茶をしていかない?」


 男たちは、笑っているのに目が笑っていない。振り向くと高倉くんは首を横に振っている。


「ごめんなさい。急いでいるんで。」


「俺、興味あるのは君じゃなくて、後ろの子。ほら、これ名刺。怪しいものじゃないでしょ?お仕事の話をするのに、お友達付き合わせちゃかわいそうだし。」


 え、なんか露骨だな。普通二人で歩いているんだから、私たち二人一緒にお茶するもんじゃないの?


 高倉くんが渡された名刺をのぞき見る。この事務所の名前――パパの仕事の関係で聞いたことある。もしかして本物のスカウトなのかな?


「――おっさんら、未成年ナンパして何考えとんねん。」


 高倉くんがどすが効いた声をあげた。話しかけてきた男もキョトンとしている。


「せやから、未成年ナンパして何する気やったんかって聞いとんねん。ほんまもんの芸能事務所やったら、まず名刺だけ渡して親通すやろ? いきなり二人きりで会おうなんて、絶対言わへんで。」


 あ、確かにそれもそうだ。ていうか高倉くん詳しいな。前にも声をかけられたことあるのかな?


「……なんだ、男かよ。つまんねーの、行こうぜ。」


 少し震える私の手を握り、高倉くんが近くのファストフード店に駆け込んだ。


「ごめんな、イヤな思いさせてもうて。」


「高倉くんは悪くないって。あの人たちがおかしかったのよ。」


「あんなストレートやと思わんかったわ。――俺はそめやんのこと、めっちゃかわいいと思てるで。」


 目の前の"美少女"にそんなこと言われて、変な気分。とりあえず何か頼むか。


「気にしてないから平気。何頼む?」


 二人で季節限定・桃シェイクを頼んだ。高倉くんがさっとSNS用に桃シェイクと自撮りを撮った。


「……そめやん、俺がかわいいって言ったの本気にしてないやろ?」


「え、だって私奥二重で地味顔だし。かわいいものは好きだけど、自分のことをかわいいなんて思わないよ。」


「分かってへんな。目元なんか、化粧でいくらでも変えられるわ。大事なのは骨格や。」


「――骨格?」


「そめやん、鼻筋通っているし、中顔面も短い。一見地味顔だけど、化けるで。」


「そうかな?」


「信じられへんのやったら……やってみる?」

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