第四話 日常が一番いい。
俺の放課後に付け加えるとすれば今この状態の、誠也と美雪と帰ることだ。
まあ、そうはいっても誠也はサッカー部のエースのため、いつも一緒に帰っているわけではない。けど、美雪とはクラス替えしてからはいつも一緒に帰っている。
その理由は美雪のボディーガード的な存在だ。簡単な理由だろう?美雪はかわいいからモテる。以上。
美雪は部活を頑張りたいからって理由で恋人を作らずにいる。俺からしたらほんとに勿体無いと思うのだが、本人は「このまま待ちたいの」と言っている。
まあ、誰を? と聞くのは野暮なので聞かないのがそいつが羨ましい。だってさすがに妹みたいな存在でも、可愛いのは可愛いんだから俺が嫉妬するのも仕方がないってもんだろ?
とまあ、この話は置いといて、
「でも、いいよな~みなは。好きな人がいてくれるって。」
ん? 誠也君。君は僕に喧嘩を売ってるのかな?
「何いってんだよ、誠也のファンなんていくらでもいるぞ。」
「冗談はよせって、太一~。そしたら俺、今頃女の子に囲まれてるはずだぜ?」
「俺もそうじゃないことにビックリだよ。」
ほんとなんで誠也に彼女出来ないんだ。と、皆は思うと思うが俺は誠也の幼なじみだからよく知っている。
理由は簡単だ。鈍感。以上。
なんでこんなに鈍感なんだと心の底から思う。早く気づいてあげて欲しいものだ。て、イタッ!
「な、なにしてんだよ。みな!」
足でおもいっきり俺のすねを蹴ってきた。
リスみたいにほっぺ膨らませてもわかんないだけだぞ……。いや、ものすごく可愛いのは分かった。
「なんかムカついたの!」
「理不尽すぎないか!?」
今世紀最大の理不尽すぎるだろ。回避のしようが無さすぎるぞ。
「それより太一はその、、そーゆー人はいないの?」
「みな。それを言うな。太一が悲しくしちゃうだろ。」
誠也。それも言うな。俺が悲しくなっただろ。
俺へのいじりが終わるとそれからはいつも通り今日の話や週末の話をして盛り上がった。それから二十分たった頃、誠也の家に着き、「じゃあ、また明日な」
「おう、また明日」
「うん、じゃあね!」
と交わしてまた歩き始め、一、二分して俺とみなは隣どうしの家に着いた。
「ねえ、今日太一の家に行っていい?」
まあ、親しき仲にも礼儀ありってやつだな。俺はこの後、やることがあるやで丁重にお断りをしよう。
「いや、今日は……。」
「いいっていうか、行くね。じゃすぐ行くから!」
あーあ、結局来るんかい。親しき仲こそ礼儀なしにした方がいいようですね。
駆け足で家に帰っていったみなは俺の返事なんか気にしてなかった。
てか、みなが来るんだったら片付けないと俺の部屋に入られても困るし。別に変なのがあるわけじゃないよ?か、勘違いしないでよね!!
鞄やらの荷物を家に置いて、みなはすぐ来たみたいで、、
「おっまたせー! 待ったー?」
うん、まだ十秒も経ってないのにどうやったのって話だし、十秒に待つもなにもないよ。
でも、とりあえず黙っておこう。
「来るのはいいけど新しいゲームはなにも買ってないぞ?」
「いいよ、髭の生えた男を動かすゲームできれば。」
うーん、だいぶ変わった言い回しだね。なら俺もと。
「仮面被ってチェーンソー振り回すゲームもあるよ?」
「それジェイ◯ンでしょ。名前でてこなかったの? 認知症だね。」
うん、俺はいつからかお爺ちゃんになっていたようだ。
「はいはい、マ◯オですね。入れてあるから好きにやっていいよ。俺は庭にいるから。」
さあ、やっと俺の趣味の時間だ。俺は庭に出てスマホを取り出し調べものをした。
俺の趣味は男ならやってみたいと思ったことがあるだろう、アクロバットだ。運動部に入ってない俺は運動不足解消のため、アクロバットやらの運動をしている。
体育の授業で運動するだろ? と思う人もいると思うが中学の時は運動部に入っていたため体力が有り余っているのだ。
「ねぇーたっくん、何してるの?」
「見てわかるだろ、男の憧れだ。」
「カッコつけて尻餅つくのが?」
「こ、これから出来るようになるんだよ!」
俺は趣味とは言っただけで出来るとは言ってない。
「そんなことしなくても、十分かっこいいと思うけどなー。」
「別にかっこつけてやってるわけじゃ…ねぇーよ。」
「えー、じゃあ何で~?」
「……護身用だ、護身用。男なら自分に起きたことは自分で解決しなきゃだからな。」
まあ、そんなことあるわけないと思うけどな。運動不足解消とか言ったら、みなに部活に入れって言われちゃうし。
「たっくん、結局言ってることはかっこつけてるよ?」
「い、いいんだよ、そんなこと。それより、マ◯オしに来ただけじゃないだろ?」
俺の問いかけにみなは体をビクッとさせたように感じた。
やっぱりか。今日のみなはどこかよそよそしい。だてに幼なじみしてないのが証明できてよかったよ。
「たっくんはすごいね、やっぱり分かっちゃうんだ。」
少しの間をおいた後、みなは覚悟をきめたように言った。
「私、人気者かも知れないの!」
………ん? こいつは何言ってんだ?