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森の中で

 うーーーん、


 俺は、森林の獣道で、唸り声をあげ、立っていた。


 それもそのはず、世界を救うという大義名分を与えられた、正義の味方みたいな存在だったはずなのに、いくら困った人を助けたとはいえ、奴隷商を助け、見返りに奴隷を貰っている。しかも初報酬が。


 俺は、罪悪感よりも、転生前に女神様が言っていた見守っていますよと言う言葉を思い出し恐怖し、悩みうずくまっていた。


 これ、ワンチャン俺、この世界から消されねぇ?


 女神様がもし俺のことをこの世界の悪だと認識したら?と思うとぞっとする。

 

 「はぁ、」


 と頭を抱え悩むが、どうしようもなさそうだ。


 俺は気持ちを切り替えようと、ふとさっきの戦闘のことを思い出した。

  

 (そういえばさっきの戦闘ときのあの攻撃なんだったんだ?)


 人間離れしたとてつもない威力の振り払いあれは何だったのかと思い返した。


 そこで俺は大きくその場で思いっきりジャンプしてみる。


 ブワッと風が舞い、次の瞬間には大きく宙に舞っていた。この森を大きく見渡せ、元居た場所が小さく見える。



いい景色だと思ったのもつかの間、一気に落下し始める、

 

「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ。」

 俺は悲鳴を上げ地面に落ちていく、


 ドスーーーーーン、俺は地響きとともに着地というより地面にたたきつけられた。だが、


 「あれ?無事だ。」


 かなりの高さから落下をし、死んでもおかしくないという高さだったが、死ぬどころか痛みさえ感じず無傷だった。


 まさに漫画の主人公のようだ。

 そこで、近くにあった地面に埋まった俺の腕の長さぐらいの岩を掴んで引っ張ってみた、すると、


 ドッコォォと言う音とともに簡単に引っこ抜ける。そして、持ち上げられた。


 俺は、抜いた岩を置きながら考える。


 ここまで、衝撃の連続で気が付かなかったが、確かに体が軽い感じがする。まるでパワードスーツを着てるかのようだ。なんというか、加護か何かで筋力が上がったというよりか、重さをさほど感じない。体が軽い感じがするのだ。感覚的に、どちらかというと、地球よりも重力が軽いような感じだ。


 だが、自分以外の物質の動きは、地球と変わらない、物が浮くわけでもないし、跳ねるわけでもない。これも、女神の加護なのだろうか?


 だが、これなら、漫画みたいな動きができるかも、

 俺は、かっこよく動く自分を想像しニッチャァと気持ち悪い笑みを浮かべた。


 そんな俺を自分の近くにさっき契約させられた、女性俺の方を虚ろな目でじっと見ているのに気が付いた。


 俺は、さっと顔を逸らし、妄想している自分の姿を見られたことに気が付き、顔を赤らめ恥ずかしくなる。

 (そうだった、こいつがいるんだった。)


 そして二度ほど深呼吸をし、落ち着き、覚悟を決め、俺の奴隷?に話しかける。


 「あの、大丈夫ですか?さっきから虚ろな目をしてますけど…?」


 一応この女は俺の所有物らしいが、俺は急に上から目線にはなれない。俺流で行くと決め、普通に接する。


 だが、


 「・・・・・・」


 その女性から返事はかえって来ない。まるで心が壊れてしまっているかのように、人形としゃべっているような感じだ。

 

 「はぁ、」

 (これは厄介だぞ。)とポリポリと頭をかきながら呆れる。

 

 この無視される感じトラウマになりそうだ。

 (頼むなんかいってくれねーかな。)

 そう思うが返事はなかった。

 

 何処かも知らぬ森林深くの道中、森の音が聞こえてくるぐらいに沈黙していたのだった。


 だめだこのままじゃ、俺の頭までおかしくなる。


 何とかこの状況を変えようと考え、女の方を見つめる。


 なんというか薄汚れて、痩せた身なりの女だ。

 こういうのは、大体自分より年下の女のパターンが多いが、この奴隷に至っては、俺とどっちが年上かすらわからないの身なりだ。

 まぁ、だからこそ扱いずらい、もし年上だったら特に為後などしにくいからだ。    

 だが、だからと言ってこのままここにいるわけにもいかない。


 そのため、

 「とりあえず、ここを移動しましょう。えーと、ついてきてもらっていいですかね?」


 さばさばとはなしかけた。ここに、ほっとくわけにはいかない、ましてや俺のせいで餓死してしまったら俺の良心が痛む。


 だが返事は無い。


 俺は、無視されるのに腹が立ち、

 「あーーーもう、いいから、ついて来い!」

 と命令口調で叫んだ。


 するとすんなりついてきた。


 俺はまさかと思い、

「その場で、止まってください。」

 というと、無視してついてくる。


 「とまれぇ!」

 というとピタッと止まった。


 まさかこいつ、命令口調でしか話が通じない?と考える。

 だが、この反応を見るとそうにしか取れなかった。

 

 そこで、俺はこの女が奴隷ということを改めて再認識した。


 そう考えるとこの女がどんな環境で生きてきたのかが少し見えた気がした。

 ましてや、物を渡すようにこの女の人権を俺に渡すような世界だ。


 「はぁ、こりゃこの世界の常識に適応していくのはいばらの道だぞ…」


 この先の異世界生活の道のりを考え、ブルーになりつつも、先ほど馬車で奴隷商が走り去って行った森林の道を歩き始めたのだった...


 その後ろにはトコトコと奴隷もついてきていたのだった。




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