表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

31/171

第29話 『パンツノート奪取作戦!ヒロイン連合、初の共同戦線』

 昼休み、屋上裏――


「……確認するけど、マジであんのね? パンツノートって」


「……ほんとに、悠真とあたしたちのこと、**“しみの種類”まで書いてあるの……っ」

ことりが涙目でつぶやく。


「許せねぇ……私のパンツ、勝手に“耐湿限界突破済”って分類されてたぞ……!」

レナの拳が唸る。


「実際のしみ具合を“pH値”で測るのは私の専売特許です。あれは盗用です」

つばさが眼鏡をクイッ。


「“パンツに宿る信頼指数グラフ”? こっちの顔が赤くなるっつの……」

みずきがプリントアウトされた1ページを見ながら震える。


 そして、ノートの中には――


✎ パンツノート抜粋(地雷ver)

【白井×ことり】:干すまでの距離=16cm/指が触れた時間=2.6秒/→両想い予備軍


【白井×レナ】:パンツ角度修正=3回/赤面継続時間=8.6秒/→羞恥防衛反応


【白井×ほのか】:乾燥タオル投入=2回/→深層信頼形成フラグ(濡れ系)


【つばさ】:観察→洗浄→研究→観察ループ中(本人の意思)


 ことり:「これ……このまま誰かに見られたら……死ぬ……」

 みずき:「誰かじゃなくて校長に見られたら人生終わる……」

 レナ:「というか、“恋のシミ曲線”って何だよ地雷すぎるだろコラァァァ!!」


「ということで! 作戦開始!」


《パンツノート奪取作戦コードネーム:布魂ぬのだま


レナ&みずき:体育倉庫の裏ルートから突入&制圧


ことり:涙目で尾行・かわいそう担当


つばさ:しおりの机周辺に盗聴器(※家庭用)を仕掛ける変態策士


悠真:蚊帳の外(※主役だけど今回は観察対象)


 そして放課後。


 つばさの仕掛けた盗聴器が、

 しおりの声を拾う。


『……やっぱり、来るんですね。

 白井くんの“濡れた想い”を……奪いに』


 ──地雷、炸裂。


 その言葉を聞いた全員の背筋がゾワッと凍る。


「ちょ、ちょっと待ってあの子やばいって!?」


「“しみ”のことを“想い”って言い換えるの、ポエム地獄じゃん!!」


「悠真が“濡らされた”とか書かれてたらマジで私たちどんな顔すればいいのよ……!」


 つばさ:「ご安心ください。ノートの在処、特定済みです。机の中、茶封筒に保管されてます」


「よし、行くぞ。布の名にかけて!!」


「わー! 今パンツの名で誓ったよね!?」


 しかし――


 ドアを開けた瞬間。


 そこには、ノートを手に持ったしおりが、

 最初から待っていた。


「来ると思ってました」


 無表情で、微笑みすら見せず、

 ただ一言。


「だってあなたたち、パンツを大切にしてましたもんね。

 白井くんの、布に触れる指先を奪われたくないでしょう?」


 全員の目が泳ぐ。


「な……なんで“触れた指先”とか覚えてんのよ……!」


「というかお前、白井のどこまで見てんだコラァ!!」


 しおりは、ゆっくりノートを抱きしめながら言う。


「でも、それでも……これは私の“記録”なんです。

 誰にも渡しません。“濡れてしまった想い”まで、全部──」


 そしてぽつりと、


「……大事だから。私の、“好き”だから」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ