表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/101

第二章:気になる彼女と、近づく互いの心と/01

 第二章:気になる彼女と、近づく互いの心と



 それからの二週間、特に何事もなく日々は過ぎていった。

 あれ以来毎日、昼休みになると憐はレイラと一緒に屋上で昼食を摂っている。雨の日は流石に出られないから、屋上へと続く扉の手前にある階段の踊り場で済ませていたが……とにかく二人は、ほぼ毎日そうやって必ず、昼休みには二人きりの時間を過ごしていた。

 憐の方は、彼なりにレイラに対して下心なりなんなり、色々と思うところがあるからなのだが……肝心のレイラはというと、単に護衛の為という意味で彼に近づいていた。

 こうして近い距離を保っていた方が、何かと守りやすいというものだ。一見すると屋上という環境は狙撃の危険があり、些かマズい位置にも思えるが……しかし敵の目的は憐の殺害ではなく、あくまで彼の身柄を確保することだ。

 とすると、大事な彼をわざわざ狙撃でどうこうするというのは考えにくい。

 そうなれば、危険なのは寧ろ護衛役のレイラなのだが……こちらも一切問題はない。彼女の人間離れして研ぎ澄まされた感覚を以てすれば、スナイパーの気配は肌で感じ取れる。例えそれが何キロ先であろうと、こちらに殺気を向けてくる限り……彼女には、分かってしまう。

 だから、実質的に危険はないのだ。

 故に――――この屋上での会食という環境は、護衛の観点から見ても打ってつけの状況だった。

 彼との距離を自然に縮め、彼をより守りやすい環境を構築する。レイラはただその一点のみを目的として、昼休みには毎日のようにこうして久城憐と過ごしていたのだった。

 だが――――そんな日々の中で、レイラの心にも何かしらの変化があったようで。彼女ですら気付かぬ、そんな心の変化が露わになったのは……担任として憐の前に現れてから二週間後、週末の金曜日のことだった。

「憐、ひとつ提案があるのだけれど」

「? なんですかフェアフィールド先生、藪から棒に」

 花の金曜日、翌日に休日を控えたこの日の昼休み、レイラと憐はいつものように屋上で二人きりの時間を過ごしていて。そんな最中、きょとんとする憐にレイラはふふっと小さく微笑みかけ、

「――――――明日、ちょっと私に付き合ってくれないかしら?」

 と、自分でも思いがけないようなことを、彼に提案していた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ