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仮面の誘い

作者:り(PN)
 はじめはヒラヒラだった。いや、ピラピラというべきか? 目の先を紙が舞っていた。紫色の紙だった。それが数枚。風を受けて舞い踊っていた。道端のガードレールに引っ付いたり離れたりしながら……。
 平日の朝のことだ。たしか、水曜日だったと思う。暑かった……ような気もする。
 最寄駅から会社に向かう道すがら、郊外と呼ぶにはあまりにも都市近郊の古びた高架駅近くでのことだ。地下鉄や主要幹線が数本終結するターミナル駅から、急行で約十五分といった場所あい。
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