第五章:Side Bets/04
「ん……」
その日の夜更け頃、眠っていた憐は何かの拍子に目を覚ましてしまっていた。
瞼を開け、寝ぼけた瞳で暗い部屋の中を見回す。
すると……どういうワケか、彼の傍にはレイラの姿が無かった。
憐が眠る時は、昨日と同じく確かに同じベッドに入ってくれていたはずだ。でも……今はもう、彼女の姿は部屋の何処にも見当たらない。
(……何処か、行っちゃったのかな)
どうやらレイラ、憐を寝かしつけた後で何処かに出掛けてしまったらしい。
そっと触ってみたベッドには、まだ仄かに温もりが残っている辺り……彼女が家を出てから、そこまで時間は経っていないようだ。
「レイラ……」
もう少し注意深く部屋の中を見回してみると、部屋の片隅にライフルケースと一緒に用意してあった、買ったばかりのスナイパーライフルまで消えている。
ということは――――つまり、そういうことだ。
状況を理解すると、同時に憐はレイラが何処に、何をしに行ったのかを何となく察してしまっていた。
だからこそ、彼は再びそっと瞼を閉じる。今は居ないレイラのことを思いながら、無意識の内に彼女の無事を祈りながら。




