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津軽藩起始 浪岡編 (1577-1578)  作者: かんから
第八章 大釈迦館炎上 天正六年(1578)晩夏 旧暦七月五日
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あろうことか 第三話


「従うなど……考えなどござらぬ。」




 石堂(いしどう)はなんとか(こた)えをひねり出したが、奥寺(おくでら)はおさまらぬ。拳を硬くし、今にも殴りかからんとする勢いだが……それでも同じ浪岡北畠の者。なんとか怒りを寸のことろで止め、手一つで座るように促した。




 石堂はその素振りをはじめ理解できなかったが、ござの方へ手を動かしているので座れということかとわかった。恐る恐るござに座り、……奥寺の顔を窺う。



「ふん。その様子を見ると……お前は為信と通じていなかったのだな。」


「……それは、いかなる意味で。」


「そらあそうだろ。あそこまで華麗に落としきったのだ。家来衆の中で手引きがあったものと見受けられる。」




 石堂は何も言えぬ。目の前のことに精いっぱいで、周りを俯瞰(ふかん)的に見ることをなおざりにしてきた。……だが石堂にも言いたいことがある。奥寺殿、自分の置かれた立場をご存知か。



 奥寺は一つため息をつく。そして石堂へ言った。


「それでもの……あちら(がた)にお前も、多田(ただ)もおる。逃げ込んできた者から聞いたが……御所号の御子(みこ)も生きているらしいではないか。この二人がいれば、やすやすと為信は御子に手を出せまいて。」



 わざとらしく笑い声を出す。石堂には……何か悲惨なものを含んでいるようにも聞こえた。


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