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生きにくいこの世界で愛を叫ばせろ!  作者: ららららーらら
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格好つけたい時もある。



皆さんは焼味噌と言うものを知っているだろうか?



戦の多かった戦国時代において兵士達が持ち運んでいた陣中食、つまり非常食の事である。

生で運んでは腐ったりカビがはえる可能性があるため焼いて丸めたものだ。


私はオタクな部分があって前世のアニメの影響で、ミリタリーメシ、通称ミリメシや忍者食を調べまくっていた時期がある。


まさか、次の人生で役に立つとは思わなかったけど・・・




『ねぇちゃん!これウマイな!!!』



『良かったね。いっぱい食べなよ〜。』




何で急にこんな話をしたのかと言うと、先ほど出会った少年名前はショウスケ、ショウと呼ばれていると言っていた。


『ねぇちゃんは味噌持ち歩いてんのか?』


と聞かれたので、焼味噌が〜、焼味噌ってなに〜?と言う話になったからである。




まだ子供なショウが知らないだけか、旅しない人達がしらないのか。






『ご馳走さまでした。』



『お腹はいっぱいになった?』



ショウの食事が終わったらしい。にこにこしながら、うん!と言った。




『で、ショウはなんでこんな夜の暗い中、山の中にいたの?』



『おいらの姉ちゃんが咳がひどくて、ヨモギを採りに来たんだけど、この通り暗いからちょっと迷っちまって・・・腹も減ったしどうしようかと思ってるうちに良い匂いがしてきて、匂いをたどってるうちにねぇちゃんの所にたどり着いたんだ。』




成る程、自分のお姉さんの為にヨモギを採りに山の中に・・・ってなんで夜?明るい方が良くね?



『何で明るいうちに来なかったの?』



『それは・・・明るいとバケモノが出るんだ。』




おや?おやや?




『でっかい鳥のバケモノで最近、村の近くに現れる。村の奴もおいらが知ってるかぎり3人くらい食われてる。だから明るいうちに外に出る奴はあんまりいないんだ。』




前はこんなんじゃなかったのに・・・。


そう言うと悲しそうに項垂れてしまった。




『・・・そのバケモノは暗くなると出て来ないの?』



『そうなんだ!だから、夜の山に入るなって本当は言われてたんだけど、咳の薬がきれちまって、姉ちゃん喉が弱いから辛そうで・・・薬はヨモギで出来るって聞いたんだ!』




5、6歳くらいにしてお姉さん思いの男気のある少年だな〜前世の私なんてそのくらいの歳に鼻垂らしながらアホ面でだんごむし集めてたよ?本当、将来有望だよ。イケメン。




でも。




『ショウ。』



『ん?何?・・・いてっ!』





ショウにデコピンをお見舞いしてやった。




『痛ぇよねぇちゃん〜何すんのさ〜』



『いくら鳥が暗いと出ないからって夜の山に1人で入ったら危ないでしょ!他の妖、バケモノだっているし、山賊だっているかも知れないんだからね!』



『うっ・・それは、そうだけど・・・。』



『だいたいね、咳の薬だって生のヨモギじゃダメなんだよ?乾燥させてから煎らないと。』



『え・・・そうなの?』




そんな〜と落ち込むショウの頭を撫でてやる。



『咳の薬なら私が持ってるから・・・売ってあげる。』



『本当!?でもおいら、お金なんて持ってない・・・』





薬くらいあげろよと思うかもしれないが、このご時世、ギブアンドテイク。


子供相手でもそれは変わらない。


ただ、私だって誰にだって作れそうな薬でこんな子供から金を巻き上げるほど鬼じゃない。






『バケモノが出なくなったらさ、私にヨモギ摘んできてよ。それが薬代。』



『バケモノが出なくなったら・・・?』




複雑そうな顔で私を見るショウに笑かけながら腰の刀をぽんっ、と叩く。




『妖退治屋の出番ってね!』




『・・・っうん!!!』





さて、格好いいところ見せてやりますか!


















とは言ったもののどうしたものか・・・。



人間食う鳥なんて普通に恐ろしいわ。

いや、よくサスペンス的な奴で死体を鳥が食べてる的なやつはあるけどさ、歩いている人間咥えて飛んでったりすんでしょ?普通に恐いわ。



ショウに大きさを聞いたんだところ、自分の家くらいはあるかもと言っていた。


ショウの見た目からしてやんごとなき家柄でお屋敷に住んでる事はなさそうだ。


こう言っては失礼だけど、小汚ないふつうの子供って感じ。



最低でもワンルームってか?・・・いや、十分でかいよ。





『でな、おいらの母ちゃんと父ちゃんは死んじまって今は姉ちゃんと2人で暮らしてるんだ。』



『うん。そうなんだね。』




『咲来姉、おいらの話ちゃんと聞いてんのか〜?』





あの後、私は少し遅い自己紹介をした。

ショウは私の名前を聞くと、じゃあ咲来姉(さくらねぇ)だな!と良い笑顔をくれた。

可愛い。えぇ子や・・・。



それからショウは色々と話てくれている、今若干シリアスな話をしているのだが、申し訳ないがそれどころじゃない。


こちとら鳥のバケモノで頭がいっぱい・・・。






格好つけた手前不様はさらせない。







ショウと仲良くお手てを繋ぎながら山道を歩く、ショウは最初迷ったと言っていたが少し進んだところ、知ってる場所に出たらしく、道案内をしてくれている。



『おいら、怒られるかな・・・』



『多分、いや、絶対怒られるね。』



『そんな食いぎみに言わなくても・・・。』




そんなこんなで話ながら歩いていると村らしきものが見えてきた。

松明を持った大人達がなにやら慌ただしい。




その中で1人の女の人がこちらを向くと驚いた顔をした。



『ショウスケ!!!』



『姉ちゃん!』



どうやらショウのお姉さんらしい。

ショウは嬉しそうに走って行った。





『ショウ!・・・っんの馬鹿たれ!!!』




ゴッ!と良い音をさせてショウの頭に拳骨が落とされた。





うわ、痛そー・・・。






『この馬鹿!バケモノだって山賊だっているってのに!1人で山に行く奴があるか!』



『うぅ〜ごめんよ姉ちゃん〜でもその説教はもう咲来姉にされたよ〜』



『咲来姉?』



ショウのお姉さんは私の見ると、ハッとした顔をして近づいて来て頭をさげた。




『うちの馬鹿な弟がご迷惑をおかけして・・・』



『いえいえ。お姉さん思いの優しい子で・・・』




そんなこんなしてるうちに村の男達が集まってきた。



『ショウ、見つかったのか!』


『この馬鹿が、心配かけやがって!』


『後で拳骨くれてやるからな!』



『うわ〜ごめんって〜!』




ショウは村の人達から可愛がられているらしい。

色んな人達からもみくちゃだ。


どうやらいなくなったショウを探す為に皆集まったらしい。





ショウ。お前、本当後で謝ってまわれよ。






『そうだ!姉ちゃん!咲来姉が咳の薬分けてくれるって!』



『もぅっアンタは人に迷惑かけまくって!・・・っゴホゴホッ』




ショウのお姉さんは急に咳をしはじめた。

咳の音からすると気管支?風邪か?

肺炎とか結核じゃないと良いんだけど・・・。


抗生剤なんてないから重い病気は治せない。ましてや医者じゃないし・・・。



『ゴホ・・・ごめんなさいね。たまに喉の調子が悪くなるんだよ。大したことないんだけど、薬の材料が採りにいけなくてね。』



『あ、鳥の妖が出るんでしたよね?』



『そう、あのバケモノ明るい時に出てくるんで何もできやしない。』



忌々しそうに話すショウのお姉さんに私が何とかします!と言おうとしたその時、話におじさん達が割り込んできた。



『おう、でもよもうすぐ解決するからよ!』




んん?




『そうだな!』



『退治屋が来てくれたからな!』



『あの兄ちゃんの刀中々立派だぜ!相当な手練れと見た!』





思わずショウと顔を見合わせる。





どうやら商売敵に先を越されたらしい。




一体どうなるやら・・・・。










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