表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
津軽藩起始 浪岡編 (1577-1578)  作者: かんから
第五章 北畠顕範暗殺 天正六年(1578)夏
44/102

真相 第三話



 吉町は賭け事が好きで、よく浪岡の不埒者らと共に賽子(サイコロ)に興じていた。だがいかんせん負けが続き、借金まみれになった。とうとう住んでいる土地屋敷をすべて差し出すかと脅迫される。吉町としてはさすがに無理だし、一応はある程度のプライドもあった。浪岡北畠家臣が、借金まみれになって財産を取られてすべてを失ったともなれば、とてもじゃないが生きていけない。



 ここで鰺ヶ沢より来たヤマノシタが一枚噛んだ。ではこうしよう。浪岡御所の蔵には金銀財宝があまたあるという。……ここは吉町と仲がいいという御所の北畠(きたばたけ)(あき)(むら)を連れ出して、賭け事に興じさせようと。


 吉町が賛同しさえすれば、奪った財宝と代わりに借金を帳消しにする。そればかりか分け前も与えよう。



 吉町は戸惑った。御所号を騙すなど……家臣としてしたくない。不義だし不忠だ。いやいやとヤマノシタ。お前は誘うだけだし、何よりも嵌るかどうかは顕村次第だ。お前の責任ではない。吉町はというと、自分の切羽詰まった状況もあるので、しぶしぶ従ったのである。




 ……この時までは、多くの野郎どもの意識下には、蔵の財宝のことしかなかった。ヤマノシタ自身、(めん)(しょう)(さい)に依頼された”その先のもの”があったのだが、正直どちらに転がろうがいいとも考えていた。成功すれば仲間らで望む者に土地を与え、失敗しても己は命を失う必要がない。損をするのは浪岡の善良者ばかり。


 かつてのまとめ役とは、どこか違っている。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ