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青い光跡のレジオン

作者: 坂下貴靖

現在の人類が、生まれるずっと前、宇宙世紀という時代が始まるずっと以前の話である。

老人は、少年にこう語った。

「レオン・レジーナという男が昔おったそうだ。その男は、青いものを集めている熱心な研究家で、今、現在の宇宙の所有者じゃ。奴が、歩いたあとは、青く光り、光跡という青い光線が残る。嘘じゃない。そして奴は戦うため、そして、宇宙を守るために、強力なマシンに、跨った。そう、レジオンというマシンを生み出したのじゃ。そして、今現在も、超高速で飛び回っておる。宇宙のどこかを。きっと、お前も、その光跡を見ることになる。きっとじゃ。」


街では、喧噪感と共に、どうでも良い、田舎臭い、どんよりとした、ラジオの、選曲が、掛かっていた。沢山のひと、そして、グロテスクなまでに、巨大化した、宇宙コロニーの中の、トカイと呼ばれる場所。こんな場所どうだって良い、と思える、スラム。そして、富裕層たちが住む、キャスケード。こんな実情。

「情けない。いつまでも、情けないんだよ。おれ達は。」

ジョゼは言った。

「ここからは、抜け出せない。だって、他のコロニーに行くには、近くたって、17000アイオン、いや、良いとこに行くには、今の生活を抜け出すのは、64000アイオンはかかるぜ。」

と、キルは答える。

「64000アイオンあっても、所詮、ドラコロニーまでしか行けない。」

コリンズ、という少年は答えた。

「ああ、どうして、俺たち、低所得者階級の人間はこう働きずめに働かされて、何も、手に入れられないんだろうね。これだけ辛くちゃ、体がいくつあっても足りないよ。」

アゼルはこう答えた。

そして、ジョゼにアゼルはこう言った。

「次の週に、また、ミッションが行なわれるらしい。そう奴の、ブルーに関する、情報だ。その情報、7000アイオンで、買わないかい。」

「7000アイオン、高すぎる、それじゃ元が取れないじゃないか。本当に、ブルーの話なんだろうね。そんな確証がない。

当たれば、でかい、勝負なんだろうね。」

と、アゼル。

「本当にブルーの話だ。場所は金を払ったら教える。確かな、賭場だ。ワンスロット、777アイオン、それが跳ねれば、70万アイオンだ。7777アイオンが、子供の駄賃に見えるぞ。」

ジョゼは続けた。

「スロットのありかは、教えられる。ただし、7000アイオン払ってからだ。」

キルはこう言った。

「お前には騙されたこともある。何度もある、今度もし騙したら、三度めだ。今度は許さねえぞ。今度こそ許せねえ。ジョゼ。」

「騙したというがすぐ返したじゃないか。金は。それより、今回のことだ。スロット、の在り処。聞かないで良いのか。」

「しょうがねえ、そのディスク、7000アイオンで買うよ。そして今度こそ、70万アイオン当てる。」

少年コリンズは答えた。そうこのコロニーでは、子供の方が金を持っている。そして、子供のころに、成功する奴が勝つ。

「7000アイオン、僕のタケットから、引いといて、キャッシュでいい。7000アイオンに、パスをかけとくから。パスは、そっちの端末に、今、直接送る。あんた宛だ。ジョゼ。そしたら、あんたのターボタケットに入れるなり、使うなり好きにしていい。」

「じゃあ、スロットのありか、お前のターミナルに、送るよ。交換用のプログラムは、もう、作ってある。」

「じゃあ、今、すぐに送ってよ。」

「了解」

朝の商談は、完了した。


 宇宙が大好きだった。光を見るのが好きだった。超光速。俺の宇宙、俺の好きな青い宇宙、流れる星、そして、とても、冷静にさせる、星たちの、青い光。それに同調して脈打つ俺の血。そう宇宙は、気高く、そして深い。俺が、あの、青い光石と出会ってから、俺はそれを一生懸命、集めた。そんな時代だった。何もない。俺しかいない。そんな、宇宙だった。どこにでもあるわけじゃない。その青い石は。でも、たまに、出会うことができる。そんな仲間。俺は、この星に、一人で生まれ、一人で育ち、今も、一人で生きている。

 この星は、俺の管理下にある。そう、巨大なマザー、あなたと出会った時から。巨大なマザーはこの星に直接、繋がっている。そして、俺とも、直接繋がり、全てを教えてくれた。俺が、十五の年に、出会い。そして俺はそのマザーに直接アクセスし、そして、全てをプログラムし、捧げた。全ての、青い石をそして俺の、意思を、伝えた。巨大なマザーは、多くは語らなかった。

 しかし、俺に、宇宙一の青いマシンを、届けてくれた。巨大なマザーの意思。その青いマシンに、俺は、レジオンと名付けた。その日から、俺は、超光速で宇宙を飛び回れるようになった。そんな、マシンだった。それから、巨大なマザーは、僕に、一本の刀も授けてくれた。俺はそれに、ブルーと名付けた。俺が、持ってるものはそれくらいだった。

 それから、大昔にひろった、青く光る、拳銃、動くようにするまで、時間のかかった、相棒、ブレイドランナーその三つくらいが、俺の、青い所有物だった。

俺は、それと、巨大なマザーの意志によって、所有欲からは、解放されていた。所有欲というのは、一人で生きていても、湧いてくるものなんだろうと思う。俺には、食欲や、征服欲は、もちろんあった。だから、青い石を、集めていたし、それを集めていくことにより、巨大なマザーとも、出会えたのだと思う。しかし、俺は、それほど、貪欲でもなかったし、それほど、強欲でもなかった。でも、一つの宇宙を、手に入れることができた。数少ない、人間の一人だと思っている。

 青い星、青い宇宙、それを、一人で、手に入れられる、そういう時代に、生まれた、数少ない、人間だった。そう、まだ、人間は俺一人、宇宙に、最初に生まれた、人間それが俺だ。名前は、じっくり、真剣に、42回、星が、生まれ変わった時に、俺が考えて付けた。

 俺の名は、レオン・レジーナ。

 そして、宇宙が、117回、回転して、97回生まれ変わり、119回、滅びた後に、今の人類の姿がある、それが今、現在の姿だ。119回滅びたというのは、俺の敗北を表す。宇宙というのは、色々ある。人間にも色々ある。俺だって、色々ある。

 俺が生きている、この、人生という、複雑な、青い宇宙の中で、少しだけ、切り取り、僕の、人生の断片を、青い光を放つ石、そう、青い光石を手にした、幸運なキミに、お話しよう。


  それは、宇宙が7回、回転して、11回生まれ変わり、一度も滅びていない、宇宙の話だ。今回の話は、最初の人類、そう、その最初の俺が、生まれて、次の一人が、生まれた時の話だ。それは、不運にも、俺のマザーではなかった。そう、男だった。そして、彼の宇宙も素晴らしかった。しかし、彼の宇宙は、俺の青い宇宙とは、ベクトルが違っていた。

 赤い宇宙だった。その赤い宇宙は、俺の、青い宇宙から、すると、不運だった。戦争や、争いごと、そして、金、欲そういうものを、赤い宇宙の、巨大なマザーは内包していた。そのままだったら、放っておけばよかった。しかし、彼は、拾いだした、そう、その赤く光る光石を。

 彼は、利口だった。的確に、熱心に、その、赤い光石を、拾っていった。その姿を、俺は、青い宇宙から、見ていた。彼は、その赤い宇宙の最初の一人として、自覚をしていたんだろう。俺は、遠くから、それを、感じていた。そして、自分のしなければならない、作業を淡々とこなし、自分の、青い宇宙が回転するのを待っていた。

 俺と、彼が違うところは、彼は、赤い宇宙の巨大なマザーを、信奉して、赤い光石を、拾うとすぐに、巨大なマザーに届けに行くことだった。俺は、巨大なマザーから、安心感を、感じたり、優しさを教わったけれど、信奉はしていなかった。むしろそういう感情には、否定的だった。

 でも、彼は違った、赤い光石を79379個拾い、79379回、届けに行った。そして、赤い宇宙の、巨大なマザーと交わり、そして、彼も同じくして、超高速の赤いマシンを手にした。彼は、それを、リーディアと名付けた。彼は、それだけを手にした。そして、赤い宇宙に、中指を立て俺に向かってこう言った。

「俺の勝ちだ。」


 俺は、青い宇宙に、キスをした。そんな、好戦的な、彼を、感じ取って俺は、興奮した。そして、少しだけ、冷静になってもいた。宇宙に中指を立てたことに、俺は、腹が立っていたけれど、そんな彼が好きだった。素直に少しだけ、可愛く見えたのだ。しかし、宇宙は、それを認めなかった。


 赤い宇宙は、彼を変えてしまったのかもしれない、彼が交わった、巨大なマザーは、戦争、争い、金、欲、醜いものすべてを、彼に手渡した。そして、赤い美しいもの、すべてを与えた。そして、彼は、赤い帝国を、作り上げていった。俺は、放っておいた、それは、俺にとって、むしろ、興味の対象であったし、どれだけ、赤い帝国が強大になるのかを、この目で見たかった。そして、俺には、そのことが遠い宇宙のことのように、見えていたからだ。

 実験的だな。と心の底で、笑っていたのかもしれない。でも、着実に、その赤い帝国は、大きくなっていった。


 そして、宇宙が9回、回転した時に、俺は、あるものを目にする。それは、青い宇宙を眺めていると、赤い星が流れた時だった。青い宇宙を永年眺めていたが、今まで、そういうことは、1度もなかった、赤い星が流れることは、青い星が、一つ死んだことを意味する、と、巨大なマザーは教えてくれた。

それは俺を、怒らせた。その出来事は、俺に対する、彼からの挑戦状だった。

 

 そして、俺は、レギオンに、乗り込んだ。永年の付き合いから、俺に馴染んだ、コックピット、手に馴染む、操縦桿、無駄を省いた、プログラミング、そして、信頼できる、首から、下げた、一番強く光る、青い光石、青く光るコックピットに座った時、レギオンは、俺を、冷静にさせた。そして、俺をホットな気持ちにさせてくれた。

エンジンスタート、軽快なリズムで、俺は、マニュピュレートパネルを操作し、青い宇宙から、赤い宇宙、赤い帝国への、道のりを、探り出す。俺のメモリー、記憶とともに。

 ターミナルは、すぐに、その、光路を計算を終え、タービンは、ヒューッという音で、青く吹け上がっている。神愛なるレギオン。スタートだ。俺は、マニュピュレートパネルのエンターキーをタッチして、その動作に心地よさを感じていた。

 フウっと息をはき、呼吸を合わせて、こう伝えた。

「待ってろ、リーディア、今、助けてやるからな。」

と。

 一気に、レギオンが上昇加速を始める。俺は、少しだけ、コックピットのシートに力を入れて、そして、操縦桿を、握る。あっという間さ、赤い宇宙での、あらゆる、遭遇パターンを計算しながら、どんどん、レギオンは加速していった。そして、青き光速を超えて、超光速に突入する。俺は、そのリズムが好きだった。レギオンに乗り込み、超光速に突入し、少しだけ自由になれる、その感覚が大好きだった。自分が、解ける、そして、レギオンと、一体化するような感覚が宇宙に融けこむような感覚だった。宇宙との融合、そんな感覚だった。

 超光速での、飛行を終えると、そこは、赤い宇宙の中だった。赤く光る、俺が嫌いな、赤い光だった。

 赤い隕石群、それは、レギオンと俺を邪魔するように、むかってきた。

 俺は、ブラスターを一発、宣戦布告とばかりに赤い隕石群に、撃ち込み、ブラスターの、開けたドロリと溶けた隕石群の真ん中を、真っ直ぐ、加速させた。

 次に、俺を、邪魔する相手は、彼の作った、ビットという、電子制御の、攻撃帯だった。ビットは、彼の思念のようなものだった。ビットは、俺の光路の邪魔をするデジタル界域を形成していた。俺は、レギオンの、操縦を、マニュアルに切り替え、操縦桿を握りながら、首から、下げた、青い光石に、プログラミングを続けた。頭部のマシンキャノンから、ビットを撃ち落とす融合データを射出し、ビットから、射出される赤いデジタルエネルギーを、ただ単縦な、青い光へと、変換していく。

 この手の問題は、レギオンにとっては、簡単な処理に過ぎなかった。

 そうして、人造的に作られた、エネルギー帯は、青い光のトンネルへと変わった。

 俺は、レギオンをさらに加速させると、巨大な戦艦群の前に出た。こいつも、彼が作り出した、欲望の一つだった。

 マニアックなやつほど、こういうものが好きだ。俺はそういう風に思ったが俺も、こう言うシチュエーションは嫌いではなかった。

 一騎当千。

 そんな言葉は、俺の宇宙にも、ある言葉だった。五騎の巨大な戦艦は、15セクター向こう。

 レギオン向けて、レーザーを射出する戦艦、俺とレギオンは、その攻撃を、すり抜け、戦艦の、9万7541ビット手前まで、飛行した。

 そして、俺は、マニュピュレートパネルを操作し、CLSモードに移行した。

 迫り出すコックピット、俺は、フットペダルに、力強さを感じると、レギオンは、CLSモードに移行する。俺の、青い光石は、青き輝きを一層強めた。

 バトルフライトモード変形機構を、備えているレギオンは、一瞬のうちに、変形を終えて、宇宙最速の光学式戦闘機へと変形する。

 そして、アストライザーを主武器に、副兵装は、レーザー、バルカン、マシンキャノン、タイプD搭載だ。

 ものすごい勢いで、撃ち出されるマシンキャノン、タイプD、光学式だ。

 バトルフライト中は、光学式のため、運転は、レギオン自体が思考し、自動飛行してくれる。だから、俺自身は、攻撃に集中できると言うわけだ。

 一つ目、相手の、右舷から、接近して、バルカンが、相手の戦艦の右側面タービンを、焼き尽くす。回り込み、主タービンをも、破壊した。墜ちていく一つ目。

 二つ目、主翼のでかいやつだ。コックピットから、落とす。もちろん、無人とはいえど、コックピットは存在する、それを、マニュピュレートパネルから、ターミナルにアクセス、相手の、ますマスターコックピットにハッキングして。割り出せた。コックピットは、左下部、そこを、タイプDで、直接、攻撃をし、デジタル干渉を起こして、完全に、データから消す。ブレードランナーのトリガーをワイヤーから引いて。これで完璧だ。

 三つ目、頭のでかいやつだ。こいつはレーザーで落とす。頭から。俺はセンサーとマニュピュレートパネルの情報を確かめながら、レーザーの照準を合わせ、頭から切り落とす。

 四つ目、大きい奴。こう言う奴が俺をホットにさせてくれる。こいつはマシンキャノンで、落とす。一気に畳み掛ける。

 五つ目、さらにでかい奴、俺は操縦桿に、力を込め、アストライザーのエネルギーを放出する。青い閃光とともに、宇宙が一瞬だけ光り、そしてまた、元の黒さを取り戻す。


 そして彼は、こう俺に伝える、

「もう無駄だよ。何をしても。」

そしてこう続けた。

「僕は怒っているんだよ。この赤い宇宙は、怒ってる。僕の、リーディアを傷つけようとしてるの。」

「そう、僕は怒ってるんだよ。」

「君は、誰。なぜ邪魔をするの巨大なマザーと僕の邪魔をする君、ゆ・る・さ・な・い。」


 来る。

 俺は、一瞬で、バトルフライトモードから、変形、レギオンはジャックインモードへと。マニュピュレートパネルからリーディアのフライトインビテーションをキャッチ。そして、超光速で、向かってくる、赤い光。そこに向かう、青い光。


 初めての、俺以外の人間との接触が、レギオンに、乗っている俺と、リーディアに乗っている彼、少し複雑な気分だった。

  

  リーディアは、原始的にも素粒子的にも、明らかに、俺のレギオンより新しかった。

 こう言うマシンの場合、新しいから強い、とは、お世辞にも言えないことがある。

 そして、彼は、まだ僕には、未熟に見えた。彼は、一生懸命に、戦っていた。そう、きっと自分と闘っていたんだと思う。

 俺は、それの相手をしていただけだった。そして、宇宙が、もう2回転した時に、俺は、もう辞めようと、彼に、言った。

 君はまだ、幼い。未熟だ。と言うような、内容のことを伝えたと思う。

 そして、宇宙は、それを、ただ、眺めていたんだと思う。その青い俺の閃光と、赤い彼の閃光が交錯するのを。

 そして、宇宙が、もう、二回転した時に、彼は気づいたんだ。この、光が美しいってことに。

 そして彼は、俺を、攻撃するのをやめた。

 

そしてこう言ったのさ、俺は、


「青い光を見たら、俺のことを思い出せ、俺は、レオン・レジーナ。必ず俺は帰ってくる。青い光の元に。」

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