果実を求めて
森に入ってから二時間、一向に果実が見つからない。
角の生えたウサギや20匹くらいで動いている大きな猪は見つけたが肝心の果実が見つからない。
それどころか木以外の植物がなく、地面に苔すらも生えていない。
「ここは本当に森なのか?」
そう疑問を抱くようになっていた。
しかしここまで来て諦めるのも嫌なのでもう少しだけ探すことにした。
そこから約30分ほど歩いた時、目の前に少し開けた場所が現れた。
その開けた場所の真ん中に一つの大きな木が立っていた。
「少し休むか」
俺は疲れて来たので、開けた所の真ん中に立っている大きな木の下で休むことにした。
「しっかしどうするかなぁ〜。何処まで行っても果実一つ見つからない。季節の問題なのかなぁ」
「最近はここら辺に人間達が来て果実を取っていくから無いんだよ君」
あれ何処からか声が聞こえたような?
「君たち人間のせいでジュウラ様が困っているじゃないか」
「誰だ。何処から話かけているんだ」
「上だよ上」
上?俺は言われた通り上を見たすると子供が大きな木の上にいた。
「誰だお前は」
「僕?僕はフェアリー族だよ」
フェアリー族?よくあるファンタジーに出てくる妖精か。でも妖精って小さいイメージがあるんだけどなぁ。
「名前は?」
「名前なんて無いよ。僕はまだ位が低いからね」
「さっき言ってたジュウラ様って誰なんだ」
「この木だよ」
妖精と名乗る子供は大きな木を叩いた。
すると
「お主ら何をしているのだ」
木が喋った。
「ジュウラ様、この人間は果実を探してた観たいですよ」
そして妖精と名乗る子供が木に話しかけている。
「そうか。しかしここら辺はもう他の人間に取り尽くされている。他をあたると良い。ここよりは沢山の果実があるはずじゃよ」
「あなたはどういう立場なのですが?」
「私は神よりここの地の管理を任された物だ」
「何故ここら辺は木は生えているのに草や苔は生えないのですか?」
ここまでの道中で気になったことを聞いてみた。
すると大きな木は黙りこんだ。
そして声を発した。
「それは…私のせいなのだ…」
大きな木はそういい昔の話を話し始めた。