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俺はモブがいい  作者: 鳴風 風鈴
2/7

第一話 モブが一番いい

      「俺の居場所はどこだろう。」


 高校生なら誰もが考え、悩み苦しむものだろう。

 入学式、部活動、クラス替え。さまざまな人間関係構築の機会がある学校というものはそれごとに、見た目の良し悪しやスポーツの出来るもの出来ないもの、一番大きいであろうコミュ力で、大まかに三つの種類の人種に分けらるだろう。

 リアルを充実出来る者、出来ずに孤立する者。そしてモブだ。

 今からモブについて語ろうと思う。なぜかって? それは俺がモブであるからだ。


 モブ。それは「主要キャラ以外の登場人物」のことを指し、「モブのいるところには群衆がいる」とはよく言われたものである。

 実際その通りでモブとは自らが中心となって群衆を作れないため、リア充どもの周りに行くことで、初めて認識されるようなやつらである。

 だったら、モブっていなくてもかわらなくね?

 それは否である。


 モブがいることによってこの世は成り立っている、もし、モブの全員に彼女がいたらどうする?全員性格イケメンだったらどうする?全員ノリの良いやつらだったらどうする?全員のアベレージが上がってしまい、主人公がいなくなってしまう。

 つまりだ、モブという何の取り柄もないやつらがいることで主人公が生まれるわけであり、決してリア充どもは偉くない。モブ役の俺たちに感謝して欲しいものだ。

 

 俺こと七条太一はどこにでもいそうなごく普通の高校生だ。だが、あいにく顔立ちは良く、運動神経、頭の良さなど平均よりは高いため、目立つことがある。けど、俺の立ち振舞いを見たものたちは皆話しかけてはくるが「残念なやつ」という印象を持つらしくそれ以降そいつらは話しかけて来ない。

 だが、俺にとっては誉めことばである。目立つということがどれだけ恐ろしく、憎く、あさましいものなのか知らないやつらには言われたくない。



 高校生二年になり、クラス替えによる新たな人間関係も徐々に慣れ始めてきているようで俺のクラスであるF組では、四、五つのグループに別れている。もちろん一人でいるやつもちらほらいる。

 まあ、俺もそっちぎみではあるんだが……。


 今日もいつも通り登校し、教室のドアを開け、静かに自分の席に着く。そのまま鞄から本を取り出しそのまま読書にふける。誰にも話しかけない。話さない、話されないのがポイントだ。

 教室のドアを開けて「おはよう」とかラブコメでしか見たことないからな。

 

「おっはよー、太一!」

 あーもう早いどうしてそんなにフラグ回収早いかな~。

 ボッチ気味の俺にももちろん人との関わりはある。少ないけど。その一人がこの一瞬でフラグを回収してくれた成宮誠也だ。

 頭は悪いが髪はスポーツがりで高身長アンド、イケメン。部活ではサッカー部のエースでもちろんモテる。

 だが、本人は気づいてなく「彼女欲しい」とかほざいている。

 

 なんでこんなに釣り合わない誠也と一緒にいるのかというとそれは俺と誠也が幼なじみであるからだ。

「おーい、聞こえてるか~。無視すると泣いちゃうぞ。」

「……。」

「うぇーん、うぇーん。」

 あのね、誠也くん、泣く人って声は出さないんだよ。

「なんだよ誠也、俺今本読んでんだけど?」

「俺と本どっちが大事なんだよ!」

 なんで朝っぱらからメンヘラ彼女みたいな会話しなきゃらんのだ。これ以上誠也を適当にしとくと拗ねてしまうのでちゃんと対応してあげることにした。

「いや、本だろ。」

 あ、間違っちゃった。てへっ。

「うぇーん、うぇーん。」

 いや、だから泣く人は声ださねえって。

 拗ねてしまった誠也を慰めるのに本を閉じて、後ろの席にいる誠也と適当に話をした。


 話しているとホームルーム五分前のチャイムが鳴り始めた。

「セーフ! あ、おはよー。たっくんと誠也!」

 息を切らしながら俺のとなりの席に着く彼女は道具を取り出している。

「みな、予鈴なったらアウトだぞ。」

「細かいことは気にしないの!」

 見ての通り、大雑把な性格の彼女はもう一人の幼なじみで結愛美雪だ。

 俺たち三人は幼稚園からの中で家もそれなりに近くにあり、もちもん親同士も仲がいいようで、たまに誠也と美雪の母さんが俺の家に来ることもある。

 

「そんなに遅いんだったら、みなの家いって起こしてあげようか?」

「えー、誠也は朝練で早すぎるからやだ。たっくんが起こしに来てよー。」

「俺が起こしにいっても全然起きないっけじゃん。危うく遅刻しそうになったの憶えてないのかよ。」

 俺は何回も起こしに行ったことはあるがみなの朝の弱さは大変でいつも遅刻ギリギリになって学校に着くことが多く、ほんとめんどくさい。

「キスしたらすぐ起きるのに。」

「そんなことしたらその気になっちゃうだろうが。」

「たっくんなら、そのダメなこともないかもしれないかもしれない。」

 みなは顔を赤く染めながら小さい声で言ってきた。 

「俺をほおっておいて、二人でイチャつくなって。」

「「イチャついてない!」」

 ボーイッシュなショートカットにくりっとした大きな目。健康的な体つきはかっこよさすら醸しだしていて、クラスのマドンナ的な存在になりつつある彼女は俺にとっては妹みたいな存在でそうゆう感情はいっさいわかない。ほんとだよ? 決して大きな胸に目は向けてないよ。

  

「みんなー、席に着けー、ホームルーム始めるぞ~」

 まあ、今日もこうして何もない平凡な一日が始まることとなった。

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