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津軽藩起始 浪岡編 (1577-1578)  作者: かんから
第一章 松源寺の会見 天正五年(1577)初春
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誘い 第四話


(いぬ)(ひめ)様はかつて(ため)(のぶ)を殺そうとなさった。その頃の思いにお変わりがないのでしたら、決断なされよ。」


 (せん)桃院(とういん)は横を向いたまま、離れの景色を見るわけでもなく、少し下へ目線を当てたまま。平静へ戻そうと努めるが、どうにもならぬ。


「あれからさらに恨みは積もったでしょうな。お察しいたします。為信が決起して大光寺城を落としたおかげで、ただ一人の肉親となっていた妹も殺された。」


 調子に乗って話す(のぶ)(はる)だが、少し顔に笑みが見える。ひきつっているようにも思えたが、なにか馬鹿にしているようにも感じる。そのような境遇、立場にあるのだから、立ち上がって当然だと言わんばかりに。

 信治の声は強くなる。


南部(なんぶ)(のぶ)(なお)の命により、そとがはま横内(よこうち)の一族は誅殺された。謀反の疑いがありと。これほど馬鹿らしいことはございませぬ。あれもこれも為信のせいでございますよ。」




 そう。それは悲劇だった。災難によって彼女の弟である(かなえ)(まる)(やす)(まる)は死に絶え、残すは遠くへ嫁いでいた妹だけ。そのかけがえのない存在さえも奪われた。

 ここで、信治は訴えかけた。


「戌姫様には在りし日の大浦家を作っていただくべく、新たに主人を迎えていただきたい。今の大浦はすでに大浦ではなく、津軽家という似ても似つかぬ……。」



 信治は彼女の、次の言葉を待つ。答えはわかり切っている。


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