謎の白髪の女
「強くなりたい…強くなりたい…」
そんなことを口ずさみながら、ひたすら町外れにある森を歩いていた。
街を去って、もう3日、食事もまともにとってはいなかった。
「腹が減った。何か、何かないのか」
体はもうボロボロ、歩くことだけがやっとだ。
「グルルルゥ」
「なんの音だ」
なにかまずい声が聞こえた。
舌なめずりをするような音、そしてなにか鋭い視線を感じる。
「っ!!」
さっきまで少し遠いとこから聞こえていたのに
今はもう目の前に一般的な獣よりも一回り大きい獣が迫っていた。
どんなものも切り裂けそうな爪、あんなものに一発でもあたったら、
もう即死だ。
「やばい、ど、どうすれば、」
もう恐怖で足も動かず、逃げたくても逃げられない。
「もう俺は終わりなのか・・・」
ゆっくりと獣が近づき、腕を振り上げる。
「もうだめだ・・・」
目をつぶり、死を覚悟したその時だった。
【氷冷魔術ダイヤモンドスピア】
上から槍のように尖った大きな氷が上から素早く獣に向かって降ってくる。
その氷は獣の体を貫き、一撃で仕留めた。
目を開けると、さっきまで自分を殺そうとしていた獣が死んでいた。
「何が起こって・・・」
すると白髪のカッコよくきれいな女性がこちらに歩いてきて
「大丈夫か、少年」
「え、あ、は、・・・」
三日間ほとんど何も食べず、さっきまで死にそうになっていたからか、
その場で意識を失ってしまった。
意識を失ってから一晩が過ぎた。
目を開けると家の中でベットに横になっていた。
「お、目を覚めたな」
そこには、死にそうなところを助けてくれた女性が立っていた。
「すいません、助けていただいて」
「いいよ、礼など及ばないよ
ところでどうしてあんな森の深くまでいってたんだい?」
「それは・・・」
これまでここに至った経緯を話した。
「魔法適正がFだって!?
そんなことがあるのかい??」
「あなたまで魔法適正で馬鹿にして、嘲笑うんですか」
「いいや、私は魔法適正で人を馬鹿にしようなんては思わないよ」
「そんなの嘘に決まってる!」
「嘘じゃないよ、なんでそんなことで人を嘲笑なくちゃいけないんだ?」
そんな魔法適正で人を馬鹿にしないという言葉に目から涙こぼれ落ちた。
魔法適正がFと判断され、街を追い出されたとき
誰とも関わらず一人で生きていくと誓ったのに
こんな自分と話してくれるような人がいて、涙が止まらなかった。
「急にどうしたんだい、大丈夫かい」
「すいません、涙がとまらなくって・・・」
「じゃあ、気が済むまで流してな、私がそばにいてあげるからさ」
しばらく、自分の涙が止まるまでそばにいてくれた。
「この世に魔法適正がFなんて存在するのか??
絶対にそんなわけがないはずだ。」
そしてまた、一日がたった。
「お前さん、これからどうするんだい??」
そんなことを聞かれ、自分が何をしたいか考えた。
考えると、あの光景がフラッシュバックする。
(生きる価値のないゴミじゃないですか)
(あなたはこれからゴミとして生きて行くんですから)
「復讐したい・・・」
「え?復讐?」
「誰にも負けないくらい、思い切り強くなって、
俺に命乞いをするくらい復讐してやる、」
それを聞いて、ニコッと笑い、
「よっしゃ、じゃあ復讐してやろうじゃないか!
私も手伝ってやるよ、その復讐に!」
「本当ですか!
じゃあ俺に、魔法適正Fのこの俺を誰にも負けないくらい強くしてください!!」
「任せときな!」
やっと、俺を追い出したあいつらに復讐することができる。
絶対に俺はあいつらを許さない。
「あ、まだ名前行ってなかったね」
「そうでしたね」
「私の名前はシャール・ディルロッテ、シャールでいいよ」
「俺はカイ、よろしくお願いします!シャールさん!」
「硬苦しいなー、シャールでいいよ、シャールで」
「じゃあ、シャール」
やっとこれからはじまる、俺の復讐劇が!
「よし、じゃあさっそくカイ」
「なんでしょうか!シャール」
「私の学院に入れ」
「・・・・・へ?」
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