表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
津軽藩起始 浪岡編 (1577-1578)  作者: かんから
第八章 大釈迦館炎上 天正六年(1578)晩夏 旧暦七月五日
75/102

名分の元に 第四話


「そらあ見つからぬわけですよ。あのボンボンは “賊” として死んだのですから。」




 野郎どもは大いに笑いこけた。沼田が“あまり大声を出すな” と注意するも、なお止まらぬ。




「きっとあなたさんの兵たちは、“御所号” という身なりを浮かべて探してなさる。」


 “身なり” とは……為信はもちろんのこと、その場にいる兼平(かねひら)森岡(もりおか)ら為信の家来衆もどういうことかと聞き返した。




「そんなにも気になりますか……。いいでしょう。ご丁寧に申し上げます。」






 御所号といえば……紫の衣ですかな、それも絹の。ほかの色かもしれませぬが、とにかく深くてかつ鮮やかな色合い。しかしあのボンボンは麻の汚らしい、さらには継ぎはぎがされた衣を着て倒れているはず。皆々、身なりでしか人を判断しておらんのです。




 ……この話を聞いて、そういうものかと考えさせられた。津軽為信という人物とて、汚らしい恰好で歩いていれば、見向きもされないかもしれない。





「そこで、俺らは試したのです。ボンボンを試しに解き放ち、生き残ることができるかどうか。」



 ……それでどうなった。






「我らの仲間だと勘違いした御所の兵らに、いとも簡単に斬り殺されておいででした。」




 それでも北畠(きたばたけ)(あき)(むら)という人物が家来衆の信頼を集めているお方なら、こうはならなかったはず。見た目ではなく、その雰囲気でわかりますからな。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ