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初めての村

はぁ...はぁ...


果てしない道を俺たちは歩き続けていた。


「これ、いつまで歩くんだ?」


「ねぇ、ご主人様疲れた~」


 二人は泣き言を吐きながらも歩いていた。

 俺達はあの後、何とか一夜を無事に越え、この状況を抜け   出すためにも、人里を目指し歩き続けていた。

それに、


「ぶ、文明に触れたい…」


ほぼ遭難と変わらない、サバイバル生活に精神も限界が来ていた。


「ねぇ、ご主人様聞いてる~?」


 その声を聴き俺は、ちらっと奴隷の方を見る。

 あの夜以降、まるで性格が変わったように明るくなっていた。しかも、ありがたいことに対したこともしていないのに、自分に好意的にふるまってくれている。


 奴隷と主人、この関係はいかがなものかと思う部分もあるが正直こいつがおらず、一人っきりのままだったら精神が完全に崩壊していただろうと思い感謝していた。

 そんなことを考えながら黙々と歩いていた。

 

 「ねぇ!」

 「うぉ!」


 奴隷の顔がずぃっと急に顔前に近づき驚いた。

 

 「聞こえてるなら、ちゃんと答えてよ!」

 「あぁ、ごめん、ごめん。」

 「もう!しっかりしなよ。心配になるじゃん。」


 心配させてしまったようだ。俺は、申し訳ないと思いつつも、少し怒った顔を見て、それにしても整った顔だなと思い、転生前だったら俺みたいなのじゃ話すことすらできなっかっただろうなと考えていた。


 「ほらまた考え事してる!」

 「あぁ、ごめん、綺麗な顔だなと思ってさ。」

 「えっ!」


 奴隷は、顔を赤らめ後ろを向いた。

 

 一方でその反応を見て俺は、やっべセクハラになるのかとうかつな発言だったと瞬時に反省していた。

 俺は話題を切り替えようと、そそくさと話しかける。


 「そ、そういえば・・・?」


 俺は、言葉が止まった。

 (・・・そういえば、俺こいつの名前知らなくね?)

 

 「ど、どしたのご主人様?」

 

 固まった俺を見た奴隷がまた心配そうに話しかけてくる。

 

 「い、いや、さ。俺、あんたの名前しらないよな。」

 「え!?いってなかったっけ!?」


 奴隷はまさに、まさにあちゃーという表情で頭に手を当てていた。


 「でもなー、あたし奴隷の時、番号でしか呼ばれてないからなー。」

 「奴隷になる前の名前でいいんじゃないか?少なくとも俺は奴隷扱いする気はねーし。」


 その言葉を聞いた奴隷は、笑顔を浮かべ


 「そういうとこ好きだなぁ」


 とボソッと口にした。

 俺は、


 「ん?なんかいったか?」

 

 と聞き返す。

 奴隷は


 「ううん、何でもない。それよりあたしの名前はリーナって呼んで。」

 「リーナか、いい名前じゃないか。」

 「ふふ、ありがとう。」


 うまく話がまとまり、雰囲気も良くなったのだが、


 「さて、歩くかぁ…」


 俺は、明らかにテンションが下がりため息をつきながらも歩き始めた。


 「えー、まだ歩くのー?」

 「しょうがねぇだろ?こんなとこにいても仕方ねぇしさ。あんな目にあったばっかだろ?こんなとこいても、またいつ襲われるかわからんぞ?」

 「そうだけどさー」


 リーナも泣き事を吐きながらも俺の後をついてくる。

 だが、実際、ここまでまともな食事もとれていない、このままこの生活がつづいたらやばいのも事実だった。


 「リーナは、今いる場所とかこの辺の町とか知らないのか?」

 「知らないよー。奴隷に余計な知識とか付けさせてくれないからね。」

 

 確証もなく歩き続けるしかないのか…と悲しみつつも歩き続けるのだった。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


「ず、ずいぶん歩いたな。」

「あたしもう歩きたくない―。」


 あれから、かなりの距離を歩きてきたのだが一向に人里は見えてきたくなかった。


「これ、俺達死ぬんじゃね?」


 その言葉を発した瞬間だった。


「ねぇ。ご主人様あれ!」


 奴隷が何かを向付けたのか、急いで俺の腕をつかみ揺さぶる。

 その奴隷の指さす先には黙々と白く煙が上がっていた。

 

 「まじかよ、いくぞ。」


 煙が上がっているということは、その下にきっと人がいるに違いないと思い。

 俺とリーナは、大急ぎで煙の下に向かった。


 全速力で駆け込み、煙の下に着いた。

 そこは予想どおり村がのような人里があった。

 なぜか門番も誰もいなかったが、そんなことよりも、久しぶりの人工物に興奮し、リーナと二人で村に入ると、


 「やめてください!」

 

 と大きな悲鳴のような声が聞こえてきた。

 なんだか、この前経験したようなと思いつつも悲鳴のする方にリーナと向かう。

 

 すると、そこには盗賊らしき人間たちが人の家を襲っている光景だった。女性が捉えられ助けを求め叫んでいる。

 そして、出てきた盗賊と目が合ってしまう。


 「お、かわいそうにな兄ちゃん。俺たちを見てしまったからには消えてもらうぜ。」


 とこっちに近づいてくる。俺は、


 またか...

 三度目の襲撃に慣れを感じつつあった。



 




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