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津軽藩起始 浪岡編 (1577-1578)  作者: かんから
最終章 水木御所成立 天正六年(1578)秋
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いざ立たん 第三話


 御子(みこ)とその母親は、籠に乗せられてゆっくりと進む。旧暦七月九日昼、折より空はぐつつき、小雨(こさめ)(よし)(まち)の一行に降り注ぎ始めた。……それは二十人くらいの行列で、田畑の広がる道を進む。いたるところに掲げられる白地に(ささ)竜胆(りんどう)の旗ざし。進む者すべてが烏帽子をかぶり、あたかも公家のような出で立ち。輝かしく飾り立てられた腰の刀、頬には薄化粧。



 吉町は籠の横で御子を守りながら歩く。……すでに浪岡北畠は滅び、この子の運命というものもおぼつかぬ。運良ければ生きながらえることもできようが、今は戦国の世だ。用済みとなれば毒を盛られるか川に沈められるか。……だが、すべてを見なかったことにする。これから起こることすべて。……そうしなければならぬ。私はこれから津軽家の忠臣として歩む。二度と裏切らぬ。あのような想いはいらない。


 ……すると向かう方に、なにやら物騒な集団が十名ほど。吉町にとって不穏な感じがしたが……旗ざしを見てみると、“(しゃく)(じょう)の先”。白地に赤く描かれている模様で、津軽家の御印(みしるし)である。


 近づくと……見知った顔であった。彼は列の先頭に出てきた吉町へ親しく話しかける。





「吉町殿、お役目ご苦労にございます。」


 吉町も笑顔で返す。


「おお、石堂(いしどう)様……。これはどういうわけで。」



「様付けなどいらぬ。もう浪岡での上下関係は無意味なのだから。……このたびは吉町殿だけでは不足ということで、我らも合わせて大浦城まで警護いたすことになった。」


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